5/7
魔王の娘 一話
「お茶とお菓子ですリカレット魔姫様」
「ラーナ、お前は運ばなくていいわよ」
ラーナは9割方、何もないとこでお茶をひっくり返すいわゆるドジメイドのような侍女だ。
ラーナは瀕死のところを父に救われた恩義から城に来た。
ならなぜ他の仕事またはクビにしないのお父様?
「へくし!!なんかすきま風が……」
この城もそろそろ修繕しなければならない時期かと父もいっていた。
「なんか視線を感じませんか?」
ラーナが指差したほうを見るが、小さな穴があるだけで別に気配とかはない。
「私魔王の娘よ、霊的なものを怖いとか言ったら笑われるわ」
「すみません」
ラーナが退室した。
「誰かいるの?」
ホラー系の映画ならヤバイと思いながら穴をのぞく。
「……」
――なんか、いま目と目があったわ。
「くせ者!?」
穴めがけて紅茶をかけると、悶えるような男の声がした。
「くらえ!!」
魔法で壁を破壊してやる。
「まさか自分城……げほっげっほ!壊すなんてな……」
男は背中に剣を背負っている。
「あーお前は!」
「あ、どうも。勇者でーす」