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ムンドリー商会

シルビアとフラビオはフランスへと向かっていた。

二人の旅のルートは、

フランスからプロイセンへと行き、

そこからオランダの船からイングランドへ向かう予定だ。


二人が森を歩いていると、一人の男が

大きな荷馬車の後ろから降りてきた。

馬車には「ムンドリー商会」と描かれていた。

「やべっ、あのおっさんだ」

男を見たシルビアが焦った表情をする。

「あの男がどうかしたんです?」

フラビオはシルビアが焦る理由が

分かっていなかった。

「これはこれは、シルビア・フィオラヴァンティ様

お久しぶりでございますな」

男が帽子を脱いで頭を下げる。


男の名はダニエル・ムンドリー、42歳の

オランダ人商人だった。

「お前の店からは絶対買わないからな」

シルビアがダニエルをにらみつける。

「この男は以前から私の城に押し売りに来ていたんだ、

でもどの商品もインチキばっかりだったんだ」

それを聞いたフラビオはダニエルに

「そういうことだ、道を開けてくれ」と

忠告した。


するとダニエルは荷馬車に向かって手拍子を打つ。

すると従業員と思われる男が一つのドアを

持ってきた。

「どうです、今日の商品はこちらになります」

ダニエルがドヤ顔でドアを紹介する。

「それがどうしたんだ?」

フラビオがダニエルに尋ねると

早速商品の解説を始めた。

「こちらのドアは自分が行きたいと思った

時代に行くことのできるドアとなっていて」

「よし、買わないぞ」

ダニエルが説明している途中で、

シルビアはきっぱりとドアを断った。


「そうですか、では次の商品を……」

ダニエルがそう言うと、傍らに立っていた

従業員が刀を差し出した。

「実は私は日本にある出島というところで

幼少期を過ごしたのですが、

そこでこんな代物を手に入れたのです」

そういうと、日本刀を二人に向けた。

「これは日本刀と言われるものでしてね、

とてつもない切れ味を誇るものなのです」

「普通の剣に見えるけど?」

フラビオの疑問を解決させるべく

ダニエルが従業員に声をかける。

すると従業員はダニエルの前に

鉄で出来たテーブルを置き、その上にゼリーを置いた。

するとダニエルは、刀を振りかざすと

そのゼリーを一刀両断した。

「どうです? 料理にだって使えますよ」

ダニエルが自信たっぷりに言う。

「料理には使わないだろ、

てかもっと硬いもの切れよ!」

フラビオが突っ込むと、今度はダニエルが

ポータブルDVDプレイヤーを取り出した。

「おい、それは何だ?」

シルビアが尋ねると、ダニエルはこう答えた。

「これを使えば、好きな映像を見ることが出来るのです」

そう言いながら、ダニエルはDVDを再生する。


すると、おそらく役者と思われる男が

勇者の格好をして森を歩いていた。

すると、男の前にゴーレムが現れた。

「叩き切ってくれる」

男が棒読みで叫び、刀を抜き

ゴーレムに切りかかる。

しかし、刀が逆に折れてしまい、

ゴーレムに襲われそうになった男は

一目散に逃げ出した。

「どうです、日本刀を使わなかった男の

末路がこれです」

ダニエルが答えた。

するとすぐに、次の映像が再生された。

するとやはりさっきの男がゴーレムと遭遇した。

男は日本刀を取り出すと、ゴーレムを

真っ二つにした。

すると男は画面に向かって

「これのおかげでオレは助かりました、

ありがとうムンドリーさん」と

カメラ目線で言ってきた。


「どうです? これさえあれば

あなたの旅も怖いもの無しですよ」と

満面の笑みでシルビアに語りかける。

「でも、お高いんでしょ?」

シルビアが大げさなリアクションで尋ねる。

「とんでもございません、これでなんと

1万8000ゴールド、

分割払いも可能ですよ」と

自信たっぷりにダニエルが答えた。


シルビアはドロテアから旅費として

1000万ゴールドをもらっていた。

シルビアは日本刀を即決で買った。

「あ、クーリングオフは二週間までと

させていただきますので」

再び旅に向かう二人を

ダニエルは手を振って見送った。

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