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鯨と少女

 青い空。

 群青(あお)い海。

 今、白くしぶきを上げてマッコウクジラが躍り出る。50トンもの胴体が海面を豪快に叩き、ドンという音と共に大きな波頭を打ち上げる。また潜りかけるが完全には潜水せず、その黒い背中を洋上にさらし、波蹴立てて疾走を始める。

 背の上に丸いコブのような物があり、それがむっくりと起き上がった。

 人だ!

 それも、女の子――

 瞬間、体の表面から真っ白に蒸気が発散される。

 べったりと背中まで垂れていた銀色の髪が、今、風に軽やかになびいた。赤紫色の瞳。日に褐色に焼けた、すらりと均整の取れた体つき。

 唇を結び、凜として。まったく揺るがず、ぴったりと鯨の肌に立っている。


 ふいに、女の子は、世界一広い海の、その世界一広い空を見上げた。

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