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とある少女の恋愛短編

とある少女の梅雨語

作者: 叶霜沙耶

空を見上げると雨が降りしきっている。


まあ、当たり前だ。


今は梅雨で天気予報でも雨が降ると言っていたらしいし。


私は普段からTVを見ないスタイルが祟って傘なんて高級品は持ってきていないが。


おかげで教室から出られない。


困ったものである。


皆は傘を持って来ていたのか既に教室には私以外誰もいない。


孤独である。


まあ、ぼっちには慣れているけれども。


ぼっちと言えばうちのクラスにも私と同じぼっちの男の子がいた気がする。


あの子はもう帰ったのだろうか。


帰ってないなら話してみたいものだが。


ボッチ仲間として。


よし、探してみようか。


いい暇つぶしになりそうだ。


私はそう考えて席を立った。


まずは、図書室。


扉を開けると中には誰もいなかった。


うーん‥残念。


だが、雨の日の図書室と言うのもなんだか乙なものである。


いつもはいる司書さんがいるはずなのだが今日は出張かなにかでいないらしい。


雨で全ての音が掻き消えているからかいつも静かな図書室が更に静かになり居心地がいい空間が出来ている。


本なんて滅多に読まないのにちょっと読んでみてもいいかなと思わせてくれる。


まあ、それはいいか。


次に行こう。


次は理科室。


理科の教師の不思議な趣味のせいか怪しげな空間が形成されている。


なにあの緑色に不気味に光っている肝臓。


中学の理科室にあっていいものなのかな。


ま、いいや。


次々。


次は食堂。


は、華麗にスルーして次の部屋に行こう。


今、担任の教師が見えた。


捕まったら速攻お説教コースだ。


私はお世辞にもいい成績とは言えないのだ。


受験年としては危機的なまでに。


まず、ボッチ仲間を探そうとしてる時点で私のアホさ加減が伺えるだろう。


さ、次々。


そこから時間をかけて色々回ったが結局彼はいなかった。


寂しい事だ。


そんな風に考えながら歩き続けているとなぜか不思議の国のアリスを思い浮かべてしまう。


まあ、私にそんなキャラは似合わないだろうが。


そうこうしている内にいつの間にかまた図書室に着いていた。


‥どうせいないだろうけど入ってみようか。


そう思って扉を開けてみた。


‥やっぱり誰もいない。


もう、帰るか。


歩き疲れちゃったし。


そのまま図書室の扉を閉め荷物を取って帰ろうと教室に戻ろうとすると‥


『あれ、まだいたの?』


いつの間にか後ろに彼がいた。


『うっ、うん。ちょっと図書室に用があって‥それに、雨も降ってて帰れないし。』


突然の事で少しビックリしてしまった。


だが、ずっと探していたので見つかって少し気分が高まる。


少し話もしてみたいし。


『ああ、僕と一緒だ。じゃあ、一緒に帰らない?一人で帰るのもなんか味気ないしさ。』


不意打ち過ぎるお誘いだった。


彼の腕にはいつの間にか傘が握られている。


一緒に帰宅するのを友達みたいに気軽に誘ってくれた彼の優しさが‥


なぜか嬉しい。


あ、これでは相合傘になるが‥


まあ、いいか。


『しょうがない。一緒に帰ってあげる!』


そう言って私は笑った。


これは、一人の少女と寂しがりやで孤独な少年が恋に落ちる物語の第一章。



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