グアムへ
成田からの直行便、レギュラーシート。なんと3時間も掛かるのだが、逆に、いかにも外国に向かってるって感がするのでいい。白状するが、実は海外初訪問。ここまで戸惑いの連続だったのだが、つどマリが勝手に先に先にと行動してくれたので実に助かった。
服装は、サマージャケットに、それに合わせたパンツ。国際的公共の場だからね。
マリもまた落ち着いた感じのサマードレスだった。
グアム国際空港着。時差は1時間進みだから、もう昼下がりってとこだ。初の外国。少しあがり気味になる。ただ歩くのさえぎこちない。足底のオリハを、靴から、モーター付きローラーブレードに変形させる。静音走行させる。早速マリに気づかれて行儀悪いと叱られてしまう。子供かよ。靴に戻す。ふたたび緊張気味に歩く。空調の効きすぎだと思う。屋内から外に出る。そしたら――グアムの自然が猛烈に歓迎してきたのだった。
オリハはナチュラルモードのままだったので、暑い空気、湿度がもろにぶつかってくる!
スコール明けだったのか? 輝くヤシの緑、そして日本とは違った空の色、広さ、高さだった!
さすがに蒸すので衣装をアロハシャツに変える。下は半ズボンだ。アロハ? ま、いいってことで!
と、「どうよ!?」と自慢げな声。
振り向くとマリもまた、胸元を四角く大きく開いたドレスにチェンジしてる。大胆で、ひどく似合っていた。もう僕は顔が熱くなって、勢い込んで頷いたもんである。「――いい!」
「福引を引き当てたコトについてだよ!」勘違いを指摘する。
そして左腕を、ようこそ、とグアムを紹介するように開き、自慢げに、満足げに笑うのだった。
タクシーの運転手にホテル名をつげる。あっと、ここでは有人だ。白髪混じりの運ちゃん、歓迎するように白い歯を見せた。
「いいホテルを選んだね。ヤングにはぴったりなホテルだと思うよ。日本人だね。さすがライジング・サンの君たちだ!」
「ねぇねぇ――」マリが割り込む。
「行先変更。ひと泳ぎしたい。タモンビーチにして!」
遠方から近場への変更。相手は人である。さすがに申し訳ない、と思ったのだがそれは自分だけで、運転手さん、気にすることなく頷いた。
「オーケー! ビーチにゴーだ! ボーイ? 素直に楽しむのがイチバンさ!」
なんでかまた、顔が赤くなった。