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黒い夢と赤い夢Ⅰ ――魔女狩り――  作者: 葉都菜・創作クラブ
第3章 †虐殺† ――アポカリプス大陸――
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第17話 サキュバス王国の戦い

※前半はセイレーン視点です。

 私は魔法を使ってバトル=アルファを吹き飛ばしていく。クソ! コイツら私だけじゃなくて、みんなを殺すように命令されている。

 バトル=アルファたちは草むらへも侵攻していく。深い草むらから悲鳴が上がる。吸精中のサキュバスを撃ち殺しているのだろう。


「クッ!」


 私は紫色の羽を動かし、1機の戦車に飛び乗る。戦車のハッチから身を乗り出していたバトル=アルファの亜種型であるバトル=コマンダーを投げ捨てると、私は中のバトル=アルファを蹴り壊す。この惨劇は私が招いた事か。なら、私が止める。

 私は戦車を奪うと、タッチパネルに触れ、戦車の向きを変える。バトル=アルファが集中している場所に向けて砲弾を撃ち込む。

 だが、乗っ取られたことはすぐに気付かれた。周りの戦車が砲身をこっちに向ける。私は戦車から飛び出す。飛び出すと同時に戦車は破壊された。


「あれはセイレーン、ヤツを殺せ!」


 別の戦車に乗った男。連合軍中将のプロヴィテンス。黒い服に白いマントを付けた男だ。アイツが指揮官か?

 地上のバトル=アルファたちは一斉にアサルトライフルの銃口を向ける。私は素早く物理シールドを張って、そこから離れる。そして、別の戦車に突っ込む。


「おお、こっちに来たぞ! 殺せ!」


 アイツ、ログリム中将か。顔見知りだな。私は飛んでくる銃弾をシールドで防ぎ、すりぬけるようにしてログリムを抱き締め、空に攫う。


「離せ、セイレーン!」

「久しぶりだね、ログリム。教えて欲しいことがあるんだ」

「誰がお前なんかに!」


 銃撃が止まる。そりゃそうだろう。万が一この男に当たったら、連合はそこそこの損失になる。大方、プロヴィテンスか誰が銃撃をやめるように言ったのだろう。


「セイレーン、往生際が悪いぞ!」


 下から誰かが叫ぶ。連合軍中将リーグ。そうか、“そういうメンバー”か。私はニヤリと笑う。見た感じ、軍艦も4隻しかない。

 予想兵力は8000。指揮官はプロヴィテンス、ログリム、リーグ。全員、連合軍中将だ。将軍がいないのなら十分に勝機はある。


「ありがと!」

「う、うわ、セイレーン!」


 私は空中でログリムを放り捨てると、空中を高く飛んで聖地へと向かう。これだけなら、勝てる! 私の心に再び希望が湧いてきた。

 だが、その時だった。希望は無残に打ち砕かれる。雲に覆われた暗い夜空から軍艦の艦隊が次々とワープで現れた。


「え……?」


 軍艦6隻、コア・シップ2隻、司令艦1隻。ウ、ウソ? なにこれ……? なんで、こんなにも……? こんなに大兵力、どうやって相手すればいいの……?

 自身の顔から血の気が引いていくのがなんとなく分かった。そっか、さっきのプロヴィテンスたちは“前軍”だったんだ……。


「逃げなきゃ……。みんな、逃げて……」


 ――どこに?

 私はフラフラと森へと降りる。すでに本隊は上陸を始めている。指揮官は……将軍? もし将軍なら誰? ケイレイトなら優しくて話が分かる人だから、命乞いすれば……。


「セイレーン!」

「…………! テティス!」


 私ははっと我に返る。テティスも頭から血を流していた。そんなっ、私のせいでテティスまで……! 私のせいで……!


「ど、どうすればいい!?」

「……ま、まずは敵の指揮官に会おう」


 ケイレイトなら助けてくれる。私が大人しく降伏するならテティスや他の子たちは助けて貰えるハズだ! みんなを助けられるのなら、私は降伏する――!


「わ、分かった。一緒に行こう」

「…………」


 私は無言で何度も首を振る。涙が頬を伝う。ごめん、テティス! これは私のせいで起きた惨劇。それなのに、責めない彼女の優しさ、一緒に着いて来てくれるのが嬉しかった。



◆◇◆



 【連合軍 司令艦 最高司令室】


 私は立体映像を通して戦況を眺めていた。サキュバスどもは次々と死んでいく。


[中軍のフリゲート中将、ギャラクシア中将、コスモネット中将、目標地点を突破]

「よし、聖地に進軍するように伝えて」

[イエッサー!]


 私は薄いガラスで出来たタッチパネルに触れる。


「順調だな」


 私の斜め後ろで落ち着いた声を発するのはプロパネ。彼とは付き合いが長い。同じ任務になることは少ない。今回は嬉しい任務だった。彼と一緒になれたのだから。


「見てて。もうプロパネに守ってもらわなくても、大丈夫だから」


 私はタッチパネルに触れる。各部隊に命令を下していく。命令はティワードが出したもの。でも、この部隊の動きは私が組んだものだった。プロパネには少しも触らせていない。今度こそいいところを見せたかった。


[アヴァナプタ将軍]

「なに?」

[前方からターゲット・セイレーンがやってきマス]


 ……えっ? あの裏切り者のセイレーンが? 私は一瞬信じられなかったけど、画面に映るのは紛れもなくセイレーン。バトル=アルファと戦いながらこっちにやって来る。

 私はニヤリと笑う。彼女を倒せば、プロパネにもっといいとこ見せられる。手柄も立てられる。よし!


「プロパネ、着いて来て」


 私は蒼いマントをひるがえし、最高司令室を出る。セイレーンを倒す。あの魔物を倒せば、今度こそプロパネにいいところを見せられる。鼓動が高まるのを抑え、私は廊下を歩く。やるんだ! セイレーンを、倒すんだ――!

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