第2章 再会
~旅行は老若男女問わず、人々を魅了した~
センター道路まで来ると、自転車に乗った人が増えた。
道路も渋滞こそしてないものの、この時間帯にしては異常な交通量である。
今日は2時までに浦和市までたどり着く予定だ。時間に余裕はあるし、車線の端っこでのんびりと進む。
気温はちょうどよく、汗もあまりかかない。月明かりと街灯のおかげで周りは明るく、事故の心配もない。ところが、それは都会だけの話で、田舎では交通事故が多発してるという。
すでにいくつかの市では、深夜の道路通行を禁止している。
橋を渡ると、ようやく浦和市についた。今日は県庁記念公園の横にある、浦和旅行センターで泊まる。
ここは旅人のための、寝るためだけの宿だ。今ではそれなりの規模の町には、必ず1つある。
さすがにこの時間になってくると眠い。2:30 眠りについた。
起きると、すでに周りは誰もいない。
しまった、寝過ごした・・・。
本来なら4時にここを出て、5時から船に乗って群馬入りをし、高崎まで行く予定だった。
が、今は4時50分。ここから荒川の秋ヶ瀬船着場までは1時間近くかかる。
ともかく行かなくては。船は1時間おきに出ているが、ほとんどが熊谷止まりだ。高崎まで行く便は2便しかなく、次は夜だ。
それでも、仕方ない。
急いで支度をし、急いでこいで、なんとか6時の熊谷行きの船に乗り込めた。
熊谷には10時につく。そこから先は、まだ何も決めてない。
本当なら船内で仮眠を取るはずだったが、計画をねらなくてはいけなくなった。
そのとき、ふとあいつのことが蘇った。あいつだったら、こんな時どうするだろう・・・。
あいつは特別頭がいいわけでもないが、旅になると頭の回転がいつもの倍になった。
どんなピンチに遭遇しても、すぐ代わりのルートを決め、途中どんなアクシデントに遭遇しても、きちんと目的地につき、帰ることができた。
あの1回を除いては・・・・・・
ルートは決まらないが、そろそろ寝ないと体が持たない。
きちんと睡眠を取らなかった旅行は、必ず失敗する。睡眠をとることは旅で最も重要なことの1つだ。
どうするか迷ってるうちに、体が寝るを選択してしまった。
気がつくと、熊谷にもう着いていた。
急いで降りて、とりあえず旅の窓口まで足を運ぶ。
中に入ると、
「あ、・・・」。
「あれ」。
4年前。俺がまだ中学の時、好きだった子がいた。
あの旅の前の晩、告白した。
フラレてしまったが。