短編集:魔王と姫騎士から始まるようで始まらない
魔王「はあ…女勇者…何で魔王の俺を選んでくれなかったんだ…魔王とエルフで差があるわけでもない、というかどう考えても魔王のほうがカッコイイよな…ついでに俺はダークエルフで彼女が惚れたという噂の男は普通のエルフ、側近曰く都合のいいことに人間の女が好む容姿らしいから見た目で劣るわけじゃないしな?どっちかって言うとアイツが2Pみたいな?魔王が2P弓師に負けたんだ?女勇者は弓フェチなの?」
姫騎士「何をペラペラ独り言を言っている!降伏せよ魔王!」
魔王「俺が会いたかったのは女勇者であって女騎士じゃないんで、帰ってもらえます?悪いけど」
姫騎士「無礼な!わたくしは姫騎士!!ただの女騎士と一緒にしないでくださる!?」
魔王「姫騎士でも女騎士でも大差ないだろう性別は同じだしなどちかと言えば女騎士の方がメジャーだしそっちに来てほしかった…なんて」
姫騎士「失礼な!身分が違うわ」
魔王「戦場で身分は関係ない実質変わらな…」
姫騎士「ダークエルフとエルフも髪の色が金か黒かの違いよ!」
魔王「誰が2Pカラーだって!?」
姫騎士「自覚してるのね」
魔王「貴様!!いつから俺が女勇者に片想いして告白しようとした矢先、女勇者に彼氏が出来たと風の噂で聞いてしまい想いを告げる前に失恋した話を聞いていた!?
というかエルフとか2Pカラーの話は関係ないだろう!」
姫騎士「言わなくていいところまで喋らないで頂戴…大体、女勇者も女騎士と似たようなものじゃないの」
魔王「浅はかな…魔王と対をなすのは勇者だ」
姫騎士「そこは魔王に拐われるお姫様でしょう…目の前にいる」
魔王「拐う前に自分から来るような勇ましいお姫様はいりません」
姫騎士「受け取りなさいよ」
魔王「それは置いといて…騎士姫様が魔王の城に乗り込んだのは何故だ?」
姫騎士「魔王退治をやってみたかったから」
魔王「なにその理由…つまりヒーローごっこしに単身で乗り込んで来たわけ?」
姫騎士「そうよ」
魔王「…俺は魔王名乗ってるけど村を襲ったりはしてないしなあ」
姫騎士「襲いなさいよ!!」
魔王「なんで!?」
■
アライト「そう言えば女勇者さんはこのパーティーを創立したリーダーですよね?」
女勇「そうよ」
賢者「最初の仲間って誰です?」
女勇「うーん昔はある人と二人旅だったんだけどその人はある日突然いなくなっちゃったの」
アラ&賢者「え!?」
女勇「それでワタシが独り悲しみにうちひしがれていた時にエルフの弓使いさんが手を差し伸べてくれたってわけ」
賢者「はあ」
女勇「その日こう言われたの…一緒に仲間を集めませんか。ってだから気に入った人を仲間にしていったってワケ」
アライト「なるほど…でも少しおかしい部分があるような」
女勇「おかしい部分?」
アライト「エルフって森に住んでたり」
賢者「ああ…確かにエルフは本来人間を嫌う種族と聞いていますわ」
弓使い「何百年前の話だ…近代ではエルフと人間のハーフも珍しい事じゃない」
賢者「近代って…時代設定波状してません!?」
勇&弓「こまけえこたあいいんだよ」
■ 主人公と勇者と?
主人公「さあバラモンブッコロしにいきましょーかー」
勇者「はいはいはいストップー」
主人公「なんですか勇者さん、主人公の僕に何か?」
勇者「何か?…じゃないでしょう!何かがおかしい」
主人公「おかしい?何がおかしいのかさっぱりだ…装備もバッチリ、回復薬も満タン、レベルもスキルなどステータスもカンスト、目の前には魔王の城なんですよー?こんな強くてニューゲーム状態なのにまだ文句あるんですかー」
勇者「確かにそうだけどね、文句を言いたいのはそこじゃない」
主人公「じゃあなんです」
勇者「なんでお前が主人公?お前って職業なんだっけ?」
主人公「(名前欄が主人公なんですから職業は主人公じゃないですか?)見てわかれよ…」
勇者「()で区切る建前と本音が逆になってるンデスケド?」
主人公「見てわかれよ…」
勇者「ええっそっちが建前なの!?そんなことよりも主人公が職業なんてあるわけねー。つーか勇者=主人公が正しいだろうがお前勇者じゃないのに何で主人公なの?もう勇者いるから違うにしてもせめて騎士だよなそうであってくれよ頼むよ」
主人公「さあさあ、さっさとサルササルサ~」
勇者「なにその変な歌…見た目は人間だけど実はサルだったりすんの?」
主人公「いくつにみえる?」
勇者「年の話してねーし」
主人公「そんなに正体が知りたいですか?」
勇者「べつに」
主人公「フッフッフッ…実は…ま」
勇者「どうせ魔王とか言うんだろベタだなー」
主人公「冒頭忘れました?魔王退治にいく魔王なんているわけないでしょう」
勇者「いや、ま、のつく職業って魔王しかないじゃん?」
主人公「いやいや、いますよ、マリ○とか」
勇者「いやいや、それ職業じゃないからマリ○は人名だから」
主人公「なんと主人公は魔女だったのです」
勇者「それは盲点だった」
■ ロッドコレクター
ロッドコレクター女主「魔王って百年前に封印されたんだっけ」
男エルフ弓使い「うん、超ベタな百年前に封印されてる」
盗賊「魔王が生きてりゃ襲われる村人を助けながら報酬を貰えたんだがな」
遊び人「アンタ盗賊なのに村人助けてから報酬貰うのかよ?村人のくれる報酬なんて対した事ないよな、なんか欲しいなら盗みゃいいだろうに」
格闘家「盗賊より盗賊らしいな貴様は」
女主「魔王復活しないかなー魔王からアイテム強奪とか」
不良僧侶「あの…なぜ私の職業に不良がついているんですか?
