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ヤンデレ死神少女 監視記録  作者: 黒炎 ルカ
死神兄妹との邂逅
6/31

記録その六 ヤンデレ兄との討論

「お兄ちゃん、黒縁か赤縁

どっちが良いと思う~?」


「やっぱり黒縁なんじゃない?」


「分かったー! 黒縁メガネね!」


「・・・ぬしらは・・・ふざけておるのか!!」


「何、叫んでるのー・・・バレるよー・・・?」



ラルーは黒縁のメガネを着けて私の話も聞かない。

ちなみにメガネは俗に言う渦巻きメガネである。



「ふざけているだろう・・・ぬし!!

そんな物、着けて外に出てみよ!

たちまち目立ちまくり、事の犯人であると特定されるぞ!!」



私は手にした携帯をラルーに突きつけ怒る。


私達はラルーの“瞬間移動”の能力のおかげで逃亡に成功したものの

逃亡時点で既に多くの野次馬が集まっていた・・・。


だから私達の姿を目撃されている可能性は高い・・・。

運が悪ければ写真を撮られているかも知れぬ故、

私は携帯で調べて見れば私達の映像がネットに拡散されていた・・・。

その映像に気付いた私達は公園の公衆トイレに避難。


今は必死に変装しようとしているところだが・・・。

幸いにもラルーは普段から様々な変装用のアクセサリーや服を

持ち歩いていた為、変装には困らない・・・。


けれども、肝心のラルーとルクトは変装する気がないのか

はたまた、どうでもいいと思っているのか・・・。

とにかく変装するにも手間取ってしまっているという訳である。



「そもそも3人でトイレに入ってる辺り不審者感満載でしょー?」



ラルーはそう呑気に言いながらようやく普通の黒縁メガネを着ける。

・・・そういえば何故、黒縁と赤縁の渦巻きメガネを持っていた・・・?



「イヲナ! 後ろを向いて頂戴!

フードを取るから!」


「・・・随分と徹底的に顔を隠すな・・・

しかし言わせてもらおう、

ぬしが私に兄の行方を聞く時、目を覆っている包帯がはだけておったぞ」


「っ・・・!?」


「特に気にしないし、誰かにその“目”の事を話す気はないから

そんな驚くでない・・・」


「・・・」



私は大人しく後ろを向き、しばらく待った。


ラルーは己の紅い瞳を忌まわしく思っているため

自分の素顔を見ただけで、その目撃者を殺戮するほどだ。


・・・とても美しい顔だというのに、もったいない。


それに、彼女の目には強力な力が宿っているようで

目に宿る能力を確認する事が監視人として重要な仕事になっている。

不思議で、美しい目の秘密を是非とも解き明かしたいものだ。



「・・・いいよ、イヲナ」


「やたら時間がかかっていたようだが・・・

なっ・・・!?」



思わず私は驚く。


ラルーは黒縁メガネを着け、

黒いレースの大きな帽子を被っている。

服装は真っ黒なドレス。


一瞬、未亡人に見間違えそうな格好である。

しかも、驚いたのは長く白いその髪をおろしているところだ。

髪でさえも徹底して隠そうとする傾向にあったはずなのだが・・・。


その上、ルクトも変装を済ましており

まるで執事のような黒い格好をして金髪のカツラを被り

青い瞳で爽やかな印象は外国人のよう


・・・どこぞの貴族の未亡人とその執事か、これは・・・。

もはやそれは俗に言う“コスプレ”では・・・?



「ほら、イヲナも変装なさい」



そう大きな帽子の鍔の影で目を隠すラルーは真顔で言った。

一応、包帯を目の周りに巻いているようだが・・・。

十分、そなたの方が不審者感満載だろう・・・?



「そ、そうか、そうだな・・・少し待っておれ」



私はそう言いつつ後ろを向き、

仮面を外し、袖の中から別の仮面を取り出し

それを着けて振り向いた。



「・・・!?」


「・・・えっ!?」



ルクトとラルーはものの見事に度肝を抜いておった。

私は普段、赤い線の走る白い面を着けているのだが

今は赤い線の走る“黒い”面に変えた。



「対して変わらないじゃない!?

