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グルノーブルの守り魔女

「それで、お前がこのグルノーブルの

守り神だそうだな?」

シルビアが興味津々にファンティーヌに尋ねる。

「守り神だと?

私は神様なんかではない」

ファンティーヌはあっさりと答えた。

「なーんだ」

シルビアががっかりする。

「神様なんかではなく、魔女だ」

ファンティーヌが修正した。

「魔女だって?」

フラビオが少し興味を示した。


「そうだ、本物の魔女なんだぞ」

ファンティーヌが少し自信のある表情になった。

「だとしたら、あんたは魔法を使えるのか?」

フラビオが質問する。

「当然だ」

「じゃあ、見せてみろよ」

シルビアが半信半疑で質問した。

「それは無理だ、私は頑張るのが苦手でな」

ファンティーヌがだるそうに答える。

「私は魔法を使うと疲れるんだ、

魔法を一回使うたびに200キロカロリー消費だぞ」

「結構消費するんだな」

フラビオが哀れんだ。

「半身浴二時間分の消費カロリーだ」

「あれ、大変な感じしないな……」

フラビオがずっこける。

「おぉ、半身浴はそんなに効果があるのか」

シルビアが感心した。

「それ今関係ないんじゃないかなぁ」

フラビオが呆れる。


「それでも大分疲れるんだぞ、

100m走五本分ぐらい疲れるぞ」

ファンティーヌが深刻な表情で言う。

「それは大変だな」

シルビアが同情した。

「ところで、魔女裁判なんかにかけられたことは

無いのか?」

フラビオの質問が続く。

「あるぞ、有罪だった」

ファンティーヌが笑顔で答える。

「有罪って、大丈夫だったのか?」

シルビアが尋ねる。

「大丈夫じゃなければここにはいない」

「確か、火あぶりとかにさせられるんじゃ

無かったっけ?」

フラビオが疑問に思うと、ファンティーヌは

笑顔で答えた。

「されたぞ、あれはとても熱かったな

二時間ぐらい丸焼きにされたが、

火傷一つ負わなかった」

懐かしそうに回想した。

「噓だろ?」

シルビアが驚く。

「だから鉄の処女アイアン・メイデン

処刑されることになったんだが、

そこに入れられた後でも私は

無傷で出られたんだ」

ファンティーヌが笑う。

「あれはちょっとチクッとするだけで

痛くは無いぞ、今度入るか?」

「遠慮します」

フラビオが首を振る。


「私がいつまでも死なないせいで

町中はパニックになったんだがな、

ある日グルノーブルに竜巻が訪れたんだ」

「それで?」

シルビアが興味津々で続きを楽しむ。

「私はその竜巻を魔法で消したんだ、

そうしたら街の人たちは手のひら返しをしてきた、

腐ったパンしかもらえなかった食事が

ロブスターやステーキに変わった」

「すげー」

シルビアが御伽噺を聞く子供のように

大はしゃぎする。


「まぁ、これも百年前の話だ

あぁ、ひと夏のいい思い出さ」

ファンティーヌが思い出し笑いをする。

「ひと夏の思い出感覚なの?」

フラビオが驚嘆する。


「その魔法、どうやるんだ?」

シルビアの質問に対しファンティーヌは

「教えてやってもいいが、次の日からは

筋肉痛だぞ?

二日目の筋肉痛はやばいぞ」

恐ろしげに話す。

「筋肉痛がそんなに辛いの?

アイアン・メイデンのほうが辛そうじゃね?」

フラビオが叫ぶ。


これらの一連の話をフラビオは信じてなかった。

話の内容が胡散臭くて、

疑う気もなかったのだ。

「こんな奴がグルノーブルの守り神、

いや、守り魔女か……」

フラビオが少し呆れた。

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