手段なし
目が覚めたら10時だった。もう日差しはそうとう強い。部屋の奥まで明るかった。
「マリ……?」
声に出すも応えは無い。部屋の中にいない。通信を試みるも、向こう側で遮断しているような?
体を起こし、ソファーに座り直す。頭をごしごし。
「女って、めんどくせー……」
あくびした。
ともかく、お迎えに行ってやらなきゃならない、てことだ。
オリハの着装を直そうとするも、やはり変えられなかった。このままじゃ外に出られない。わいせつ物陳列罪だ。
部屋の衣装タンスから本物の衣類、デニムのハーフパンツと、麻の半袖シャツを借りた。
首筋や腕、すねなど、露出している部分から時々花びらのグラフィックがこぼれ出ているが、逆に幸いして目立たないから大丈夫だろう。
外に出て、足底のオリハをローラーブレードに変形させようとして――できなかった。勢い余ってつんのめる。
タクシーを呼ぼうとして、通信できないことを思い出す。クレジット機能を確かめたらそれも強制停止が施されていた。
「……あの、バカ2年!」
思わず毒を吐いてしまう。
そのときだった。
軽く、クラクション音。
振り返るとそこに、高級オープンカー。中に、金髪美少女。
「エマ……ニュエル・キンセイ」
殿下だった。青紫色の瞳が、氷のように光る。
「ハ~イ、お困りのようね。……シン!」