服装もそのままだし! バレるって!!」


「そんな事はない、ネットの映像に写っているのは白い面の白い男だ

人々はそんな奇抜な出で立ちの犯人像を覚えていて、

特に白い面に強い印象を覚えているのだろう・・・


よって、この面を変えるだけで印象は全く違うものになる」


「いやいや! そんな事はないと思うけど!!?」


「では、確かルクトとの修羅場の続きであったな

場所を移して近隣の森にでも・・・」


「森ダメ! 町OK!

いいお店を知っているから、そっちに行こう! ね!?」


「・・・ラルーに任せよう」



そう言って私達は公園から出た。

ラルーの案内の下、いいお店とやらに向かっている。



「わ、あの人格好いい・・・!」


「あの黒い面の人、例のマンション事件の犯人のコスプレ?

似合ってるね・・・!」



私達が進むたびにすれ違う人が私達の事を話す。



「・・・本当にバレてないよ・・・黒い面に変えただけなのに

人間、そこまで馬鹿じゃなかったはず・・・! そうだよね・・・?」


「実を言うと、ネットではもう私達がマンションにいた時の服装が

話題を呼んでコスプレする者が多く現れていたのだ」


「え・・・? 話題を呼んだ・・・? なんで」


「単純にぬしとルクトのあのインパクトの大きい服装が

一般市民に衝撃を与えただけだろう


ルクトのあの禍々しさの強い出で立ち


ぬしのあの黒くもセンスのあるドレスに黒いマントの組み合わせ、


そして私の面


奇抜ながらもあらゆる人々の好みに合った服装だ」


「・・・よく分からないけれど・・・後でネットで調べてみるわ?」



私とラルーはなるべく人に聞かれぬよう声を潜めながら話す。

無論、この会話が聞かれた時点で犯人特定されてしまうから

会話はすぐに打ち切った。


しばらく進むとラルーは一つの店の前で立ち止まる。

そこは会員制の高級バーだった。


・・・裏の世界の者しか会員になれない、

まさに裏の人間のためのバーとしてかなり有名な店だった。


そこにラルーは会員証も提示せずに入っていった。

顔パスで入れるなど・・・余程の常連客なのか、

この店のオーナーと親しい仲なのか・・・。


私は得体の知れぬ緊張感に

冷たい汗が首筋を伝う。


実に・・・嫌な予感がしてならない・・・。



「そこの仮面男、ラルーの紹介だから後で会員証を作ってあげな

名前? 適当に仮面男でいいんじゃ・・・」


「冗談はよしてくれ、私の名は“イヲナ”

