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朝帰り
渚で別れて、一人ホテルの部屋に帰ったのが朝の7時すぎだ。
サマードレス姿のマリが、なぜか、目を三角に、硬く腕組みして、待ち構えていて。
僕を一瞥。
「素敵な一夜を過ごされたようね」
「うん……」眠くて頭が回らない。
鏡に映った自分の着装が、花吹雪のグラフィックのままであったことにようやく気づく。ちょっと扇情的すぎるか。少なくとも、日常生活空間ではけっして相応しい格好だとは言えないだろう。ビーチでさえ、ぎりぎり許されるかどうかだ。
アロハ姿に戻ろうとして、できなかった。
それどころか、一気に花びらの数が減った。いまや、シーズンも終わりのなごりの桜だ。これじゃ、ああ、隠しきれない。
こんなことできるのは今、一人しかいない。マリだ。マリの干渉だ。
ようやくだ。相手が怒り心頭なのに気づくのだった。
「マリー、ちょっと待ってよ。説明す――」
「マリ“イ”?!?」
「あっ」間違っちゃった。
マリは顔を赤くさせると、プイと背中を見せる。歩き去る。
「……」
僕は追いかける気力なく、ソファーに倒れ込んだ。




