つきのひかり (改訂版)
10年ほど前に書いた作品を、改定してみました。
これは事実を基に脚色した話です。設定も改定前と変え、事実に近いものにしました。
放課後の教室、わたしと千早先生の二人しかいない。
そう、二人っきり・・・・。
わたしは、ゆりか。中学一年生、最近この学校に転校して来た。不安いっぱいのわたしに、優しくしてくださったのが、担任の千早先生。
千早先生は、ハネも乱れもひとつもない、まっすぐな髪。しわひとつない肌。朝見ても、放課後に見てもずっと同じようにきれいなまま。人って夕方になると疲れたような顔になる事があるけれど、千早先生はいつでもきれい。千早先生の年齢は30代・・・かな、結婚はされているけれど、お子さんはいないみたい。
わたしは先生の近くに行くと、ドキドキする。この気持ちはよくわからないけれど、先生の授業の時間はずっと続けばいいな・・・と思ってしまう。
ある日の事、私は千早先生に呼び止められた。
「放課後、時間があればでいいんだけど、この仕事を手伝って欲しいの。みんな、部活や何かで忙しくて、手伝ってくれる人がいなくて、困っているのよ」
千早先生は、困っている様子で、資料の作成の手伝いを頼んできた。わたしにもできそうな簡単な作業、わたしは快く応じた。
放課後の教室、わたしと先生の二人っきり・・・・。
先生はまだ学校に慣れていないわたしを気遣い、色々話してくださったけれど、わたしはドキドキしすぎてなんて答えたか、わからなくなってしまう。
その時、男子が教室に入ってきた。確か隣のクラスのA君。
「先生~。ここ教えて~」
A君は教科書を持って、千早先生に話しかけた。先生は優しく応対する。しかしA君はなかなか話を終わろうとしない。こちらも仕事が止まってしまう。
「先生、遊ぼうよ~」
A君は千早先生を一生懸命誘おうとしている。A君も千早先生を狙っているようだ。
「ねえ、先生、tのライブ今度一緒に行こう」
tとは先生の好きな歌手。
「ごめんなさい、忙しいのでまた今度にして」
千早先生は断った。しかしA君はしつこく、千早先生を誘ってくる。
「ええと、ホチキスは・・・」
千早先生は、わたしに付いてくるよう、目で合図した。
「良かった、たまたま鍵を持っていたのよ」
教室の隣の隣、資料が保管されている物置のような教室。普通の教室の半分の大きさ。普段は鍵がかかっていて、生徒は入る事はできない。わたしも今日初めて入った。
ドンドン。
閉めていた教室のドアから、けたたましいノック音がした。
A君はまだしつこく追ってくる。
「ゆりかさん、隠れて」
物置のような教室の大部分を占めるのは、先生用の大きな机。千早先生とわたしは、机に隠れた。タイトスカートにぴったりと閉じた足、こんな状況でもきれいに足を閉じて隠れる先生。先生との距離が近い・・・。
いつまでもこうしていたい。
気づくと外は暗くなっていて、つきのひかりが差し込んで来た。
わたし達は、つきのひかりにつつまれていた。




