表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/16

夢の扉

 春風に揺れる丘を越えた先、ユメとハルはひっそりと佇む古びた扉を見つけた。

 木でできたその扉は苔や小さな花に覆われ、まるで長い間誰も通っていないようだった。

 静かな場所に隠されたこの扉は、どこか夢の世界の秘密の入り口のように感じられ、ユメはその不思議な存在に心を奪われた。

「この扉……どこにつながっているんだろう?」

 ユメは尾を揺らしながら、慎重に扉に近づく。

 尾の光がその表面に反射し、柔らかく照らしながら、その向こうに広がる世界が気になって仕方なかった。

 ハルは尾を揺らして好奇心いっぱいに扉を見つめた。

「ユメ、これ……すごく不思議だね」

 ユメは微笑んで、扉をそっと押してみた。

 静かな軋み音を立てて、扉がゆっくりと開き、その向こうには夢のような世界が広がっていた。

 空は無数の星が輝き、地面には光の小道が描かれている。

 ユメは尾を揺らすと、その道がさらに輝き、まるで導くように続いているのを見つけた。

「わあ……こんな場所があったんだ」

 ユメは尾を揺らしながら、思わず扉の向こうに一歩踏み出す。

 ハルも続いて歩き、二匹は新しい世界に足を踏み入れた。

 空気は柔らかく、まるで別の夢の中にいるようだった。

 光の粒が舞い上がり、足元や周囲を優しく照らして、二匹を包み込んだ。


「ここは……どこだろう?」

 ユメがふと呟くと、ハルが尾を揺らしながら答える。

「わからないけど、きっと何か大切なことを学べる場所なんじゃないかな」

 その言葉に、ユメは頷きながら進んで行った。

 しばらく歩くと、小道が分かれ道となり、いくつもの異なる光や色を帯びた道が現れた。

 どれもが魅力的で、どれを選ぶべきか迷ってしまう。

「どの道に進むか……決めるのは自分なんだね」

 ユメは自分に言い聞かせるように言った。

 迷っても、間違っても、最終的に自分が選ぶことが大切だと思う。

 ハルは尾を揺らして応えた。

「そうだよ。大切なのは、どの道を選んだかじゃなくて、選ぶこと自体だよ」

 最初の道を選んだユメとハルは、春の光に満ちた森に入った。

 木々の間を光の粒が舞い、小鳥や蝶たちがその光とともに空を飛び交う。

 ユメは尾を揺らしながらその光景に目を奪われて進み、花や草の葉がその光に反応して、まるで歩くたびに周囲が命を吹き込まれていくような気がした。


 次の道に入ると、そこは秋の落ち葉が舞う丘だった。

 赤や橙の葉が尾の光に反応して揺れ、幻想的な風景が広がる。

 ユメとハルは笑いながら、落ち葉を散らしながら歩いた。

 温かい色の葉が舞い、二匹の周りを囲んでいた。

 ハルは尾を揺らしながら、「こんな景色、見たことないね」と言った。

 ユメもまた、どこか懐かしい感覚に包まれた。


 さらに歩くと、今度は冬の静かな湖のほとりにたどり着いた。

 湖面は氷で覆われ、その上に尾の光が反射して美しく揺れている。

 ユメは自分の姿と光を見つめ、これまでの冒険を思い出していた。

 冬の冷たさの中で自分が得たものは、ただの力ではなく、心の強さだった。


「この扉の向こうは……いろんな景色があるんだね」

 ユメはしばらくその光景を眺めながら呟いた。

 ハルも尾を揺らし、静かな湖面を見つめる。

「うん。でも、どの景色も大切なんだね。ユメが選んだ道、どれも正しかったよ」

 ユメは微笑みながら、ふとその言葉に心が温かくなった。

 迷子だった日々も、迷うことも、すべてが今の自分を作り上げていた。


 やがて、扉の先に小さな光の庭が見えた。

 花や草木が尾の光に反応して輝き、風が静かに流れている。

 ユメは尾を揺らしてその庭に足を踏み入れると、庭全体に広がる柔らかな光に包まれた。

 そこでユメは一つの大きな決断をすることになった。

「迷子でも、道はいつもあるんだ」

 ユメは尾を揺らしてつぶやくと、ハルも尾を揺らしながら応えた。

「その通りだよ、ユメ」

 だが、次の瞬間、ハルの顔が少し寂しげに変わった。

「ユメ、僕はここで少し休むよ」

 ユメは驚いて振り返った。

「え? 一緒に行くんじゃないの?」

 ハルは穏やかな顔で尾を揺らし、優しく答える。

「僕はこの庭で過ごしながら、これからのユメを見守るよ。でも、ユメが進むべき道は、もう一人で歩まないといけないんだ。」

「でも……」

「大丈夫。ユメは一人でも進めるよ。僕に教えてくれたように、自分の道を信じて進んでいけばいいんだ」

 ユメはしばらく言葉を詰まらせていたが、やがてハルの言葉が胸に深く響き、理解することができた。

「ありがとう、ハル。今まで一緒にいてくれて、一緒に歩いてくれて」

 ハルは微笑んで、尾を揺らしながら言った。

「ユメの冒険が続くことを、僕は信じているよ。いつでも君の光を見ているから」

 ユメは尾を揺らし、涙をこらえて笑顔を見せた。

「うん、またいつかどこかで会おうね、ハル」

 その後、ハルは光の庭に残り、ユメは新しい一歩を踏み出した。


 ユメの胸には、自由と希望、そして新たな冒険が待っていることを感じていた。

 扉を越えた先に広がる未来を信じて、ユメは光の小道を歩み続けるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