タモンビーチ 3
波打ち際まで来たときだ。
これは偶然なのだろうか? 僕らとは逆に、沖あいから歩いて来た少女と、向き合う感じになった。
目が合った。足が止まる。
印象的な女の子。紺色の地味なワンピース水着。べったりと背中まで垂れている、銀色の髪の毛。赤紫色の瞳。汚く日に焼けた肌。すらりと均整の取れた体つき。
美少女だったが、それとは別の感慨、少なからずのショックに、またもや意識を持って行かれてしまう。
まず、ワンピース。本物の着物のようなのだ。オリハじゃない。
そして肌の日焼跡。これも本当のもののよう。――オリハがない?!
現代――
オリハはそれこそ赤子の時分から充てがわれる。それが親の愛というものだ。
オリハは、日焼け、シミ、皺を作らせない。汗、垢、毛根の汚れなどは微粒子化処理。炎症、虫歯を防ぎ、花粉は溶かし、蚊は殺す。便秘知らずで、贅肉も許さない。さらには、幼少時から使うことで、スタイルさえも(ある程度)望みを叶えてくれる。まさに一種の、そして究極の、美容マシーンとなりうるものなのだ。
お金さえあれば。
長髪は二つの、どちらかの意味を持つ。
一つ。その者がリッチマンである、ということと――
一つ。その者が、自然児である、ということだ。
目の前に立つ少女は、どうにも、貧困層に属しているもようで、なんというか――
ふいに、少女が、印象に残る声質で、すがるように話しかけてきたのだった。
「もしかして、“買って”くれるの?」




