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秋の落ち葉と秘密の庭

 風の丘と雲の道を越えたユメとハルは、次第に夏の色から秋の色へと変わる森に足を踏み入れた。

 木々の葉は黄色や赤、橙色に染まり、落ち葉の絨毯が道を覆っている。

 踏むたびにサクサクと心地よい音が響き、秋の匂いが鼻をくすぐった。

「秋って……静かだけど、温かいね」

 ハルは尾を揺らして森の中を見回した。

 ユメも尾を揺らしながら頷く。光虫や雲の道で遊んだ夏の思い出と比べると、森は穏やかで落ち着いていた。

「うん、秋の森って、こんなに心地よいんだね」

 ユメはゆっくりと足を運びながら言った。

 風は優しく、木の枝を揺らし、金色の葉を静かに舞い落とさせる。

 二匹が進むと、やがて目の前に一本の大きな木が立っていた。

 幹は太く、立派な枝を広げ、根元にはたくさんの落ち葉が集まっている。

 その木の下に、小さな道が続いているのを見つけた。

「見て、ハル! あの道、どこに続いているんだろう?」

 ユメが目を輝かせて言った。

 ハルは少し驚きながら、目の前の道に目を向けた。

 道は苔むした石で作られていて、まるでどこかの秘密の場所へと続いているように感じた。

「行ってみようか?」

 ユメは少しワクワクした様子で言うと、ハルも頷きながら尾を揺らした。

「うん、行ってみよう!」


 二匹はその道を進み始めた。

 道は狭く、足元が少し滑りやすいが、二匹は慎重に歩を進めた。

 足元には美しい落ち葉が敷き詰められており、踏むたびにパリパリと心地よい音が響いた。

 道を進んでいくと、ふと小さな石の門が現れた。

 苔に覆われたその門は、まるで長い年月を経て忘れられた場所へと続いているかのように静かだった。

「この門、どこか異世界への入り口みたいだね」

 ハルが少し怖がりながら言うと、ユメは尾を揺らして笑った。

「大丈夫、きっと素敵な場所が待ってるよ!」

 ユメはそっと門を押し開け、その先に広がる世界を覗いた。

 門をくぐると、目の前に広がったのは、まるで夢の中のような美しい庭だった。

 庭の中には色とりどりの秋の花が咲き乱れ、落ち葉がふわふわと舞っている。

 小さな池には紅葉が映り込み、光と影のコントラストが絶妙に広がっていた。

「ここ、すごい……」

 ユメは感動して目を見開き、尾を大きく揺らす。

 ハルも少し驚きながら、その美しい景色に見入った。

「ほんと、ここはまるで別世界だね」

 ハルはしばらく息を呑んでその風景を堪能していた。


 庭に足を踏み入れると、落ち葉が少し光を帯びていて、二匹の足元を照らしてくれるようだった。

 ユメは尾を揺らして歩き始め、ハルもその後を追う。

 落ち葉の音とともに、あたりが穏やかな光で包まれているように感じた。

「この庭は、どうしてこんなに静かで心が落ち着くんだろう?」

 ハルは不思議そうに呟く。

「きっと、ここは迷子になった心を癒してくれる場所なんだよ」

 ユメは静かにそう言って、庭の中を歩き続けた。

 そのとき、小さなリスがやってきて、二匹に声をかけてきた。

「こんにちは、新しいお客さんだね」

 リスは嬉しそうに尾を揺らしながら言った。

 ユメは尾を揺らして挨拶を返し、ハルも少し恥ずかしそうに尾を揺らして応じた。

「こんにちは。ここはあなたの庭?」

 リスは二匹を見つめながら、ふと庭の奥を指さした。

「ここはみんなの庭だよ。そして、もっと奥には、秘密の場所があるんだ。そこはもっと素敵な場所だよ。案内しようか?」

 リスの言葉に、ユメは目を輝かせて頷いた。

「うん、ぜひ案内して!」

 ハルも少し不安そうにしながらも、リスの後を追うことにした。

 リスに案内されるまま、二匹は庭の奥へと進んでいった。

 途中でウサギたちがのんびりと草を食べ、精霊のような小さな存在たちが庭の中を飛び回っていた。

 ユメはその光景に心を癒され、ハルも少しずつ安心して歩けるようになった。


 やがて、二匹は庭の奥にある小さな池の前にたどり着いた。

 池の水面には、紅葉が映り込み、周りには秋の花々が咲き誇っている。

 そこには古いベンチが一つ置かれていて、二匹はそのベンチに座ってしばらく休むことにした。

「この庭、静かで素敵だね」

 ハルは尾を揺らしながら言った。

「うん。ここに来て、迷子だったことがちょっとだけ楽になった気がする」

 ユメは深呼吸しながらそう言った。

 池の水面が静かに揺れる中、二匹はこの庭で過ごす時間が、まるで夢のように素晴らしいことを感じていた。

 落ち葉の舞う音、風の匂い、そして光の優しさが、二匹を包み込み、癒してくれるようだった。

「迷子でも、こうして優しい場所があるんだね」

 ハルが小さく呟くと、ユメも静かに頷いた。

「うん、迷子でも、きっと道はあるんだよ」

 二匹の心には、この庭で過ごしたひとときが深く刻まれた。


 庭でしばらく遊んだ後、二匹は再び小道を通って出口に向かった。

 途中、リスたちやウサギたちが見送りに来てくれた。

 リスは尾を大きく揺らし、

「また来てね!」

 と言ってくれた。

「ありがとう!」

 ユメとハルは笑顔で答え、再び歩き出した。


 夕暮れが近づく頃、二匹は庭を後にして、再び秋の森に戻った。

 落ち葉が風に舞い、どこか温かく、穏やかな気持ちで包まれていた。

「秋の庭も、本当に素敵だったね」

 ユメは尾を揺らしながら言った。

「うん、ユメと一緒なら、どんな季節も楽しめる」

 ハルも尾を揺らして応えた。

 二匹の心は、秋の色と光に満たされ、これからも続く冒険のことを少しだけ思いながら歩き続けた。

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