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刀の切れ味

その日の晩、シルビアは

ダニエルから買った日本刀の切れ味を試すべく

木に向かって刀を振りかざした。

すると、木は見事に真っ二つとなった。

「すげぇ……」

フラビオは唖然としていた。


「ふふ……

さすがにまだ切れ味は落ちていないようだな」

シルビアが不敵な笑みを浮かべている。

その様子を見たフラビオは何か変だと思った。

しかし、日本刀を鞘に収めた途端、

シルビアはいつもの明るく元気な表情で

「おーいフラビオ、夕飯にしよう」と

笑顔でフラビオに手を振った。

「気のせいだったのか?」

フラビオはそう解釈した。


翌朝、シルビアとフラビオは

フランスのグルノーブルという街に着いた。

町の広場に行くと、一人の女の

銅像が設置されていた。

「これは誰なんだ?」

フラビオはふと疑問に思った。

「あぁ、ファンティーヌ様じゃよ」

広場の屋台で果物を売っていたおじいさんが

フラビオに教えてくれた。

「ファンティーヌ様? 誰なんだ」

フラビオが問いかけると、おじいさんは

こう教えてくれた。

「この街を守ってくれておられるお方じゃ、

今もこの町に住んでおる」

「面白そうじゃないか、おいフラビオ、

行ってみようよ」

シルビアがりんごを食べながら言う。

「この街の教会に居候されておられる」

老人がそう言うと、シルビアは

教会へ向かって走り出した。

「待ってくださいよシルビアさん」

フラビオがシルビアを追う。

「おいあんた、代金は?」

おじいさんが必死に問いかけたが、

その声は二人には届かなかった。


シルビアは教会に入ると、そこの牧師さんに

「おい、ファンティーヌはいるか?」と

挨拶もせずに問い詰めた。

「何の御用ですかな?」

牧師が焦っていると、「申し訳ありません、

実は我々はトスカーナからやってきたイタリア人でして……」

フラビオが必死に説明する。


ファンティーヌはいつも教会の地下室に住んでいるらしく、

ファンティーヌの部屋の前の扉には

「仮眠中」と書かれた札が掛けられていた。

「今は入ることが出来ませんが……」

牧師が注意すると、シルビアは

「トスカーナの姫君の言うことが聞けぬのか?」と

権力行使をしようとしてきた。

牧師は何も言えなくなってしまった。


部屋の扉を開けてみると、その部屋の床は

とても散らかっていた。

パンやお菓子の食べかす、漫画などが散乱していたのだ。

「うぅ、汚い部屋だ」

フラビオが床を掻き分けて進んでいると、

床に一人の女が横たわっているのを見つけた。

「おぉ、お前は……」

シルビアはようやく探し物を見つけたようだ。

「おーい、起きろー」

シルビアが女を揺すると、女は目を覚ました。

「どうしたんだ?」

眠そうな声で呟くと、こう続けた。

「お前はシルビア・フィオラヴァンティだな?

私に何の用だ?」

「なぜシルビアさんの名前を?」

フラビオが驚いていると、女は

「私に知らないものは無いぞ」

だるそうに体を起こしながら言った。

「私がファンティーヌ・アンジブースト、

24歳独身、恋人募集中だ」

「おぉ、あんたがファンティーヌか」

シルビアは目を輝かせながら言った。

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