二つ名・・・? 悪いが、まだ駆け出しなモノで、ないのだ・・・

・・・出来次第、伝えよう」



バーの前で見張りをしている屈強な男に私の会員証を作るよう

ルクトが面倒そうに指示する。

危うく、会員証の名前を“仮面男”にされるところだった。


私はこのバーの存在を知っていたが、会員ではない為

ここには入れなかった。

というより・・・二つ名が出来てからここに来ようと思っておったのだが


すぐに私の会員証は出来上がり店の入り口で

見張りをしている男から手渡される。


しっかりと私の名が刻まれている。

その下には二つ名の文字の後、空欄になっている・・・。


・・・いい加減、二つ名を与えられるよう頑張らなくてはな・・・。


雰囲気の良いバーの中には既に何人か裏の人間がいた。

血の匂いの具合から、そこにいるのは殺し屋一人と情報屋二人。

そして掃除屋一人、と言ったところか・・・。


その全員が一斉にラルーとルクトを見るとその内の情報屋二人が立ち上がる。



「あ、“狂気の死神”と“終の死神”ですよね!?」



片方の女が少々、興奮気味に言う。



「マンションの事件! お二人の仕業ですよね!」



もう片方のなんと少年が女と一緒になってラルーとルクトに話しかける。



「貴方達・・・姉弟?」



ラルーはそう言いながら女と少年を見比べる。

確かに、どことなくこの二人は似ている・・・。



「はいッ! そうです!」



女の方は嬉しそうにはしゃぐ。

しかし・・・少年が情報屋をやるとは・・・実に大したものだな。

世も末だ。



「・・・そう・・・

マンションの事件、アレは私とコッチの仮面の男と一緒に

お兄ちゃん救出のために起こしたものなの、

まさかガトリングをぶっぱなされるなんて予想外だったわ~!」



穏やかに微笑むラルーはありのまま答える。

が、ラルーが私の事を指差した為、情報屋の姉弟と他の殺し屋と掃除屋が

私をジッと見る。



「・・・えと・・・コッチの人は・・・?」


「コッチの人は無名の殺し屋よ~

でも、腕は確かよ? ・・・そういえばなんで売れないのかしら?」



情報屋の弟がラルーに私の事を聞き、

ラルーが答える。だが不意に私が売れない理由を聞いていない事に

気付いたラルーはじーっと私を見る。



「・・・あまり殺しをしないからだ・・・。

準備にあまりにも時間をかけ過ぎるから、

一人を殺すのに、容易く何ヶ月も費やしてしまう」


「なんと! もったいないわ!

準備なんてしなくても掃除屋に依頼すればいいのに!

ねー! 鈴木さん!」


「私は鈴木という苗字じゃないんだが・・・」


「え? じゃ佐藤?」


「・・・違う」


「・・・とにかくせっかくだし、連絡先を聞いておきなさい!」



掃除屋の苗字を当てられずラルーは掃除屋の連絡先を

私に押し付ける。


どうやら仕事上の知り合いではあるのだが、

お互いの名前は知らないようだ。



「・・・おお! 死神ちゃんに死神クンじゃないか!」



だが、不意にそんな声がすると

私はその声の方を向いた。

そこにはバーテンダーらしい黒いベストに白いYシャツを着た男が

カクテルを銀色の盆に乗せて持って立っていた。



「あら、オーナーじゃない」


「なにそのカッコ」


「マンションで派手に殺ってしまったのよ・・・

だから急遽、変装したのさ!」


「その変装、似合う! 写真、撮っていい?」


「撮影を許可する」


「許可、感謝致す!」



軽い乗りでカメラをラルーに向けるオーナー。

・・・チャラい男だな・・・?



「あ、そうそう!

個室いいかしら?

お兄ちゃんとイヲナが修羅場るから!」


「修羅場!? なるべく問題は起こさないでなー?

でも修羅場は大歓迎だから思いっきりやって来い!」


「ありがとー! オーナー、ノリがいいね!」


「ハハッ! ありがとな! 死神ちゃん!」



死神ちゃん・・・?

愛称か?あだ名?冗談?

ふざけ過ぎやしないか・・・?


私は全力でこの軽すぎるオーナーを目視していると

ラルーは私の腕を引っ張って個室に連れ込む。

・・・修羅場は・・・全力で穏便に済ませる・・・!

その決意に身を固めた私はルクトと向き合う



「ラルーと二人きりになってた間、

何を話した? 何をした?」



ルクトは早速、私に質問を投げかける。



「ずっとラルーに質問責めにされていた

エレベーターに乗った時もエレベーターが敵のハッカーによって

止められた為、脱出するのに必死だった

そんな切羽詰った状況では何も出来ないであろう?」


「・・・そうか」


「・・・」


「・・・」



ここでお互い、黙り込む。

・・・先が・・・読めない・・・!


だが不意にルクトは大鎌を何もない空間から取り出すと

私の首めがけ振るう。


私はすぐに後ろに飛び、大鎌の刃から逃れる。



「ぬしッ・・・!」


「・・・確かに、特に何もなかったようだが、

エレベーターにラルーと一緒に乗った・・・?

何、密室空間で二人きりになっているんだよ・・・?」


「そんな当たり前に起こる日常の出来事さえも

許せないのか!! 妹をそんなに信用していないのか!!

信用していないのなら、それは“愛”ではない!

ただの“束縛”だ!! 不必要な束縛をして満足か!?」


「心配して何が悪いッ・・・!

僕は真剣にラルーの為を思っていて・・・・!!

ッ・・・!!」



だが、思いのほかルクトは言葉を詰まらせた。

ヤンデレは他人の話を聞かないと聞くが・・・・?


・・・否、ラルーを思う気持ちは誰よりも強いのだから、

ラルーを気遣っている・・・?

