オープンカー 4
ニッ、と笑った。
「キミにだって出来ることはある! 一つ、情報をくれてあげる。それをどう使うかは、キミしだい」
言い終わった途端、僕らはVRの世界に取り込まれていた。
「!?」
周囲は黒のベタ一色だった。
眼前に、丸い、青い水球が浮かんでいる。
美しく輝く原石が、白波をたてて飲み込まれていく。
音声は、ない?
透明な、円盤。中央が膨らんでいて、そう、あえて言えば凸レンズ、だった。
隣に浮かんでいるエマが解説し始めた。
「“石の記憶”」
「発掘される、おびただしい数の原石の中には、ごく稀に、過去の映像を記憶した物が見つかる。これはそのうちの一つ」
「これ、宇宙から見た映像よ。水球が地球」
「――いや待ってよ。これが地球? 違うだろ」
「約5億年前の映像よ。当時の地球の姿がこれ」
絶句だった。
「クリスタルは、一日かけて沈んだ」
眼前に見えている、地球に対するそれの大きさ――
「――このデカブツが?」
ニッ、とした。
「直径約6400km。最大厚さ1000km。まさに大陸サイズ。ワタシたちはこれを、Muと呼称している」
「――ムー大陸!」
「ぴったりなネーミングでしょ!」得意げな顔――
「ムーは宇宙から来た。そして、地球に沈んだ。それから5億年。今も、どこかに、眠っているはず」
「――!」
「情報が寄せられたら、ワタシたちはそこに飛んで、調査する」
「――!」
「ねぇ……?」
ビクッとなる。「――なに?!」
一つ呼吸した。「世界中の原石は、ワタシたちに、一括して、管理を任せてくれた方がいいと思わない?」
「――かつての、ダイヤモンドみたいにか」
「そう。知識も経験も、誰よりも上。取り扱いは万全、安心。もちろん、発見者には、相応の見返りをお約束する」
「――!」
「考えてね。“任せた”わよ――」
地球光を受けて、瞳が光った。
VRが解除された。明るい日の光。朗らかな顔で言った。
「さぁ到着! 約束通り、一日、遊びにつきあってもらうからね!」




