お父様が再婚を計画している様なので全力で叩き潰します
「再婚、ですか?」
「そうだ、やはりこのまま片親では心苦しいだろう。 だから新しい母親を迎えようと思っている」
……母親が亡くなって1週間、喪が明いてないのにこの人は何を言っているんだろうか。
私はロザリー・クリストフ、公爵令嬢である。
そして、再婚を宣言したのはウィルド・クリストフ、私の父親だ。
1週間前に闘病の末に母親が亡くなり葬儀やら告別式やら納骨式やらで忙しかった。
この1週間、父は全く家に帰って来なかった。
連絡も取れず仕方無く私が喪主となり執事やメイド達に手伝ってもらいながらなんとか事が済んで一息ついた頃に父親が帰宅、開口一番で再婚宣言である。
「お父様、とりあえず正座」
「は?なんで私が正座なんか……『正座』あっ、はい……」
私の圧に押されお父様は正座した。
「まずはお母様が亡くなって1週間、葬儀にも顔を出さずに何処にいたんですか? 本来ならお父様が喪主をしなければならないんですよ」
「そ、それは……、その現実を直視するのが苦しくて……」
「愛人宅にいたんですか? ステファニー様でしたか、真に愛する方と一緒に過ごされて、しかも漸く結ばれる事が出来ると思って幸せでしたか?」
「な、なんでその名前を……」
「お父様の愛人関係は全て掌握済です。 しかも私と年の近い娘までいらっしゃる。 これは私とお母様への裏切り行為です」
そう言うとお父様は俯いた。
脳天気なお父様でも私が再婚を歓迎していない事はわかったでしょう。
「再婚したいのならどうぞご自由に、そのかわり私はこの家を出ていきますから」
「なんでっ!?」
「考えてみてください、前妻の娘と同じ屋根の下で暮らすなんて絶対に無理でしょ? どう考えても気まずくなるでしょうし私よりステファニー様達との関係を優先する姿が見えます」
「そ、そんな事は無いっ! ロザリーもステファニーもミレーユも平等に愛せる!!」
「説得力がありません、それに私をこき使う計画ですよね?」
「な、なんでそれを……」
「言ったでしょ、掌握済と。 最初から敵意丸出しの人達と一緒に暮らせる訳がありません」
ガクガクと震えているお父様、妄想していた未来にヒビが入っているでしょう。
しかし、私は容赦無く現実を叩きつけます。
「それに、お父様はご自分の立場を理解してないようなので言いますが公爵籍を持っているのはお母様です、お父様は婿入りですよね? そして次期公爵は娘である私です。 お父様には何も権限はありません」
「えっ……、 私が公爵の筈では……」
「違います、あくまでお父様は公爵家の婿であり私が正式に後を継ぐまでの代理でしかないのです、法律でちゃんと決まっていますよ」
そう言うとお父様は呆然としていた。
「それにお母様が亡くなった事でお父様との婚姻関係も無くなりました。 お母様の葬儀にも顔を出さない者を公爵家の籍には置いていけない、とお爺さまが怒っていましたよ。 親族会議でお父様の除籍は決定になるでしょう」
これがトドメとなったのか、真っ白になりました。
その後、涙ながらに『頼む! 追い出さないでくれっ!』と言われ『使用人としてなら雇いますが』と言ったら『それでも良い!』と言ったのでお父様は現在使用人見習いとして働いています。
ステファニー様達は結局、お父様とは再婚しなかった様です、そりゃあ公爵夫人として贅沢三昧な日々が送れると思っていたら使用人家族ですからね、容赦無くお父様を捨てたみたいです。
多分、次の相手を探しているみたいなんですがお爺さまの伝で貴族社会中に要注意人物として出回っているので無理ですね。
お父様も懲りたみたいで真面目に働いてくれています。
もし再婚を強行したら私は修道院に行って全財産を寄付して公爵家を潰す予定だったんですけどね、そうならなくて良かったです。