というかロッドコレクターさんなに馬鹿なこといってるんですか…というか何ですかロッドコレクターって、杖を持っていて仲間の役に立つ職業の魔女や賢者でもないただの杖の収集人でしょう?遊び人と変わらないですよ」
騎士「まあまあ」
女主「ほら私って主人公じゃない?」
騎士&僧侶「「そーですね」」
遊び人「あのさ、前から思ってたんだけどパーティーメンバー多くねえか?」
女主「メジャーな職業の仲間っていいよね後は踊り子とか勇者もほしい…」
盗賊「なんか…この人は杖じゃなくて仲間を集めている気がする」
騎士「勇者はいりませんよ!女主さんの立場が危うくなりますよ」
不良僧侶「どうしたんですか騎士様、伝説の剣もってそうな勇者とせいぜいオリハルコンの剣を持つ騎士様じゃ上位互換になるから焦っているんですか?確かに武器がデカイ剣だから似たようなモノですけど皆気にしてませんよ?まあ貴方は別件でしょうが剣だけに」
騎士「変な詮索をするな不良僧侶」
女主「まあ勇者って偉そうだからいけすかないかも」
騎士「ですよね!」
弓使い「騎士というのは…陰口を叩くのが好きなのかねぇ」
騎士「大勢の前で言ったんだから陰口じゃないだろう」
女主「騎士がいるから勇者はいらないね!」
騎士「当然ですよ」
女主「勇者と騎士ってパッと見変わらないし」
格闘家「持ち上げて落とす…と」
■吟遊詩人と一期一会
「おーい!酒場にめちゃくちゃハンサムな吟遊詩人が来てるよ!」
「ぎんゆうしじん?」
「おや、しらんのかい?」
「うん」
「まあ、楽器を弾く語り部のようなもんだよ」
「へぇ…まったくわからない」
「あ!確かにハンサムですね!!」
「しっ声がデカいよ!」
「吟遊詩人ってなによ」
「歴史や物語りを音楽にのせて皆様にお届けするものが吟遊詩人です」
「本の運び屋?」
「良い例えですねお嬢さん」
「やめてよお嬢さんなんて鳥肌立っちゃうから」
ぱっと見ただけじゃ目の前の男か女かもわからない美人にキラキラまぶしすぎて別世界だ。
■姉上様の結婚破壊
ここは世界のどこかにある。
女公爵が統治し、女性が権力を持つ、メイキシェナ公国。
主に魔力を含んだ化粧品を生産している。
「結婚式をぶち壊したいの」
メイキシェナ=パルフュエ女公爵の娘にして、次期女公爵のアイシャは、執事1の背中に乗り、執事2の背もたれに寄りかかり、執事3のシャツを左手に、ネクタイを右手で掴みながら満面の笑みで語る。
「姉サマ、そのくらいにしてあげて~」
アイシャの兄弟、圧化粧のコスネイル。
「その気持ちの悪い話し方、やめなさいよ」
「うふふ、昔姉様がやれっていったのよぅ」
そんなこともあったかしら。
コスネイルは男である。
女公爵の二人目の子で、私の弟ではあるが、この国を継げないことになっている。
小さな頃、女の言葉を話せば弟でも継げるかと、都合よく思っていた。
しかし、現実は甘くなかったらしい。
「姉様はどうして私の婚約を破棄させたいのかしら」
「あんたの婚約相手が、ムカつくから」
「私は結構好きな感じよ姉様にそっくりで」
「うそおっしゃい!その理論でいけばあんたは私が嫌いなんだから、婚約者も嫌いでしょ」
「ふふふバレちゃった」