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ヤンデレ死神少女 監視記録  作者: 黒炎 ルカ
死神兄妹との邂逅
4/31

記録その四 ラルーの兄救出作戦その終

「ガトリングおじさん」


「俺には名前が」


「殺す人間の名前に興味ナシ」


「殺す気満々だな嬢ちゃん」


「ええ、絶対に貴様は殺すわ

だって私の愛おしいお兄ちゃんを狙ったのだもの

容赦はしないわ」


「・・・黙って聞いてりゃ、

なんだ? その勝利を確信したような態度は

俺のガトリングの餌食にしてやろうじゃねーか!! ネズミ!」


「・・・私はネズミではないわ、

・・・私は・・・敵を絞め殺す“蛇”よ」


「へッ! その言葉、後悔させてやる!」



ラルーとガトリング男はしばし無駄な口論をしていたが

大男はガトリングにおよそ4000発の弾丸が連なったモノを

装填するとすぐにガトリングは回転を始める。


それなのに狂笑を浮かべたラルーは全く動かない。



「おいッ! ぬしは死ぬ気か!?

例え吸血鬼だとしてもガトリングの弾丸の嵐を受けてみよ!

ただでは済まぬぞ!?」



一瞬で蜂の巣にされるのだ・・・。

かろうじて助かるかも知れぬが、当分は動けなくなるッ・・・!

監視対象が死んでは話にもならん!


そんな私の叫びをよそに

ほんの少しだけ、戸惑ったようにラルーは私に振り向くと


口を動かし・・・何かを囁くように言った。


しかし、それと同時にガトリングは弾丸を放ち

死の嵐が巻き起こされる・・・。


声さえマトモに聞けぬ程、延々と銃声が轟く。

私は死を覚悟し、目をつむった・・・。


しかし、弾丸は一発とて我が身には届く様子はない。

どういう事だ・・・?


私はつむった目を開き、その有り得ぬ光景を目の当たりにした。


・・・弾丸は全て、発砲されてもすぐに

何かによってはじかれ撃ち落とされる。


そしてガトリングの弾丸が撃ち落とされる度にラルーの足元には

様々な種類の銃が山のように落とされている。


ラルー自身は全く動いていないように見える・・・はずだ。

だが、それでもラルーが何かをしている事は・・・確かなのだ。


そして遂にガトリングの弾丸が尽き果てる。



「なっ・・・!!?

小娘がッ・・・! 何を!?」


「ねぇ・・・敵を一人だと思い込むのは・・・良くないなぁ?」


「はぁ!?」



茶化すようにラルーは弄ぶように大男を嘲笑う。

それと同時にガトリング大男が立ちはだかる部屋の奥から

脆い人間の断末魔が響いた・・・。


大男は咄嗟に振り向いた。


そこには、捕らえ監禁していたはずの・・・

“終の死神”が大鎌を手に、

部屋の中に残っていた者共の首を刎ねて殺していた。



「僕の絶世の美女な妹にさ・・・

何、手を出しているんだ? 小汚いゴキブリの分際で・・・」



そう、妹のラルーに対する溺愛ようを表すかのように

悪鬼の表情で首なし死体を見下ろす死神・・・。


彼こそが、“終の死神”

その名に恥じぬ狂いよう、恐怖心を煽る出で立ち・・・。


彼の者は、ボロボロの黒色のマントをはためかせ、

黒いYシャツに灰色のケープ、

鋭角なケープには縦に赤茶色のベルトが2本、対になって付けられている

薄汚れた作業着のようなズボンを黒いブーツにしまい込み

ブーツその物にも細い赤茶色のベルトを幾つも絡ませている・・・。

極めつけは黒い大きなゴーグルを着け

ケープの襟を立てて顎周りを覆い隠している・・・。


明らかに不審者な格好だ。

まぁ・・・私が言える事ではないが・・・。



「ガトリングおじさん、貴方だけは特別に

私の新しい“呪い”の実験台になってもらうわ・・・?

