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異世界で待ってた妹はモーニングスターで戦う魔法少女(物理)だった件  作者: 未知(いまだ・とも)
第2章 〜私たちの還る場所〜

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第46話「凍てつく咆哮」

突如立ち塞がる白銀の巨獣、凍える巨王(フア・モール)

かつて苦渋を舐めさせられたバルガンは、同じ過ちをくりかえさないと心に誓い、立ち向かうが……!?

「みんなしゃがめ! 俺の後ろに隠れるんだ!!」


バルガンの声が、吹雪をつんざいて響く。


私は反射的にみきぽんを抱き寄せると、言われた通りにバルガンの背後へと駆け込んだ。

ノエルもそれに続く。


ドンッ、と鈍い音を立てて、バルガンの大盾が雪原に突き立てられた。


「来いよ……今度は絶対、守ってみせるぜ……!」


バルガンの肩越しに、白銀の巨体が大きく息を吸い込むのが見える。


グオォォォォォォォォン!!


凍える巨王(フア・モール)の口の中に、吹雪よりもさらに冷たい冷気の塊が凝縮されていく。


「っ……!」


私たちは思わず身をすくめた。


(やばっ……これ、まともに食らったら終わるやつだ……!)


でも——やらなきゃ!


私は片手でみきぽんを抱えたまま、もう片方の手でローブからスマホを取り出した。

そしてミュートにしていた配信を再開する。


「みなさん! 突然ですが……私たち、いきなりピンチです!!」


間髪入れずに、集まってきてくれたみんなのコメントが宙に浮かぶ。


【おいおいいきなり戦場かよ!】

【背景からしてクッソ寒そうなんだが】

【見てない間に何があったの?】


「ごめんね、今は説明する暇がないの! 見てください、あれ!!」


私はスマホを持つ腕を伸ばして、フア・モールをカメラに映した。

白銀の毛皮に氷のたてがみ、青白く光る瞳——。


【つかフア・モールじゃねーかよ!!】

【みんなのトラウマ、一撃即死レイドボスやんけ……】


「あわわわわ……そうなんですよ!」


【ガチでヤバいやつ来てて草も生えない】

【まきぽん、まだそのレベルで戦える相手じゃないぞ!!】


みんなの絶望的なコメントが続く。


その時、フア・モールの様子を見ていたノエルが叫んだ。


「バルガン、凍てつく咆哮が来るわ!」


「わかってる!」


バルガンが盾を構え直すと、その後ろでノエルが立ち上がった。


「今度は私の歌、聞いてもらうわよ〜!」


彼女は竪琴を抱えると、冷気の中で高らかに弦を鳴らした。


「どうか、みんなを守って……!」


  春の女神の微笑みよ

  旅路ゆく 我らを守りたまえ


優しく、それでいて芯のある歌声が雪原に広がってゆく。

歌声は柔らかな光のバリアとなって、私たちをふんわりと包み込んだ。


【おおお、守護の歌……!】

【ノエルたんナイス!!】


「来るぞ!!!」


 ——グォォォォォォォオオオオオオオッ!!


世界が軋むようなフア・モールの怒声が、氷の大地を引き裂いた。

同時に視界が真っ白になり、

押し寄せてきた暴風と冷気の奔流は、ノエルが張った光のバリアにぶつかった。


(防いだ!?)


けれど次の瞬間——

パリンと乾いた音を立てて、バリアは粉々に砕け散った。


「くそっ、思ったより威力があるな……!」


バルガンが歯を食いしばって、なんとか猛吹雪のような咆哮を押し留めている。


(このままじゃ、凍え死んじゃう……!)


私はスマホを握る手に、ぎゅっと力を込めた。


(えーっと、こういう時は……)


私はバルガンの背中に身を寄せながら、スマホの画面をスワイプした。

すると魔法のウィンドウが、空中に展開される。


「うわっ、なにこれ多すぎ!?」


攻撃、強化、補助、治癒——。

見たこともないような名前の呪文が、一度に視界に飛び込んできた。


(やばい、全然把握しきれてない!)


しまった……もうちょっとティルナノやりこんでおくんだった。

後悔したけど、いまさら間に合わない。


挿絵(By みてみん)


「ねえみんな、どうしよう! 魔法多すぎてわかんないんだけど!!」


【まきぽん落ち着いてww】

【分類から見ろ! 属性とか補助とか分かれてるだろ!】


「う、うん……」


【しっかりしろ、俺らがついてるからな!】

【とりあえず氷相手に土とか風はやめとけよ】


「そうだね、氷だし、炎っぽいのでいいかな……」


私は、とりあえず強そうな呪文のアイコンに手を伸ばした。


《上位魔法:インフェルノ・ランページ》


【おい『上位』って書いてあるやつはやめろ!!】

【ストップまきぽん! それ、明らかにやりすぎ感ある名前でしょ!?】


でも、目の前のフア・モールの攻撃は止まってくれない。


「で、でも……」


(とにかく、この冷気を押し返せるぐらい強くなきゃ意味ないし!)


私は意を決して、その炎のアイコンをタップした。


目の前に巻物が広げられ、そこに刻まれたオグム文字が光となって浮かび上がってきた。

そして呪文が直接脳へと流れ込んでくる。


(うわ、なんかすごいの来た……!)