ラルーは想像を絶する悽惨な過去を持っているとされているが、

それは事実なのだろう。


ラルーの瞳を見れば解る・・・。


普段はそれを隠すように常に笑っているが、

ふとした瞬間に彼女は素に戻る時がある・・・。


たったの13歳で、あんな目をするなんて無理だ。

言い換えれば、13歳でそんな目をするという事は

深刻で悽惨で残酷で哀しい過去を過ごしたという事だ・・・・。


それを兄であるルクトが知らないワケがない。

だから彼女の傷に触れないように、彼女を守る為

人一倍に彼女を気遣い、彼女を想う。

あまりにもラルーが哀れだから―――



「・・・仮面男」


「私にはイヲナという名が」


「・・・イヲナ、あんた・・・

案外いいヤツなんだな」


「・・・そうか、私は悪いヤツに見えるのか・・・」


「全く、僕はラルーを救いたいって思ってたのに

いつの間にか必要以上に束縛してた

でも、束縛をするって事は信用出来ていないって事だ

僕はラルーを信用するよ」



穏やかに何か心の刺が取れたように、

驚くほどにルクトは安如に包まれた表情を浮かべると

ラルーの頭を撫でる。



「ありがとう・・・

私を信用してくれて・・・!

お兄ちゃん・・・!」


「でも、ラルーも僕を信用してくれよ?」


「もちろんよ! お兄ちゃん!」


「ラルー! 僕の絶世の美女な妹!」



そう言って抱き合う二人。


・・・一体、何回抱き合えば気が済むんだ?この兄妹は、

まぁ、何か二人の間にあったわだかまり?を解消出来たのなら

それはそれで良かったか。



「では、いい加減

私は帰るとしよう・・・」


「待ちなさい」


「・・・なんだ・・・?

ラルー」


「お礼がしたいので、今夜は飲み明かそう!!」


「・・・いや、別に・・・」


「 来 な さ い ? 」


「・・・分かった・・・」



ラルーの満面の笑みの圧力に負け、

私は半ば強引にラルーに腕を引っ張られ個室を出る。

個室で飲むんじゃないのか・・・?


カウンター席に座らせられ私を挟むようにルクトとラルーが

私の両隣に座る・・・。


逃げ場が・・・ない・・・だとッ・・・!?



「え、案外早かったな?

修羅場」


「あー、修羅場は穏便に済んじゃった」


「済んじゃったかー!

派手に喧嘩してくれれば賭けが出来たのになー!」


「そうよねー! オーナー!」



あの軽いオーナーがまたやって来る。

私はこのオーナーはあまり好きではないのだが・・・。



「あ、仮面男さん!」


「私にはイヲナという名が」


「二つ名決めましたー!」


「!?」


「“白い仮面男”てどうですか!?」


「・・・阿呆か ぬしらは」


「あちゃー! お気に召さなかったですか!」



先ほどの情報屋姉弟が私に馴れ馴れしく話しかける。

勘弁してくれないか・・・?


・・・今夜は・・・無駄に長くなりそうだ・・・!

酒はあまり好きではないのだがな・・・。





・・・・







「・・・“第3の作品”が

“最初の作品”と“第2の作品”と接触した

今すぐに私が送った画像の格好を再現し

何人かの影響力を持つ人間に依頼して、その格好で遊ばせろ」


「・・・?

“博士”、一体どういう意味ですか・・・?」


「“コスプレ”だ

分からんか?」


「いえいえ、そういう事じゃなくてですね・・・

この格好・・・

最初の作品、第2の作品、第3の作品の格好じゃありませんか!

一体、何をするおつもりで・・・?」


「・・・“第3の作品”には何が何でも成功させてもらいたい

分かるな? これは必ず彼の助けになる

必ず彼なら気付いて、利用するはず・・・

言うなれば、助け舟だ」


「・・・分かりました」


「ああ、早くしてくれ

・・・・遂に、“最初の作品”を『はつれる』チャンスなのだからな」





最後の会話は前半の、

3人の格好が話題になったという話の原因になります。

ここでイヲナに“助け舟”を出した男の正体は追々、分かります。

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