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01 anti amicable
夢を見た。
その夢はぼんやりと朧気で、
ただただあたしを不快にさせる
夢だった。
どんな内容だったかなんて
覚えてない。
目が覚めたときの寝汗が
夢の不快感を示していた。
言語化できないひたすら
抽象的で虚像にまみれた夢。
あたしは、
萩本沙紀は、
夢をみたのだと思う。
──タイル
人は時々、形容しがたい苛立ちを覚える。
それは進路について真面目に考えてくれない母親にたいして抱くそれだったり、
タンスの角に小指をぶつけたときの自分に対する不甲斐なさとは違うそれだったり。
とにかく大小は違えど、私たちは苛立ちを覚える。
それに対する対処法は様々だ。
友人に愚痴を溢したり、好きな歌手の音楽を聞いたり。それが一般的と言える。
ただ、あたしの場合はほんのちょっとずれていた。
なにがずれているのかと問われれば、すぐに返事をすることができないし、
はっきり明確に説明できるわけでもない。。
そもそも一般的という概念がどこまでの範囲を指しているかによって
人によってはそれはずれていないのかもしれない。
それでも、そうだとしても、
あたしはなにかがずれていて、なにかがおかしかった。