海底 3
『どうやって、ここに?』エマに問いかける。
百人の軍団の中でただ一人、気張っている司令官が、身を細かく震わせながら、余裕を装って答える。
『アトランティス所有のオート・ボートでここまで。正確な位置は、キミの唇に張り付けた、マーカーのおかげ』
マリーがそれを聞き、僕の唇に指を触れる。とたん、何かが解除された感触があった。睨まれてしまった。
『陸の事情で、やむなく、だよ……』一言弁解し、続ける。
『君のこの、大陸な原石は、実はムーと呼ばれる、宇宙から来た、伝説的存在だったんだ』
『ワタシの物よ!』
『わかってる……』
『じゃ、この女たち、何しに来た?』
『僕も含めて、それぞれが、それぞれの仕事のために――』
そのときだった。また、気配に気づいた。
海水の天空を見上げると、光り輝く二枚の花びらが、これも美しく舞い落ちてくる。やがて――
二人の人影を形作った。
エマが険しい顔になった。氷の目で鋭く、
『ダリア!? 裏切ったか!』
それは、肌にダリアの大輪を走らせた美少女と――
素っ裸に雪花模様を吹雪かせた、ショーグンの姿だった。
「……」
なんとなく、だけど。
この男、北の寒村の出、ではないかと、思わせられた。
そのショーグンも、ダリアも――
深海に体を震わせている。少し気の毒に思う。
ショーグン、気丈に笑った。
『姫。どうかこの娘を叱らないで下さい。私の力が必要と判断されたのです。そして、むろん、私はそのつもりで、ここに参りました。姫――』
そして兄貴は僕に遠慮のない視線を寄こしたのだった。
『あの“勇者”には、姫らとは別に、私に希なる因縁が御座います。その意味でも、あの者の相手はこの私めに賜りくださりますようお願い申し上げる次第。身命賭けて必ずや、大なる成果を献上いたすことお約束します。どうぞ皆様の末席にお加え下されませ。改めてお願い申し上げるしだいです……』
一言だった。『許す』




