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黒い夢と赤い夢Ⅰ ――魔女狩り――  作者: 葉都菜・創作クラブ
第2章 †人造† ――シリオード大陸――
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第14話 前哨基地の戦い

 【シリオード前哨基地】


 私たちは青色の強化プラスチック製の城壁で囲まれたシリオード前哨基地へと辿り着いた。山の森からすぐ近くの基地を見る。思った通り、シリオード兵はほとんどいない。

 私はニヤリと笑うと、合図を送る。5人のデミ・フィルド=トルーパーが背中に背負った小型ジェット機を使って飛び出す。彼女たちは一気に城壁を上ると、見張りの兵士を刺し殺す。そして、彼女たちの姿は見えなくなった。

 しばらくすると、大きな城門が開いていく。私はスピーダー・バイクにまたがると、一気に城門から城内へと入っていった。その後ろから大勢の姉妹たちが続く。


「て、敵だ!」

「イプシロン元帥にお知らせしっ、ぐぅっ!」

「ぐぇっ!」

「あぐっ!」


 私たちは一瞬にして敵兵を殺していく。僅かなシリオード兵はあっという間に陣形を崩し、慌てて四方の門から逃げ出す。

 彼らはほっといて、私たちは要塞内へと乱入していく。目的はこの基地の制圧。そして、イプシロンを捕えることだった。

 敵らしい敵はほとんどいなかった。シリオード前哨基地の僅かな兵士は総攻撃が始まったと勘違いして、次々と逃げ出す。


「コマンダー・アレイシア中将! 敵将イプシロンは逃亡しました!」

「なにっ!?」


 私は窓から外の方を見る。要塞のヘリポートにいるのはイプシロンと数人のシリオード兵だった。シリオードの飛空艇で逃げ出すつもりらしい。させるか!

 私は衝撃団で窓ガラスを叩き壊し、そこから外へ飛び出す。ヘリポートに着地すると、持っていた剣でシリオード兵を切り倒していく。


「待てよ、イプシロン」

「この前のクローンね。何か用かしら?」

「お前を逃がすワケにはいかない」

「捕まえる気? それは無理だわ。あなたの力じゃ私を捕えることは――」


 その時、私の後ろからたくさんのクローンたちが現れる。彼女たちはイプシロンと私を大きく取り囲んでいく。全員で30人ほど。ほとんど基地は制圧されたのだろう。


「降伏しろ」

「却下」


 そう言うとイプシロンは両腕だけを大きなゼリーに変質させる。紫色のゼリーはドラゴンの頭部をかたどっていく。


「死になさい」


 ゼリー質をした2頭のドラゴンは私に向かって飛び込んでくる。私は前へと大きく飛んでそれを避ける。目標は本体だった。あの女を気絶させれば、全て終わりだ。

 私はスタンガンを取出し、それを彼女の首に押し当てようとした。だが、彼女の動きは素早かった。後ろに跳んで、右腕を動かす。ドラゴンの口が後ろから迫る。


「苦しみなさい。魔女への拷問よ」


 私は素早く横に跳ぶ。ギリギリでゼリーの塊を避ける。そのままドラゴンはイプシロン本人をその大きな口に取り込む。自滅? いや、毒のパーフェクターである彼女に毒は無効だろう。

 私の予想はあっていた。ゼリーのドラゴンは吸収された。右腕は元通りになった。自滅すればよかったんだがな。


「火責め、氷責め、光責め、毒責め。どれがいいかしら?」


 笑いながらイプシロンは攻撃を続ける。その赤い瞳にはどこか狂気的なものがあった。戦いを楽しんでいるような感じだった。

 私は自由自在に動き回るドラゴンを避けながら、何度も本体に攻撃を試みる。だが、彼女は素早い動きで攻撃を避け、いっさいの隙を見せなかった。


「へぇ、やるじゃない。そんなあなたに面白いものを見せてあげるわ」

「大人しく捕まれ! お前に勝機はない!」

「そうかしら? ……スペード!」


 彼女がそう叫ぶと、シリオードの楕円形をした小型飛空艇から誰かが飛び出してくる。シリオード兵と同じく黒い服に白い防弾チョッキを着た人間だ。

 スペードと呼ばれたその男性はイプシロンの前に着地すると、そのままひざまずく。まだ若い男だ。何者だ?


「融合を使うわ」

「……はい、イプシロン閣下」


 彼の返事とともにイプシロンはゼリー質の大きな両手で彼と自分自身を包み込む。そして、閃光と共に黒い煙を放つ。煙が晴れたとき、そこにいたのは4枚の羽根を生やした怪物だった。黒い鋼の体をした人型の魔物。赤い目が私たちを睨み付ける。


――シリオードの七王のみが使えるパーフェクターの究極技よ。


 頭に不気味な声が響く。まさか、テレパシー!? 高度な魔法まで使えるのか……! ……って、七王って誰だ? コイツとエレボス、カリュプソ、ニュクス。残りの2人は?


――シリオード皇帝タナトスとその娘サルリファス。……安心するといいわ。サルリファスはすでにこの世にいない。


 私の疑問に答えるようにして頭にイプシロンの声が響く。シリオード皇帝もパーフェクターなのか。まるで魔法国家だな。魔女はどっちだ。

 サルリファスは聞いたことがある。時間と空間のパーフェクター。能力も珍しいが、何より能力を2つ持っていることもまた凄い。かつてはシリオード皇太子だったが……。


「お前も、タナトスも捕えてシリオードを滅ぼす!」


 私は剣を引き抜いて、その鋭い先端を空中に浮かぶ怪物に向ける。私は負けない。絶対に……! シリオードを滅ぼして、この地に“クローンの王国”を作るんだ!

 【シリオード七王】


◆イプシロン=シリオード(北王/女性/17歳)

 ・支配地:シリオード北部

 ・能力:毒

 ・融合形態:ドラゴン(人型)

 ・その他:狂気的な世核を有するシリオード軍の元帥。


◆エレボス=シリオード(西王/男性/21歳)

 ・支配地:シリオード西部

 ・能力:氷

 ・融合形態:ドラゴン(人型)

 ・その他:シリオードの将軍。


◆ニュクス=シリオード(南王/男性/20歳)

 ・支配地:シリオード南部

 ・能力:光

 ・融合形態:トーテムポール

 ・その他:サドスティックなシリオードの将軍


◆カリュプソ=シリオード(東王/女性/19歳)

 ・支配地:シリオード東部

 ・能力:炎

 ・融合形態:怪鳥

 ・その他:性格的に見れば、一番マシともいえるシリオードの将軍


◆サルリファス=シリオード(皇王(皇太子)/女性/16歳)

 ・支配地:なし

 ・能力:時間・空間

 ・融合形態:融合能力未収得

 ・その他:既に死んだシリオードの皇太子。能力的には七王最強だった。若くして皇位継承権を有するのは、母親が正妃だったため


◆サレファト=シリオード(准王/男性/14歳)

 ・支配地:なし

 ・能力:電気

 ・融合形態:融合能力未収得

 ・その他:サルリファスの実弟。能力的には七王で最も劣る。姉が死んだ際に、行方不明となった

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