タモンビーチ 5
そのとき、日本語の、とぼけたような声がした。
「あのビーチボール、オリハだって、気づいてた?」「え――」
振り返るとそこに、スリングビキニ姿の栗色髪の美女、を横抱きにした、着痩せしそうな筋肉質の、黒ビキニパンツ、色気のある男性が立っていた。今のやりとりを眺めていたらしい。
兄貴ぜんとして、教えてくれる。
「千人分だ」「え?」
そしてようやく、理解が追いついた。
「え――?」目が丸くなった。あれが、オリハ――!!!
男は満足げな顔になった。さらに情報を提供してくれる。
「彼女の名は、エマ。エマニュエル・ドゥ・ラ・キンセイ。キンセイ王朝の王女様。それも次期最有力候補だ」
衝撃を受けた。「――アイアンガールズ!?!」なるほど裸姿も納得がいく!
男はニヤリとした。
「カノジョ、日本男児に興味がおありだそうな」「――!」
かろうじて、言葉が出た。
「貴方は?」
「貿易業者。理解るよな? これも多生の縁。なんかの時はヨロシクだぞ」
振り回されっぱなしである。だが仕方ない。向こうが上手だった。
「――シン。白神深といいます」
「左端将軍。ショーグンでいいよ。じゃ、またな」
尻丸出しの美女をぴったり抱いたまま歩き始める。顔だけ振り向いて。
「ここは、一人で来る所じゃないからヨ……」えろカッコいい笑顔で言い訳する。
「はっ……」と気づいた。青くなる。
あの、ワンピース美少女はもういない。そして――
「……!!!」
さぁそれから――
一人してどっかへ行ってしまったマリを探しだし、ご機嫌を回復させること、もう尋常でない労力を費やすはめになったのだった!