私の・・・愛おしく大切なお兄ちゃんを、ナメた制裁だ」



そう冷血な一言を大男の耳元で囁くと

驚いた大男はラルーに振り向いた。


それがいけなかった。


ラルーは振り向いた大男の額を無造作に掴むと

何やらブツブツと呟く・・・。


それを聞くたびに

大男の表情は見る見るうちに恐怖と絶望に歪んだ。

そして大男は喉を押さえつける。

ラルーはそれを待っていたと言わんばかりに大男を離すと、

力なく大男は膝まずき、倒れる。


ゲホゲホと、非常に苦しそうに大男は咳き込み

何かを吐き出した。


それは、釘だった。


そう、ごく普通の・・・釘ならまだマシだったろうに、

大男が吐いた釘は・・・五寸釘だった。

あからさまに激しく震えだす大男は血反吐を吐き、

もう、動かなくなった・・・。



「お兄ちゃんッ!! 会いたかったわ!!」



なんとも哀しい空気になり始めたところでそれを引き裂くように

ラルーは叫び、部屋の中の“終の死神”に抱きつく。



「きっと、助けに来てくれると思っていたよ・・・

僕の妹、ラルー・・・」


「世界を滅ぼしてでもお兄ちゃんを救うわ!

絶対に!」


「ラルー!」


「ルクトお兄ちゃん!」



ラルーは子供のように足をばたつかせ、はしゃぐ。

“終の死神”ルクトはそんな妹を愛おしそうに抱き上げる。

まるで娘を抱える父親のようだ。



「一体、何なのだ・・・このヤンデレ兄妹は・・・」



私はもう、唖然として

ドッと疲れが押し寄せてくる・・・。



「ラルー・・・

詳細を説明してもらってもいいか?」


「ん・・・?

何を説明すればいいの?」


「一つ、いかにしてガトリングの弾丸の嵐を突破したか、

二つ、“終の死神”は何故、誘拐されたのか?

三つ、ガトリング大男に何をしたか

全て、正しく答えよ」


「・・・まず、ガトリングの弾丸嵐突破の真相は

単純に私が手持ちの銃で撃ち落とした

最も、高速の弾丸嵐を突破する為に少しチートを使ったけどね」


「・・・チート・・・?」


「私、“時間操作”の能力を持っているの

だから、時間を止めたり時間の速度を早めたり遅めたり、

過去に遡る事も未来に飛ぶ事も、自由自在に操れるの」


「ッ・・・!?」



時間操作の能力だと・・・?

到底、信じがたい話だが

確かにラルーはそれらしき事をやってのけていた。


409号室、襲撃の際

ショットガンで扉を撃ったとき


あのとき、銃声もなく

いつの間にか扉を撃っていた。


それが時間を止めている間にショットガンを撃ったというのなら

あの理解不能な現象に説明がつく・・・。


それに、体重6キロだったり

吸血鬼を自称していたり、透視能力や読心能力を有していたり

今さら、この滅茶苦茶なラルーが“時間操作”まで出来ても

何らおかしい事はない。



・・・もはやこの女に、“普通”を求める方が愚かなようだ。



「タネは簡単

能力で時間を止めその間に銃を用意、

時が止まっている空間の中で撃ち落とし

時間停止を解除 弾丸は、はじかれ・・・


そしてすぐに時間停止、また発砲された弾丸を撃ち落とし・・・

を繰り返したの、簡単でしょう?」


「・・・ラルー・・・

この男、誰?」


「!?」



ラルーにタネを説明され関心していると不意にルクトが

定番中の定番のセリフを吐く。


まずい・・・これは・・・修羅場な展開・・・!?


一切、洒落になっておらぬ・・・!





ごめんなさい、ラルーがヤンデレ暴走する予定が

ルクトさんが黙ってなかった。

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