夢の扉
春風に揺れる丘を越えた先、ユメとハルはひっそりと佇む古びた扉を見つけた。
木でできたその扉は苔や小さな花に覆われ、まるで長い間誰も通っていないようだった。
静かな場所に隠されたこの扉は、どこか夢の世界の秘密の入り口のように感じられ、ユメはその不思議な存在に心を奪われた。
「この扉……どこにつながっているんだろう?」
ユメは尾を揺らしながら、慎重に扉に近づく。
尾の光がその表面に反射し、柔らかく照らしながら、その向こうに広がる世界が気になって仕方なかった。
ハルは尾を揺らして好奇心いっぱいに扉を見つめた。
「ユメ、これ……すごく不思議だね」
ユメは微笑んで、扉をそっと押してみた。
静かな軋み音を立てて、扉がゆっくりと開き、その向こうには夢のような世界が広がっていた。
空は無数の星が輝き、地面には光の小道が描かれている。
ユメは尾を揺らすと、その道がさらに輝き、まるで導くように続いているのを見つけた。
「わあ……こんな場所があったんだ」
ユメは尾を揺らしながら、思わず扉の向こうに一歩踏み出す。
ハルも続いて歩き、二匹は新しい世界に足を踏み入れた。
空気は柔らかく、まるで別の夢の中にいるようだった。
光の粒が舞い上がり、足元や周囲を優しく照らして、二匹を包み込んだ。
「ここは……どこだろう?」
ユメがふと呟くと、ハルが尾を揺らしながら答える。
「わからないけど、きっと何か大切なことを学べる場所なんじゃないかな」
その言葉に、ユメは頷きながら進んで行った。
しばらく歩くと、小道が分かれ道となり、いくつもの異なる光や色を帯びた道が現れた。
どれもが魅力的で、どれを選ぶべきか迷ってしまう。
「どの道に進むか……決めるのは自分なんだね」
ユメは自分に言い聞かせるように言った。
迷っても、間違っても、最終的に自分が選ぶことが大切だと思う。
ハルは尾を揺らして応えた。
「そうだよ。大切なのは、どの道を選んだかじゃなくて、選ぶこと自体だよ」
最初の道を選んだユメとハルは、春の光に満ちた森に入った。
木々の間を光の粒が舞い、小鳥や蝶たちがその光とともに空を飛び交う。
ユメは尾を揺らしながらその光景に目を奪われて進み、花や草の葉がその光に反応して、まるで歩くたびに周囲が命を吹き込まれていくような気がした。
次の道に入ると、そこは秋の落ち葉が舞う丘だった。
赤や橙の葉が尾の光に反応して揺れ、幻想的な風景が広がる。
ユメとハルは笑いながら、落ち葉を散らしながら歩いた。
温かい色の葉が舞い、二匹の周りを囲んでいた。
ハルは尾を揺らしながら、「こんな景色、見たことないね」と言った。
ユメもまた、どこか懐かしい感覚に包まれた。
さらに歩くと、今度は冬の静かな湖のほとりにたどり着いた。
湖面は氷で覆われ、その上に尾の光が反射して美しく揺れている。
ユメは自分の姿と光を見つめ、これまでの冒険を思い出していた。
冬の冷たさの中で自分が得たものは、ただの力ではなく、心の強さだった。
「この扉の向こうは……いろんな景色があるんだね」
ユメはしばらくその光景を眺めながら呟いた。
ハルも尾を揺らし、静かな湖面を見つめる。
「うん。でも、どの景色も大切なんだね。ユメが選んだ道、どれも正しかったよ」
ユメは微笑みながら、ふとその言葉に心が温かくなった。
迷子だった日々も、迷うことも、すべてが今の自分を作り上げていた。
やがて、扉の先に小さな光の庭が見えた。
花や草木が尾の光に反応して輝き、風が静かに流れている。
ユメは尾を揺らしてその庭に足を踏み入れると、庭全体に広がる柔らかな光に包まれた。
そこでユメは一つの大きな決断をすることになった。
「迷子でも、道はいつもあるんだ」
ユメは尾を揺らしてつぶやくと、ハルも尾を揺らしながら応えた。
「その通りだよ、ユメ」
だが、次の瞬間、ハルの顔が少し寂しげに変わった。
「ユメ、僕はここで少し休むよ」
ユメは驚いて振り返った。
「え? 一緒に行くんじゃないの?」
ハルは穏やかな顔で尾を揺らし、優しく答える。
「僕はこの庭で過ごしながら、これからのユメを見守るよ。でも、ユメが進むべき道は、もう一人で歩まないといけないんだ。」
「でも……」
「大丈夫。ユメは一人でも進めるよ。僕に教えてくれたように、自分の道を信じて進んでいけばいいんだ」
ユメはしばらく言葉を詰まらせていたが、やがてハルの言葉が胸に深く響き、理解することができた。
「ありがとう、ハル。今まで一緒にいてくれて、一緒に歩いてくれて」
ハルは微笑んで、尾を揺らしながら言った。
「ユメの冒険が続くことを、僕は信じているよ。いつでも君の光を見ているから」
ユメは尾を揺らし、涙をこらえて笑顔を見せた。
「うん、またいつかどこかで会おうね、ハル」
その後、ハルは光の庭に残り、ユメは新しい一歩を踏み出した。
ユメの胸には、自由と希望、そして新たな冒険が待っていることを感じていた。
扉を越えた先に広がる未来を信じて、ユメは光の小道を歩み続けるのだった。




