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黒い夢と赤い夢Ⅰ ――魔女狩り――  作者: 葉都菜・創作クラブ
第3章 †虐殺† ――アポカリプス大陸――
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第16話 サキュバス王国への攻撃

※前半はティワード視点です。

※後半はセイレーン視点です。

 やられたことは忘れない。


 復讐の炎は永遠に灯され続ける。


 それは、いずれ、敵を焼き尽くす業火となるだろう――。


































 【コスーム大陸 連合政府首都ティトシティ ヴォルド宮1F 最高司令室】


 わたしの元にプロパネとアヴァナプタがやって来る。この2人は今、シリオードで戦っているケイレイトと同じ将軍だった。

 サキュバス共の襲撃から早くも1ヶ月。わたしはいよいよ連中に復讐を果たそうとしていた。あの女どもを皆殺しにしてやる。魔女狩りだ。


「ティワード総統、お呼びでしょうか?」

「……お前たちに裏切り者ディオネ及びセイレーンの討伐を命じる」

「サキュバス討伐ですか?」

「そうだ。世界の為、魔物を討伐するのだ。行け!」


 2人はわたしに一礼すると、下がっていく。わたしはコンピューターを操作し、薄いパネルの画面にティトシティ飛空艇離着陸場を映し出す。司令艦1隻、コア・シップ2隻、軍艦10隻。兵力4万。大軍を持って即座に決着をつけさせる。魔女は皆殺しだ。


「サキュバス討伐、だ」


 軍艦の艦隊は次々と浮かび上がる。遥か南のアポカリプス大陸へと向けて。たくさんの生き物が死ぬ。だが、彼女たちは魔物。命の価値はそこら辺の魔物と変わりない。




























◆◇◆





























 【南方大陸 サキュバス王国】


 私の腕の中で1人の屈強な男が息絶える。私は彼から腕を放すと、その場からゆっくりと立ち上がる。吸精したばかりで足元がふら付く。腰巻を付けると、土の地面を裸足で歩き、仲間の元へ向かう。


「テティス、吸精は終わった?」


 私は自分の身長ほどもある草を掻き分けながら、どこかにいるテティスに声をかける。辺りからは荒い息と水音が鳴り響く。たくさんのサキュバスが吸精しているのだろう。


「ん、終わったよ」


 目の前から草を掻き分けて裸の少女、テティスが現れる。腰巻ぐらい付けた方が……。そう思ってしまうのはまだここの風習に慣れてないからだろうか?

 ここのサキュバスは裸で歩く子も珍しくない。胸や腰に布をつけるのも隠す、というより守る為、という意味合いの方が強いみたいだった。


「アルテミスはまだ吸精してるみたい。先に戻ろっか」

「えっ、まだ終わってないの?」

「彼女は結構優しい吸精だからね。イライラしてる時は激しいみたいだけど」


 へぇ…… そうなんだ。強いサキュバスだから吸精も激しいのかと思ってた。……私はどうだろう? 優しい方かな?

 私とテティスは草を掻き分け、森へと入って行く。そこからサキュバスの聖地へと戻ろうとした。だが、突然、空から風を切る機械音が聞こえてきた。


「…………! テティス、危ない!」

「えっ?」


 私は彼女に飛びつき、無理やり押し倒す。その瞬間、すぐ近くに爆弾が落ち、爆音が上がる。地面と空気が揺れる。空からの爆撃。政府軍か? いや、違う。連合軍だ!

 空を見る。二等辺三角形の小型機が何十機も飛んでいた。連合軍の小型戦闘機バトル=デルタだ! 空襲を得意とするタイプの自律式軍用兵器だ!


「戦いだぁ!」

「やった!」

「みんな行くよっ!」


 たくさんのサキュバスが森や草むらから現れる。ダメ……。ダメだよっ……。勝てるハズがない。それにみんなは“勘違い”している。

 上空に浮かぶ連合軍の軍艦は、艦艇底部から2隻の運搬艦を切り離し、それらは森に着陸する。運搬艦の扉が次々と開かれ、中から兵が降りてくる。みんな、ダメだ!


「あれ?」

「なんだありゃ?」

「“男じゃないな”」

「見た事ないのがいっぱい」


 この子たちはロボットを知らない。連合軍の主力は――ロボットだ。吸精なんて出来ない。誘惑する事も出来ない。精神魔法も効かない。命乞いも、交渉も。

 降りて来たバトル=アルファと呼ばれる人間型ロボットはアサルトライフルもサキュバスたちに向ける。……しまった!


「みんな逃げて!!」


 私は思いっきり叫んだ。そうだ、この子たちは――。


[攻撃セヨ! 破壊セヨ!]

[攻撃セヨ! 破壊セヨ!]

「――えっ?」


 私は目を伏せる。それと同時に銃撃音。そして、悲鳴。忘れていた。ここのサキュバスは科学を知らない。つまりは銃さえも知らない。バトル=アルファが持っているアサルトラフルが何であるかを知らない!


「いやああぁッ!」

「痛い痛い痛い!!」

「え、なに、なに、なにあれ!?」

「やだっ! 痛いよ!」


 見た事もない武器に大混乱を起こすサキュバスたち。その内、運搬艦の中からは戦車までもが出てくる。浮遊する小型戦車だ。


[全軍、進め!]


 指揮官用のバトル=アレスが戦車上部のハッチから身を乗り出して命令を下す。バトル=アルファたちが一斉に進み始める。

 私は唇を噛み締める。また、私たちは討伐されるんだ! なんで私たちばっかり殺されなくちゃいけないんだ!


「あの時、絶対にティワードを殺しておくべきだったね……」

「…………!」


 それが憎いんだったら、私だけを狙えばいいじゃないか! なんで無差別に他の仲間を……! 魔物には生きる権利がないのっ!?


[破壊セヨ!]

「やだ、やだあぁっ!」

「痛い、痛い……」

[攻撃セヨ!]

「助け、――!」


 仲間が次々と殺されていく。何の感情もない黒い軍用兵器。赤い目が、不気味に光っていた。

◆バトル=アルファ

 ◇人間型戦闘用ロボット。

 ◇アサルトライフルを武器にする。

 ◇一個体の能力・耐久力は低いが、その分コストも低いため、大量生産されている。

 ◇連合政府の主力の一翼を担う。

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