「一度、日本に戻らせて下さい」
朝早くに目を覚ました僕は、大きな鏡のある洗面所に息を荒げてやって来た。
「…はぁ、はぁ」
そして曇りの無い鏡を覗き込む。
「………そんな」
ー戻ってない。
「…」
ウシロガミの発動が、解けていない…!!
白い髪に、少し赤びた両目。
こうなってしまった原因は、大方予想がつく。
「……魔人、か」
ー魔人に殺されてしまったからである。
…恐らく、いや、確実にそうだ。
僕自身がいちど殺されてしまったことにより、ウシロガミのチカラが外側に溢れ出して来ているのだ。
「………」
(今の姫はわしが若い頃に比べて遥かに弱体化しておるのじゃよ)
じいさんの言葉が今更になって、僕の心の奥底に突き刺さる。
「…弱体化してこれか………」
僕は、鏡にうつる僕の顔を、力を込めて殴りつけた。
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僕は学校長室にやって来た。
「ごきげんよう、後神京くん」
今度は呼び出されたわけではない、自分の意思で、やって来たのだ。
「…学校長、お願いがあります」
学校長の表情は見て取れない。
「………僕を」
僕は息を整えてから言う。
「一度、日本に戻らせて下さい」
魔人編終了です!
ここまで読んでいただいた方々に感謝を、そしてこれからもよろしくお願い致します。
次の物語も近いうちに投稿します。