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黒い夢と赤い夢Ⅰ ――魔女狩り――  作者: 葉都菜・創作クラブ
第2章 †人造† ――シリオード大陸――
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第10話 炎の怪鳥

※コマンダー・アレイシア視点です。

 私たちは薄暗く、静まり返った中央の道を進んでいく。辺りは山に囲まれている。道の左右には無数の木が生え、森となっている。20万の軍勢は狭い道を進む為に隊列を細長くしていた。

 ……マズイな。こんなに隊列を長くしていたら、左右から奇襲された時に防ぎきれない。バラバラに分断されておしまいだ。

 周りの部下の一部もそれに勘付いているのか、不安そうな表情をしていた。すでに遠くからは何度も爆音が聞こえる。左の方の雲に緑色の光が何度も反射する。左の間道では戦いが始まっているのだろうか?

 私は左手首に付けた小型を使って遥か後方にいるパラックルに通信を入れる。


「パラックル閣下、この地形は危険です」

[……なぜだ?]

「道が狭すぎます。万が一、シリオード軍がこちらに兵を回していたら私たちは全滅する可能性があります」


 すでに左の道では戦闘が起きている。こっちに兵を回していないワケがない。


[黙れ! 進むのだ! クローンが――]

「コマンダー・アレイシア中将ーーッ!」


 パラックルの言葉が終わらない内に辺りでいきなり爆発が起こる。左右に森に潜んでいた黒衣のシリオード兵が一斉に襲いかかって来た! クソッ、言わんこっちゃない!

 私は剣を引き抜くと、群がってくるシリオード兵を斬り倒していく。部下も一斉に反撃するが、何しろ不意を突かれたのだ。バラバラに分断され、個々に撃破されていく。


「人工の魔女を討ち取れ!」

「皆殺しにしろ!」


 シリオード兵はハンドガンで射撃する。飛ばすのは蛍光色に光る緑色の燃料弾! 雪に着弾すると共に緑の炎を上げながら、爆発する。燃料弾は辺りに散らばると、そこから特殊な緑の炎を上げ、一気に燃え広がる。


「きゃぁ!」

「うぐッ!」

「いやぁッ!」


 既に部隊は大混乱だった。シリオード軍の猛攻に晒された姉妹たちになす術はない。悲鳴を上げながら、次々とやられていく。

 私は2、3人のシリオード兵を斬り殺すと、スピーダー・バイクにまたがり、敵の指揮官に向かって一気に進める。今度こそ、イプシロンを倒すんだ! あの女さえいなくなれば……!

 指揮官はすぐ近くにいた。……あれ? 髪がかなり長くなってる。アレは副将のカリュプソ=シリオード! クソッ、イプシロンじゃなかった!


「カリュプソだと? イプシロンはどうした?」

「イプシロン元帥はここにはいないよっ! 私が相手だっ!」


 カリュプソは赤い炎を纏う。な、なんだアイツ、まさか……! そう思っている間にも両腕を完全に炎に変えると、羽ばたきながら飛び上がる。


「私は“炎のパーフェクター”だよっ!」


 美しい炎の翼を羽ばたかせながら、カリュプソは空中を飛ぶ。雪の大陸に火の粉が舞う。


「寒い世界の灯だよっ! 抱き締めて上げるねっ!」


 カリュプソは炎の翼を広げ、急降下して来る。マズイ、アレに抱き締められたら焼き殺される。こんなところで死ねるか!

 私はスピーダー・バイクから大きくジャンプし、遠くに着地する。彼女はスピーダー・バイクに体当たりする。スピーダー・バイクはたちまち焼き尽くされた。


「クッ、引け! みんな引くんだ!」


 私は総崩れになった部下たちに向かって声を張り上げる。もうダメだ。ここまで崩れたらどうしようもない。全滅する前に撤収しないとヤバい!


「逃がさないよ……!」


 炎の鳥が飛んでくる。カリュプソはいつの間にか全身が炎に包まれ、巨大な怪鳥となっていた。彼女は大きく口を開ける。まさか……!

 カリュプソは一筋の炎を吐き出す。火炎放射だッ! 私は慌てて横に飛び、火炎放射を避ける。だが、部下の多くは真っ直ぐ逃げていた。よせッ!


「ひっ、いやあああッ!」

「熱い、熱いぃぃ!」

「やだぁああッ!」


 カリュプソは逃げる姉妹たちの背中に向けて火炎放射を吐き散らす。クローンたちの背中は燃え、たちまち身体全部を焼いて行く。

 逃げ惑っていた彼女たちは雪の上で暴れ、自身の身体についた炎を消そうとするが、全く効果がない。消える頃にはもう命がなかった……


「それッ! 炎から逃れた人工の魔女を殺せっ!」

「はっ!」


 左右に逸れて炎をかわした姉妹も悲惨な末路が待っていた。左右の林には特殊ハンドガンや槍を持った黒い兵が待ち受けていた。カリュプソ率いるシリオード軍だ!


「あぐッ!」

「ぐぁッ!」

「ひぃッ!」


 無情に彼らは私の姉妹を殺していく。みんなは逃げ惑うが、もうはや逃げ場はなかった。本道に出れば炎。左右の林にはシリオードの兵。どこに行っても殺される。

 私は唇を噛み締める。クソッ、クソッ! 私は剣を引き抜き、周りに集まりつつあったシリオード兵を斬り殺していく。


「魔女のボスだ!」

「殺せ!」

「魔女を逃がすな!」


 うるさい! なんなんだお前たちは! 魔女魔女言って狩り尽くしてなんになる! 私たちが機械から生まれたからと言って何が悪いんだ!

 私は手汗を滲ませながら、剣を力強く握りしめ、辺りのシリオード兵を手当たり次第に斬り殺す。林の中を走り抜ける。邪魔するシリオード兵は次々と斬り殺す。


「魔女を討て!」

「本道に2人出たぞ!」

「撃て、撃て、撃て!」


 シリオード兵の猛攻とカリュプソの火炎魔法。また無数の姉妹が殺された。赤い炎と緑の炎。そして、クローンの死体が至る所に転がっていた……。

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