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黒い夢と赤い夢Ⅰ ――魔女狩り――  作者: 葉都菜・創作クラブ
第5章 †決戦† ――連合政府首都ティトシティ――
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第36話 ラグナロク大戦

 【連合政府首都ティトシティ 飛空艇着陸場 司令艦】


 あの戦いから3日が経った。私とセイレーンはケイレイトの司令艦にいた。これから大陸西南部のアレイシア支部へと向かう。

 私たちが殺した連合政府リーダーのパラックルは、サキュバスをシリオード大陸とコスーム大陸にて大量に売り出し、大儲けしようとしていた。

 しかし、パラックルは死んでしまった為、捕えた3000人ものサキュバスの処理はケイレイトと私に任せられることになった。


「ケイレイト将軍、サキュバス3000人、各艦に収容完了しました」


 1人のクローン・コマンダーが部屋に入り、ケイレイトに報告をする。彼女はコマンダー・レス。連合政府の軍事施設――“アレイシア支部”の改築工事監督をやっていた。彼女が私の方を向き、自慢げな笑みを浮かべる。


「コマンダー・アレイシア中将、アレイシアの改増築工事、4日前に終了しましたよ!」

「あ、どうも……」

「アレイシア支部改め、アレイシア本部は巨大な城に変わりました! これも私の努力の――」


 私の居城ともいえるアレイシア支部は、私がシリオード遠征の前にコマンダー・レスの指揮下、増改築の工事を始めた。

 約3ヶ月の工事を得てアレイシア支部は広大な敷地面積を誇る要塞へと変貌した。敷地面積だけでなく、地下何百メートルにも及ぶエリアを有し、本部要塞自体の高さも何百メートルもある。

 この増改築によってアレイシア支部は連合政府の所有する施設の中でもトップクラスを誇る施設となった。


「じゃ、コマンダー・アレイシア中将! あ・な・た・のっ!、アレイシア本部に向けて出発進行しましょうーっ!」


 コマンダー・レスは1人で意気揚々と部屋から出て行く。しばらくすると、私たちの乗った飛空艇は動き出す。窓を見れば、外の軍艦20隻、コア・シップ3隻も次々と浮上していく。


「結局、シリオード計画は失敗したね……」


 突然、ケイレイトが思い出したかのように言う。シリオード帝国軍の強さは予想以上だった。あの戦いでコマンダー・モルやコマンダー・レイ、大勢のクローン兵が犠牲になった。

 私の計画も崩れた。ケイレイトをシリオード王とし、私自身は彼女の後任として将軍になりたかった。そうすれば、連合政府の半分は手に入るハズだった。

 連合政府のティワードやコマンドら連合政府リーダーを殺し、完全に連合政府を掌握できれば、国際政府を倒すつもりだった。つまり、それは黒い夢を倒すということでもあった。


「……まだ、希望はある」


 部屋の隅で黒いフードを被ったセイレーンが言う。彼女については、ティワードらには死んだと報告しておいた。もちろん、捕まっていたコマンドにはカネを握らせ、深く追求されないようにしておいた。


「まだ死んだワケじゃないよ。生きていれば、きっとまたチャンスが来る」

「……そうだな、セイレーン」


 新たにアレイシアに配備されたクローン兵80万。この軍勢を統括するのは私だった。


「また、頑張ろう。コマンダー・アレイシア“将軍”」

「……将軍、か」


 反逆者パラックルとセイレーンを討ち取った手柄、コマンドの救出。私は遂に連合政府リーダーでもある七将軍の1人となった。

 連合政府議会では、ティワード、バトル=オーディンの2人は反対。それ以外の連合政府リーダーは賛成票を投じた。これも、私が貪欲で愚かな連合政府リーダーたちに賄賂を贈ったからだ。


「蛇の道は蛇。連合政府の体質は知ってるさ」

「…………? どうしたの?」

「なんでもない」


 シリオードでの敗北。サキュバス王国での勝利。どちらも悲劇でしかなかった。この戦争で大勢の人間が死んでいった。それでも、まだ戦いは終わらない。ラグナロク大戦の終わりはいつになるのだろうか? そして、最後の勝者は……?


「コマンダー・アレイシア、“アレ”はどうするの?」

「……私のオリジナルのことか?」

「そう。あなたたちクローンのオリジナル」


 実はフィルドは瀕死の状態だが、生きている。あれほどの攻撃を喰らっても生き延びるほどの生命力。間違いなく、アレは普通の人間じゃない。

 彼女は以前、捕まった時に生体実験の実験台にされた。間違いなくそれが関係しているのだろう。常識的に考えて、普通の人間が魔法や超能力を操れるハズもない。

 そして、私たちクローンが生み出されたワケも、ただ単に軍事利用だけじゃない。彼らは彼女の完ぺきなコピーが欲しいのだろう。完ぺきなコピーを使って、また新手の遺伝子実験を……。


「彼女を連合政府なんかに渡したら、ティワードの怪しげな生体実験計画が進んでしまうからな」


 非人道的な実験と訓練。前者は生体実験計画を進め、後者は軍事力を増幅させる。どちらも、私たちにとっては苦しいものでしかない。彼らは私たちを人間として見てくれない。サキュバスも、クローンも、人間との差異はそれほど大きくないにも関わらず、私たちの扱いは人間以下だ。


「ラグナロク大戦、早く終わるといいね……」


 そう言ってセイレーンは出て行く。彼女はこれから捕まったサキュバスと一緒にサキュバス王国に戻る予定だ。

 破滅のラグナロク大戦。惨禍は世界中に広がっている。終わりはまだ見えない。でも、いつか終わらせる。いつか、連合政府を倒し、邪悪な黒い夢を砕いてやる――!

◆アレイシア本部

 ◇中央大陸南西にある連合政府の軍事施設。

 ◇管理官はアレイシア。

 ◇シリオードに向かったクローン兵とは別に、50万人がいる。

 ◇コマンダー・アレイシアの「アレイシア」はここから取った。

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