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黒い夢と赤い夢Ⅰ ――魔女狩り――  作者: 葉都菜・創作クラブ
第3章 †虐殺† ――アポカリプス大陸――
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第19話 生存競争か戦争か――

※アヴァナプタ視点です。

 【サキュバス王国 聖地 正門前】


 炎上する聖地。何百年もサキュバス王国の首都であり続けた地は今、滅びようとしていた。私は火の粉の舞う聖地を冷たい目で見ていた。


「アヴァナプタ将軍、聖地を完全包囲。森のサキュバス共のほとんど狩り尽くしました」

「みんな、ご苦労」


 私は後ろを振り返る。白いマントを熱風になびかせるのは、黒い服を来た8人の男性。プロヴィテンス、フリゲート、アクセラ、ギャラクシア、コスモネット、グレート、ログリム、リーグ。連合軍の名将と名高い中将たちだ。


「さぁ、行こう。ディオネの首を取るぞ!」


 私は2つの血に染まった蒼い扇子を取りだす。残るはディオネの首。彼女を殺せば任務は終わる。サキュバスたちを統合するリーダーがいなくなれば、彼女たちは何も出来ない。

 ディオネさえいなければ、セイレーンは何も出来ない。もう、仲間を募る事も出来ないだろう。この事件で、彼女を側に置くと禍を呼ぶことが分かったハズだから。


 私たちは歩き出す。私を筆頭に、後ろからは8人の中将。そして、バトル=メシェディ軍団。精鋭を率い、私はあの女を殺す!

 隊列を組んだ私たちは燃え盛るサキュバスの聖地へと入って行く。その一糸乱れぬ足並み。サキュバス滅亡の足音にも聞こえた。

 これも生存競争。命の争い。人間と魔物の避けられない宿命。弱き命に生きる術はない。強き者だけが生き延びる――!





 【サキュバス王国 聖地 内部】


「いやあぁ!」

「やだ、やだぁ!」

「死にたくない!」


 聖地内部。まだ戦いが続いていた。僅かな生き残り。バトル=アルファたちは魔物を複数で取り囲み、次々と射殺していく。

 死体を見れば、ある者は焼かれ、ある者は射殺され、ある者は自殺していた。サキュバス王国はもう終わり。魔物の王国は今日を持って終焉を迎える。


「あああああ! 殺してやる! 殺してやる! 殺してやる!!」


 突然、天井から1匹のサキュバスが現れる。彼女は手に調理用のナイフを持っていた。頬を涙で濡らし、恐ろしい形相で私に飛びかかってくる。

 私は彼女に向けて鉄扇を振る。その途端、そのサキュバスは目を抑えて、床に落ちる。この鉄扇、振ると針が飛び出す仕組みになっていた。


「うあああああッ! ちくしょう! なんだこれっ! 卑怯な飛び道具! 正々堂々戦えぇッ!」


 私は涼しい顔でリボルバーと呼ばれる強力なハンドガンを取り出すと、叫び散らす魔物の頭を吹き飛ばす。彼女の頭は弾け飛び、血をまき散らす。

 卑怯な飛び道具、か。このリボルバーのことかな? それとも、針? アサルトライフル? まぁ、いいか。私には関係のない話だ。


「強さこそが、正義だ」


 私は歩きながらポツリと呟く。強い者が正義を決める。歴史だってそうだ。勝った者が正義なんだ。弱き者は強き者に逆らうんじゃない――。

 この時、私はふと昔のことを思い出す。私もこのアポカリプス出身だ。いつも強い者が弱い者を虐げ、殺していた。この大陸ではそれが当たり前だった。


「この殺人鬼! 殺してやる! 私が、お前を――!」


 柱の陰に隠れていたサキュバスが飛び出す。その手には紫色をした半透明の剣。私は片手でそれを防ぐ。後ろに控えていた中将のフリゲートが彼女に近づき、その腹を斬り裂いた。血を撒き散らし、内臓をはみ出させながら、彼女は逃げ出す。

 命をどうするか決めるのは、強い者の特権。それが私の経験だった。

 私はリボルバーで彼女の右脚を吹き飛ばす。彼女は奇声にも近い悲鳴を上げる。こっちを向く。涙の零れる瞳には強い憎悪が宿っていた。私はその瞳を目がけて、発砲した。


「外来の悪魔に、永遠の呪いを――」


 それが最期の言葉だった。魔女の頭は吹き飛ぶ。彼女の身体は、力を失って石の床に倒れ込む。なにを言ってるんだ、魔女は。

 私は気にしないで進んでいく。気がつけば、周りからはサキュバスの泣き声と嘆きの声は聞こえなくなっていた。銃撃音も同じく。逃げ出したか?



「…………!」


 しばらく歩いていると、大きな広間に出た。あと少しでディオネの御座に辿り着く。だが、そこまで行く必要はない。なぜなら――。


「よう参った、アポカリプスの将軍よ」

「……ディオネ」


 ディオネを筆頭に数百ものサキュバスたちが待ち構えていた。コイツらが最後か。ほとんどが傷ついたサキュバス。討伐するのはワケないな。こちらも100近くのバトル=メシェディを率いてる。数では負けるが、圧倒的にこっちは強い。


「覚悟は出来てるか? ディオネ」

「わらわが負けると思っているのかえ……? 傲慢な女じゃ」

「試してみようか。魔女の王よ」


 私は鉄扇を広げる。ディオネもニヤリと笑う。サキュバスは弱小だが、アレだけは油断できない。一応、最強のサキュバスだからな。


「かかれ、サキュバスの戦士たちよ!」

「行け! 連合軍精鋭部隊!」


 火の粉が舞うサキュバス王国聖地。双方から無数の戦士が飛び出していく。これもラグナロク大戦の1つの戦いだろうか? それとも、単に人間と魔物の戦いなのだろうか……?

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