オープンカー 3
「で、マリは? 今どこに?」
エマはあっけらかんと、
「今頃は、ホテルのどこか一室で、“ある男”と、“体を張って”、“ビジネスの話”でも、してる最中なんでしょうね」
瞬間的に、ショーグンの顔! 一瞬で心が焼け焦げさせられた。
ああ――
冗談でない! マリが、あの男に? ――冗談じゃなかった!!!
そこに、行かせて欲しい! 止める、止めさせる!
ひんやりとした瞳で、ニッ、と笑った。
「キミに、カノジョを責める資格があるのかな?」
「う……!」
「それに」エマは続ける。
「実際、あの男は、強い! 生き馬の目を抜くビジネスの世界で、鉄火場で、勝ちを積み重ねてきた男よ。誠実さだけが取り柄の、ただの一店員でしかないキミとはハッキリ格が違う」
「グ……」
「素直に斬りかかったら、即、返り討ちにされるだけ」
「……」
認めるしかない彼我の実力差。現実――なんにも、言い返せなかった!
「キミは何ができる?」
「――なにも!」
裸の王女様は、わざとらしくため息をついた。
「話くらいできるでしょ? ワタシを口説いてご覧なさい」
のろのろと顔をあげた。
「――キンセイって言葉は、僕の国では金星とも言えるんだ。金星は別名、ヴィーナスとも言われてて――」
「ストップ」
冷徹な声。
「そんな話、将軍から散々、それも閨の枕元で囁かれたわ!」
「――!」
「マサはね、凄いエンターテイナーでもあるの」
氷の青紫色の瞳がゆるむ。王女は、王国の内輪話を披露する。
「昔、お酒の席で、座興を求めたら、カレ、凄かった!
何をしたと思う?
カレ、自分自身で自分のオカマを掘るって、ホント滑稽なパフォーマンスをして見せてくれたの! ああ! あのときほど大笑いしたことないッ! それこそ、皆して、床を転げ回ったわ! 身がよじれるって経験、初めてした! 体調が元に戻るまで一週間かかったわ!」
思い出したのか、美少女三人して、クツクツと身体を震わせる。
赤らめた顔で王女は言う。
「キミに、出来っこ、ないわよねぇ?」
言葉とは裏腹に、期待する目の色だった。
「――」
バカッ、できるわけない……!




