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過去作品

つきのひかり (改訂版)

作者: たかげるげ
掲載日:2015/06/14

10年ほど前に書いた作品を、改定してみました。

これは事実を基に脚色した話です。設定も改定前と変え、事実に近いものにしました。

 放課後の教室、わたしと千早先生の二人しかいない。

そう、二人っきり・・・・。


 わたしは、ゆりか。中学一年生、最近この学校に転校して来た。不安いっぱいのわたしに、優しくしてくださったのが、担任の千早先生。

 千早先生は、ハネも乱れもひとつもない、まっすぐな髪。しわひとつない肌。朝見ても、放課後に見てもずっと同じようにきれいなまま。人って夕方になると疲れたような顔になる事があるけれど、千早先生はいつでもきれい。千早先生の年齢は30代・・・かな、結婚はされているけれど、お子さんはいないみたい。

 わたしは先生の近くに行くと、ドキドキする。この気持ちはよくわからないけれど、先生の授業の時間はずっと続けばいいな・・・と思ってしまう。


 ある日の事、私は千早先生に呼び止められた。

「放課後、時間があればでいいんだけど、この仕事を手伝って欲しいの。みんな、部活や何かで忙しくて、手伝ってくれる人がいなくて、困っているのよ」

千早先生は、困っている様子で、資料の作成の手伝いを頼んできた。わたしにもできそうな簡単な作業、わたしは快く応じた。


 放課後の教室、わたしと先生の二人っきり・・・・。

先生はまだ学校に慣れていないわたしを気遣い、色々話してくださったけれど、わたしはドキドキしすぎてなんて答えたか、わからなくなってしまう。


その時、男子が教室に入ってきた。確か隣のクラスのA君。

「先生~。ここ教えて~」

A君は教科書を持って、千早先生に話しかけた。先生は優しく応対する。しかしA君はなかなか話を終わろうとしない。こちらも仕事が止まってしまう。

「先生、遊ぼうよ~」

A君は千早先生を一生懸命誘おうとしている。A君も千早先生を狙っているようだ。

「ねえ、先生、tのライブ今度一緒に行こう」

tとは先生の好きな歌手。

「ごめんなさい、忙しいのでまた今度にして」

千早先生は断った。しかしA君はしつこく、千早先生を誘ってくる。

「ええと、ホチキスは・・・」

千早先生は、わたしに付いてくるよう、目で合図した。


「良かった、たまたま鍵を持っていたのよ」

 教室の隣の隣、資料が保管されている物置のような教室。普通の教室の半分の大きさ。普段は鍵がかかっていて、生徒は入る事はできない。わたしも今日初めて入った。

ドンドン。

閉めていた教室のドアから、けたたましいノック音がした。

A君はまだしつこく追ってくる。

「ゆりかさん、隠れて」

物置のような教室の大部分を占めるのは、先生用の大きな机。千早先生とわたしは、机に隠れた。タイトスカートにぴったりと閉じた足、こんな状況でもきれいに足を閉じて隠れる先生。先生との距離が近い・・・。


いつまでもこうしていたい。


気づくと外は暗くなっていて、つきのひかりが差し込んで来た。


わたし達は、つきのひかりにつつまれていた。

 


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