むかしばなしではない
「最近さ昔話が現代風にアレンジされているみたいだな」
「あぁカチカチ山とか結構な修正されているみたいだ」
「やっぱりあれかね、お遊戯会用に手直ししているのかな」
「そんなピンポイントではないと思う」
「浦島太郎はどんな風に修正されるのか」
「あぁあれ亀いじめる意外なんか問題のシーンあったか?」
「子供達とめるために買収するシーンとか」
「あぁそんな場面もあったような気がするな」
「じゃあこのシーンは亀がいじめられなければいいのか」
「それ物語始まらないから」
「じゃあむかし、むかし仲の良い亀と浦島太郎がいました、亀はいつも仲良くしている浦島太郎を竜宮城に招待しました」
「あぁいいんじゃない?」
「ただ、ここで問題が亀が浦島太郎殺人未遂、海に引きずり込み浦島太郎を殺そうとしたシーンとか」
「いや、まぁ確かに亀に乗っても死んじゃうなぁ」
「そもそも亀に乗る事自体もどうかと思う、ほらお遊戯会の時亀役はつらいから」
「ソコは置いとけ、亀のらず何に乗るんだよ」
「潜水艦」
「昔話はどこにいった」
「なら竜宮城には舟でいこう、どこかの無人島の隠れ家の愛称が竜宮城で亀の案内がなければ辿り着けない」
「まぁそれならどうにかなるか」
「次は浦島と亀の癒着シーン」
「ないよ、そんなシーンないよ」
「いや仲いいぐらいで、豪華な接待、これはなにかあるとしか思えない」
「仲いいのは改ざんしたからだろ」
「あれ?苛めを助けて豪華な接待というのもおかしくない?」
「ギリ許容範囲じゃないか?」
「まぁここは乙姫が手料理をふるまったり、乙姫が踊るだけという宴会のシーンだけでいいや」
「乙姫の扱い軽すぎだろ」
「そして、最後の問題のシーンは乙姫です」
「乙姫はなんかあったか?」
「浦島太郎殺人未遂」
「またかよ、浦島太郎本当にこいつらと仲いいのか」
「あれだよ愛憎故だよ、原作にもそのシーンがあったね」
「あったか?」
「玉手箱を渡す前を思い出して欲しい」
「確か、このままどうか竜宮城に残って欲しいと乙姫は引き止めるんだっけか」
「そうだけどそれは叶わなかったなら殺そう、これは現代のヤンデレに通じるね」
「だとしたら乙姫の発想が怖い」
「まぁ玉手箱をあけても大丈夫なものにしておけばきっと大丈夫だよ」
「何を入れるんだ」
「婚姻届」
「昔話どこいったお土産っぽいのにしろ」
「じゃあ饅頭でいいや」
「おうそれなら土産っぽいな」
「じゃあまとめるとこうなるね」
むかし、むかし浦島太郎と亀はたいそう仲がよかった。
そんなある日浦島太郎を亀は自分の隠れ家、通称竜宮城へ招きたいと浦島太郎を誘った。
竜宮城にむけて舟を亀の案内で進めていく、複雑な航路に加え、島についてからも亀の案内無しでは辿り着く事ができなかった程だ。
竜宮城ではうら若き美しき乙女、乙姫が浦島太郎を自慢の手料理、美しき舞にてもてなした。
浦島太郎は時がたつのを忘れるほど夢中になり、乙姫もまた浦島太郎に尽くした。
しかし別れのときはきてしまう、浦島太郎がそろそろ家にもどろうとしたが乙姫はすがってまだとどまるようにいう。
浦島は心ゆれるが、望郷の念を忘れる事はできず、乙姫に別れを告げる。
乙姫は決心したように玉手箱を土産に渡し、決してあけぬようにと告げ別れを惜しんだ。
そして再度亀の案内で家にもどり、亀はまた竜宮城へと帰っていった。
家に戻り数日たったが、あの竜宮城での出来事を忘れられない浦島太郎は、玉手箱をあけるとそこには、黄金色に輝く饅頭が玉手箱に敷き詰められていた。
浦島太郎はたいそう喜んだのも束の間、乙姫の匿名の密告により待機していた役人に盗人、横領の罪で確保された浦島太郎はつかまり牢へと送り込まれそこで罪を言い渡される日々に怯え、竜宮城での日々を懐かしむ日々をすごしたそうな。
「こんな感じだったら大丈夫かな」
「饅頭の時点でいやな予感はした」
「癒着後、竜宮城に高飛びそこで一時のロマンス、そして故郷に帰る浦島への乙姫の裏切り全く持って現代って恐ろしい」
「昔話だっていっているだろう」