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ヤンデレ死神少女 監視記録  作者: 黒炎 ルカ
死神兄妹との邂逅
5/31

記録その伍 ラルーのヤンデレ兄に殺される?


「わ、私はこのラルーとはそこらへんで知り合ってな?

その、ラルーにいきなりぬしの誘拐犯の容疑をかけらていて?

危うく殺されるところだったのだ!!」


「・・・へー、殺されそうになった人間がなんで生きてるんだ?

なんでラルーと一緒にいるんだ?」


「・・・ぬしの情報が欲しく、ラルーについて来たのであって・・・」


「ストーカーか、死ね」


「待て!? ぬし!! 早まるな!!

ちゃんとラルーの許可を得てついて行ったのだぞ!?」


「・・・それは事実か、ラルー」


「うん、事実よ お兄ちゃん」


「なんでこんな訳のわからない男を信用した!!

そんなに僕が頼りなかったのかい!?

僕はこんなにも・・・ラルーを愛しているのにッ・・・!

ラルーはッ・・・!」



私は必死に助かるために事実をありのままヤンデレ化したルクトに伝え、

ルクトは事実関係を妹のラルーに確かめた。

呆気なく認めたラルーに対し、ルクトは尚更ヒステリックに叫ぶ。


・・・妙だ・・・ヤンデレなのは確か、ラルーであったはずなのに・・・。

ヤンデレはルクトになっているぞ・・・?

いやいや、違う・・・二人共、ヤンデレなのだ。

お互いに依存し合い、お互いに束縛し合っている・・・。



「お兄ちゃん、私は今も昔もずっと愛しているわ・・・!

だからこそ、急いで助けに来たのにッ・・・!

いきなり私の愛を疑われるなんて心外の極みよ!

このイヲナを連れたのは単に役に立つからよッ・・・!」



ラルーは反論をする。

その眼からは既に光は消え失せておる・・・。

何故だろう・・・私は巻き添えを食らいそうなのだが・・・?


しかも、単に役に立つから?

・・・私に対する扱いが少々、非道なのは気のせいか・・・?



「・・・」


「・・・」



そして黙ってルクトとラルーはお互いを見つめ合う。

断じて睨み合っているわけではない・・・。



「その、確認をしていいか・・・?」


「何だ 仮面男」


「・・・ぬしは・・・どうして誘拐されたのだ・・・?

私はぬしの誘拐の様子を一部始終、見ていたが

ほとんど抵抗しているようには見えんかったが・・・」


「僕やラルーに危害を加えそうな連中だから

わざと捕まってアジトを突き止めた後に皆殺しにするつもりだったんだ

・・・それに僕が誘拐されればラルーは必ず来てくれるって、

信じてたし・・・」


「単純にラルーに会いたかっただけなのでは・・・?」


「・・・鋭いな仮面男」


「・・・」



私の疑問を解決するためにルクト本人に事の真相を聞く。

・・・なんと迷惑な・・・。



「では、最後の・・・」


「それは私が独自に編み出した

“呪釘”の呪いを試したら死んだ

というだけの事よ」


「・・・」



本当に・・・根本から狂っている・・・。

そもそも、呪いは独自に編み出せる物なのか・・・?


私はなんでも欲求のためなら

簡単にやってのけてしまう二人を見比べ唖然としていた、

そんな時にそれは唐突に切り裂くように響いた。



「きゃぁぁぁぁ!!」


「!?」



突然、背後から叫び声が聞こえたのだ。


私はすぐに振り向くと

そこには恐らくこのマンションの住人であろう大勢の人が集まり、

この現場の惨状を知る事となった・・・。


それも無理もない・・・。


外廊下を埋め尽くすガトリングの撃ち落とされた弾丸と

薬莢、様々な銃・・・。

409号室の奥には首なし死体と生首が転がり

その入り口には大男の死体とガトリング。


そして・・・その現場の前に立ち尽くす

深くフードを被った女と血まみれの大鎌を持つ男に

仮面を着けている白い服に身を包む男。

明らかに私たちは不審者で、恐ろしいのだろう・・・。


しかし、私としては最悪の場面に来てしまった住人達が

哀れで仕方がなかった・・・。

何故ならば、当然・・・。



「・・・アハッ! 見ちゃった~?

なら、ば・・・仕方ないねぇ・・・!!」


「そうだね、ラルー・・・

もう、こいつ等は・・・殺さないとだねぇ・・・!!」



この狂ったヤンデレ兄妹に、殺される運命が確定してしまうからだ・・・。

ラルーはどこからともなく大鎌を手にするとルクトと共に

私を無視して住人達に襲いかかる。


住人達を助ける訳にはいかない・・・。

裏の事がバレては困るのだ。

このマンションで起きた出来事は、全て抹消される。

どうやっても、もう・・・この住人達を救える者など、いない。

見てしまった、ただそれだけで全てが終わったのだ・・・。


ラルーとルクトが交互に住人達の首を刎ねる。

大鎌を振るう度に血しぶきが上がり、首が地面に落ちた。

残酷過ぎる光景に、他のまだ生きている住人は腰が抜けて

血だまりの上を座り込む。ある者は階段から逃げようとしたが

ラルーがその目前に狂気の笑みを浮かべ現れるとその首を刎ねた。



「逃、げ、ちゃ・・・ダメじゃない~」



そう、後から言うラルーは残った数人を見下ろす。

その中には子供もいた・・・。


ラルーは大鎌を再び振るった。

ただのひと振りだったというのに、その数人の首は全て血だまりに落ちた。


あまりにも残忍だ。

少しの情けをかけても良さそうな場面だというのに

子供に対しても容赦なく・・・。



「さて、掃除屋に連絡しとく?

このいっぱいの死体と転がりまくってる薬莢やら弾丸やらの処理を・・・」


「いや、今更

手遅れのようよ、お兄ちゃん」


「・・・?」



ラルーはマンションの外を見下ろしながら言った。

マンションの外には既に人だかりが出来ていた。

・・・ガトリングの延々と轟く銃声はマンションの外にも響いていたか、



「逃げましょうお兄ちゃん、イヲナ

詳しい話はそこそこの変装をしてから

付近のレストランなどで・・・


いいでしょう? お兄ちゃんとイヲナの修羅場の続きはそこで」


「そうだな」


「え、ちょ・・・ぬし!? その話、今この場で解決出来ぬのか!?」


「出来ねーんだよ・・・ラルーと一時でも二人きりになってた現状は

到底、許せたもんじゃない・・・!」


「・・・」



・・・どうやら、修羅場はまだ終わらぬようだ・・・!


・・・いや、その前に、私は何かをしたか?

そんな覚えは一切、存在しないはずだったのだがのう・・・。

妙な話もあったものだ・・・。






次回、ヤンデレ兄と冷静男の修羅場をお楽しみ下さい

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