一語~何でも屋です~
思いつきで書き出しました。
彼は最強だった。
しかし、ある時彼は突如歴史から姿を消す事となる、彼の行方を知るものは誰もいなかった。彼が開発した叡知の結晶の知識や魔法等知られることがなくなった。
魔法の王にして、武術の王、魔族の王、獣族の王、精霊族の王、全ての王にして、彼より上はおらず、また横に並び立つ者もおらず最強無敵の者。
彼の名はーー
◆◆◆◆◆
ある町の大通りでそれは行われていた。
「はいはい~、今なら一日100万ゴールドで何でも請けますよ~お買い得だよ~」
パンパンと手を叩き客寄せをする、少年。身なりはそれなりに良く白いシャツに紫色のベストを上から着て、黒色のコートを羽織っている。ズボンもコートと同じ黒色に汚れの一切ない靴を履いている。見る人によれば少し派手であり、平民からすれば貴族に見えなくもない服装だ。
「そこのお嬢様どうだい?私を雇わないかい?」
少年の顔は非常に整っており、艶やかな月白色の髪は光を反射し輝き、紫金色の瞳で見つめられれば誰もが目を反らすことは出来ないだろう。だが、彼が提示する額は100万ゴールドだ。平民の1年分の金であり当然気軽に払えるものではない。
故に少年を雇おうとするものは今のところ現れない。
「………、何でなんでしょう?……激安の価格の筈なのですが……」
少年は一人大通りに値段を書いた看板と一緒に置いた椅子に座り顎に手を添え考える。時おり彼の美貌に町行く人々は彼を横目で見るがあまりにもな依頼料に驚愕し早歩きになり去っていく。
「私が引きこもっていた千年で価格が急激に変動したというわけでもありませんし……何故誰も依頼しに来ないのですかぁーー!」
少年は引きこもっていたそれも千年。特別な人間族でもなければ確実に死んで土に帰る年月だ。
原因は明らかなのだが少年はわからないと、頭を抱え空に向け愚痴をあげるが、客が来ることはないく少年はかれこれ5時間ずっと宣伝し続けている。
「はぁ……、今日は運が無かったと帰りますかね…」
立ち上がり帰宅の準備を始めようとする、その時少年は声をかけられた。少年は営業スマイルを作り声を発した人物に向き直る。
「はい、私に何かご用でしょうか、お嬢様方?」
「…あなた依頼されれば何でもするのよね?」
少年はやっと依頼者が表れたと内心静かに喜びなが可憐な少女二人に向け、名を名乗る。
「はい、何でも屋を営んでいます、シャテン・デア・ドゥンケルと申します」
◆◆◆◆◆
彼の名は【シャテン・デア・ドゥンケル】最強の何でも屋だ。
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