第1話
霊というものは空想の産物であり、実際にあるはずなど無い。
―――と、考えるひとは多数いるかもしれない。いや、いるだろう。
俺もついこの前まではそう思っていた。いや、今でも思っているのだろうか・・・
Ж
「はぁ、はぁ、はぁ…」
まだ肌寒さが残る春のある日の朝、俺――天海和弥はアスファルトで整備された道路をひたすらに走っていた。
「くそ、なんでこんな…!」
今日はとある学校の入学式。そして、俺はその新入生である。
「今…何時だ…?」
…さて、勘の鋭い人ならもう分かるかもしれないが、分からない人のために念のため言っておこう。
「クソッ!あと2分じゃねえか!」
俺は今登校中であり、入学式まであと2分。
要するに、遅刻である。
Ж
「遅いぞ!…なんだ、その格好は」
やっとのことでついた校門の前で待っていたのは、いかにも生徒指導をやっていそうな教師である。
「ちょっと、事故を起こしましてですね…」
「雨が降っているわけでもないのに全身水浸しになる事故とは何か聞かせてもらおうか」
実を言うと、登校途中に足を滑らせて川に真っ逆さまに落ちた訳なのだが、そんな恥ずかしいこと言いたくもない。まあもっとも、そのおかげで時間ギリギリ間に合ったのだが。
「まあいい、早く4号棟に行け」
ずぶ濡れの姿に呆れたのか、俺をまくしたてるように言った。
(これは、新入早々目をつけられたかもしれないな……)
自分で言った言葉に自分で笑いながら、揚々と4号棟へ向かって行った。
後に本当に目をつけられるということも知らずに……
「ん?4号棟って、どこだ?」
Ж
四苦八苦しながらも色々なところを回り、やっと4号棟へたどり着いた。
ていうか、この学校12号棟まであるのかよ。
「さて、そろそろ入学式も終わる頃かな…」
と言いつつ中を見ると、ステージの上に立っている一人の女性が目に映った。遠くからでよく見えないが、どうやら本を片手に何か言っている。
「ん?何やってんだ?何か言ってる割には生徒の方向いてないs…!?」
俺の言葉が言い終わるや否や、彼女の周りから青白い光の帯が現れた。それが束になって固まるにつれ、光量も大きくなっていく。
「何だあれ……魔法…か?」
すると、随分と大きくなった光の帯が、突然動き出した―――俺の方向に。
「は!?何!?」
光弾はどんどんと速くなり、入り口で狼狽している俺に躊躇なく襲い掛かった。
ドシャァァァァァァという莫大な効果音と共に、5号棟の入り口まで俺は吹っ飛ばされた。
「?霊結界張ってあるから攻撃霊術は吸収されるはずですぅ。扉が開いてたのでしょうかぁ?」
遠のいていく意識の中、そんな暢気な声が聞こえた気がした。
ご閲覧ありがとうございます!
初めて執筆させていただきましたが、いかがでしたでしょうか?…といっても、まだ最初の部分だけですが><
この話で強引に霊術を引っ張り出しましたが、決してネタがないわけではありません
これからコメディーの要素を付け加えて面白くしていきたいと思います!
あ、もちろん、シリアスなところも出しますよ
これからもよろしくお願いします!
……3話位で終わりそうな気がする