海底 4
それはいいとして――
僕はマリーをギュッ、と抱きしめる。
『何があったの?』
とたん、瞬間的に思いだしたのだろう、
『原石が、ワタシの原石が――』
また、体の震えがぶり返す。一度息をのんで、言葉を吐き出した。
『――起動してしまった!!!』
その言葉に反応するかのように、劇的に、海溝の壁が光を放ったのだった。
『!』
海溝。マリアナ海溝――
遠く、右の地平線から遙か左の地平線まで――
その海溝がなす、地球の裂け目。連なる岩壁が今、昼の世界のような、巨大な光を放っているのだ!
それは、人の意志を理解している、つまり動いているという、何よりの証拠だった。
全員に走った衝撃は筆舌に尽くしがたい。深海の恐怖を皆が忘れるほどだった。
硬直の後――
目を丸くして、なじるようにレッドローズ。指先をカギにし、腕を振るわせ、狂おしげな声で、『――なんで!?』
マリー、即座に叫び返す。『わからない! 来たら、こうなってたのよ!』
『これだから、素人には任せられないんだよう!』
『ワタシは何もしていない!』
『だったらなんで、コレ動いているのよ!?』
『知らない! 知らない! 知らない!』
『――』
皆して、言葉無く、発光する巨大な壁を見つめる。
誰もが、呆然として――
いつまでも、いつまでも、砂に埋まるまで立ち尽くすかという状態で――
僕は提案した。
『入ってみよう。何かわかるかもしれない』