「……てか、やるしかない!」


私は片手を氷の巨獣へと突き出した。


赫灼かくしゃくたる大地の怒り くびきを砕きて

 今、奔れ——

 獄炎暴臨インフェルノ・ランページ!!」


次の瞬間。

地面が割れ、爆発するように炎の奔流が噴き上がった。


グォォォォォォォオオオッ!!


フア・モールの目前に現れた灼熱の柱は、雪と氷を瞬時に蒸発させた。

巨獣は瞬く間に紅蓮の奔流に包まれ、姿が見えなくなった。


(やった!?)


だが、呪文が生み出した爆炎の威力は、私の想像を超えるものだった。

凄まじい熱風が生まれ、それが渦を巻いてこちらへ吹きつけてくる。


「あぶねぇっ!」


バルガンが盾で防いでくれたが、それだけでは爆風の勢いを止められず、私たちは吹き飛ばされてしまった。


「きゃああああっ!」


私は咄嗟にみきぽんを庇って抱き抱えたが、代わりに背中から思いっきり氷壁に叩きつけられた。


「ぐうっ!!」


「おねーたん!」


「げほっ……げほっ!」


「まきぽんちゃん、大丈夫!?」


「だ、大丈夫……なんとか……!」


叩きつけられた体の痛みもあるが、頭もぐらぐらする。


【まきぽん、平気か!?】

【てか、いつからあんなの撃てるようになったんだよ】


「あはは〜、いろいろありまして……」


立ち上がろうとした足元がふらつき、

ブーツが雪の上でずるりと滑った。


「おねーたん!?」


みきぽんは慌てて、小さな手で支えてくれようとした。


(やば……今の一発で、かなり魔力持ってかれた……)


まるで気力をごっそりと何かに持っていかれたみたいだ。


「ごめん、ちょっと反動で……」


【おいまだ早すぎたんじゃないか?】

【お前、魔力はあるけど制御する経験足りてないんだよ】

【まきぽん、無茶しないでくれよ〜】


「うん、だいじょぶだよ……」


(そっか、ルーグ・ラスターの時は、エリアスが防壁を張ってくれてたから耐えられたんだ……)


あの時の、凄まじい光の奔流を思い出す。

でも、今は——。


(使った魔法の威力も、副作用も、全部自分で制御しなきゃいけない)


頭の奥がじんじんと痛む。

足元がおぼつかない私を、ノエルが支えてくれた。


「まきぽんちゃん、無理しないで」


「う、うん……!」


(でも、これだけの呪文を使ったんだし……)


目の前の煙が少しずつ晴れていく。

そして同時に、私の目論見が甘かったという現実が、厳しく突きつけられる。


「……ウソでしょ……」


そこには、依然として立ち塞がるフア・モールの姿があった。

フア・モールはとっさに首を下げ、分厚い氷のたてがみで頭部と頸部を炎から守っていたのだ。


激しい炎を浴び、たてがみは焼け爛れていたが、再び周囲の冷気が集まって、ものすごい勢いで再生していく。


「くっ……やっぱりか……」


バルガンが悔しそうに舌打ちした。


「あのたてがみは装甲だ。まず剥がさねぇと本体に届かねぇ」


【おいおい、上位魔法効いてねーじゃん!?】

【たてがみ無敵かよ】


「そっか、まずはあのたてがみ、なんとかしなきゃ……」


私は唇を噛み締めた。

その横で、みきぽんが私のローブの裾をぎゅっと掴んでくる。


「おねーたん、さむいでち……」


「……っ!」


さっきまでポカポカしていたのが嘘のように、次第に刺すような冷気が足元から這い上がってくる。

ノエルがくれた耐寒ポーションの効き目が、徐々に薄れてきたのだ。


「長くはもたないわね。

 この寒さの中で、消耗戦は絶対にダメ……」


ノエルも、吐く息を白くしながら肩を抱き寄せていた。


「……だよね」


私は震える指先でスマホを握りしめ、途方に暮れた。


(上位魔法なのに、ほとんどノーダメージ……)


吹雪の中、フア・モールの青白い瞳が、ゆっくりとこちらを睨んでいる。

そして再び、その喉奥に冷気が光となって集まり始める。


(どうしよう。このままじゃ、本当にみんな凍りついちゃう!)


私は残り少ない気力を振り絞って、再び魔法ウィンドウを呼び出した。

相変わらず、わからない呪文ばかりだ。


その時、一人のリスナーがコメントした。


【まきぽん、まずは落ち着け】


「えっ」


【正面から攻撃するだけじゃだめだ。……リストよく見てみ】


私は、呪文のリストに目を走らせた。


いやー、毎日寒いですね(^◇^;)

リアルのあまりの寒さに、想像力も膨らみ筆も進みました(笑)。


またまた無理ゲー気味な戦闘に、勝ち目はあるのか……!?

次回も熱いバトルにご期待ください♪

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― 新着の感想 ―
過去、最高の正念場だね(´・ω・`) か、勝てるのか?まきぽん……
(*´ω`*)  n  そう、山盛りのベジタブルから ⌒`γ´⌒`ヽ( E)  最高のベジタブルを見ける為 ( .人 .人 γ ノ 落ち着いて、ベジタブルの声に (こノこノ`ー´   耳を傾け )にノ…
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