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【第二章開幕!】異世界で待ってた妹はモーニングスターで戦う魔法少女(物理)だった件  作者: 未知(いまだ・とも)
第1章 〜魂の帰る道〜

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第23話「禁呪《ルーグ・ラスター》発動!姉妹の完全同時攻撃で世界を救え!!」

ついに物語は、第一章のクライマックスへ——!


闇に堕ちた女神・モリガンを救うため、まきぽんとみきぽんが選んだのは……

禁断の究極魔法ルーグ・ラスターとマジカル☆シャイニング・モーニーングスターの『完全同時攻撃』!


そして、仲間たちは命を削ってでも二人を支える決意をする。

神話の領域に踏み込む戦いの果てに、彼女たちは何を見るのか。


『配信の光』が、絶望をも照らす——!


ぜひ、最後まで見届けてください!

【おい……この子、これから『ルーグ・ラスター』使うらしいぜ】

【マジかよ、あの伝説の呪文……封印されたんじゃなかったのか!?】

【ダンジョンごと吹っ飛ばしたっていう、激ヤバのやつだろ?】

【すげえ! 俺も見てみてえ!!】


『ティルナノ』史上一度しか使われたことのない究極の破壊呪文、《終焉の光(ルーグ・ラスター)》を一目見ようと、信じられない数のリスナーが集まってきた。


(視聴者数……2900……3000!? ウソでしょ……)

瞬く間に跳ね上がる数字に、私の方が圧倒されてしまう。


超新星のようにコメントが次々と生まれ、ホログラムの宇宙は興奮の坩堝るつぼと化していく。

無数の声は次々と光に変わり、スマホを通して圧倒的な魔力へと変換されていった——。


私の杖と、みきぽんの鉄球に収束されていく光の渦は、もはや直視できないほどのエネルギー体と化していた。


(これ……制御するのもキツい……!)


 * * *


この事態を察知して、エリアスは不意に目を開いた。


「まずい……これは想定外だ」

彼はまきぽんたちの魔力が予想を遥かに超えて高まっていくのを感じ取り、詠唱を止めた。


「ペン子、ルーグ・ラスター発動までの予測時間と、ガイア・アブソリュートの完成までの時間を、少数第二位まで」


「はい——

 ルーグ・ラスター発動まで——45.75秒。

 ガイア・アブソリュート完成まで——50.23秒」


「……やはり、このままでは間に合わないか……」


ガイア・アブソリュートは本来、何人もの祈祷師が一昼夜をかけてようやく完成に至るほどの大規模呪文だ。

エリアスが単独でここまで構築できていること自体、すでに奇跡に等しかった。


だが——それでも届かない。


諦めが支配しかけたその瞬間、アス子が強くエリアスを見据えた。


「……えーくん、やろ!」

その瞳には、迷いのない決意の光が宿っていた。


「だが、それは……」


「知ってる、私たちの命が削られちゃうことも。

 でも——いいよ」

ライ子が炎の揺らめきの中で笑みを見せる。


「そうですよ……私たちは、そのために『造られた』……でしょ?」

ペン子も涙を浮かべながら、静かに頷いた。


エリアスは目を閉じ、一瞬だけ迷いを飲み込んだ。

「わかった……ありがとう……」


彼が虚空に指を走らせると、次の瞬間、空間にBIOS画面の暗いウィンドウが立ち上がった。


「——オーバークロック、発動!」

管理画面に白いテキストが走り、警告の文言が赤く点滅する。


キュイイイイインッ!!


火花が走り、金属が軋むような不協和音が響き渡る。

次の瞬間、三精霊の身体を覆う光が一気に弾け飛んだ。


——リミットは解除され、暴走域へ。


ライ子の炎は白熱し、恒星の爆発のように輝きを増す。

アス子の雷は稲妻を超え、空間そのものを焼き切る閃光となる。

ペン子の氷は、全てのものを凍てつかせる絶対零度の領域へと近づいた。


彼女たちの眼差しからは、もはや温かみは消えていた。

瞳孔にはコードが超高速で流れ、表情からは人らしい感情が少しずつ削がれていく。


「……っ!」

エリアスは唇を噛みしめる。

これが——三精霊に命を削らせる「オーバークロック」の代償。


彼女たちの横顔が、どこか儚く見えた。

まるで、自分たちの消滅すら覚悟しているように——。


だが、彼女たちは苦痛の声ひとつ上げず、むしろ誇らしげに前だけを見つめたまま、人の耳では到底追えぬ速度で詠唱を紡ぎ続けていた。

そして、彼女たちの力に呼応するかのように、光の魔法陣は次々と重なり、結界を築き上げる速度は格段に早まっていった。


「よし……これなら、間に合う!」


しかし、感覚を遮断し、限界を超えた演算を続ける精霊たちに……

エリアスの声は、もう届いてはいなかった。


 * * *


仲間たちが命をかけて作り上げていく結界。

その中心で、私とみきぽんはモリガンと真っ向から対峙していた。


胸の鼓動がやけにうるさい。

魔力が渦を巻いて暴れ出し、杖を持つ手が震える。


——怖い。


けれど、みきぽんが隣にいる。

「おねーたん……だいじょぶでち」

小さな手が私のローブをぎゅっとつかむ。

その温もりに、心臓の高鳴りが少し落ち着いた。


(……そうだ、私は一人じゃない。

 ずっと応援してくれたみんなも、今もここにいるんだ!)


【まきみき、がんばれ!】

【いけ! ここで決めてやれ!!】

【俺たちが後押ししてるぞーー!!】


滝のように流れるコメントが魔力の奔流となって、杖に、モーニングスターに吸い込まれていく。

ひとつひとつの声が、恐怖に震える手を温かく包み込み、逃げ出したい心を抱きしめてくれる。


「——いこう、みきぽん!」

「あいでち☆」


声が重なった瞬間、二人の想いが共鳴した気がした。

攻撃じゃない——これは、私たちの『願い』。


(あれ、ルーグ・ラスターって……)


あまりに急なことで、呪文を覚える暇なんてなかった。

でも、どうすればいいか......

考えるより先に、体が動き出していた。


スマホをベルトに挟み、震える手で懐から巻物を取り出す。

それはふわりと宙に浮き、目の前に広がった。

あの時エリアスがやっていたように古代文字を指でなぞってみる。

すると文字は淡い光となって浮き上がり、同時に脳裏に呪文が響いてきた。


荘厳で重い言葉の数々……

私はそれを噛みしめながら復唱する。


挿絵(By みてみん)


  ——我は星を継ぐ者。

  闇を裂く者よ、今ここに集え。

  天よ、聞け。地よ、応えよ。


  終焉の時は訪れたり——

  原初のことわりを束ね、

  光の剣となりて世界を断罪せよ……!


「いくでち! おねーたん!」

「うん……! 同時に撃つよ!」


——その瞬間。


すべてが息を潜めた。

光さえも、空気さえも、動きを止めて——。

世界が、私たちの一撃を待っている。


「ルーグ……ラスタァーーーッ!」

「マジカル☆シャイニング・モーニングスターーー!!」


二つの声が重なり、時が止まったかのような一瞬——。

白銀の光柱と黄金の流星が、全く同じタイミングで解き放たれる。

轟音と閃光が世界を覆い、奔流が炸裂した。

障壁が悲鳴をあげる。


圧倒的なエネルギーに、空間そのものが軋み、亀裂が走る。


【同時発動いったーーー!?】

【打ち合わせもなしに……息ぴったりすぎだろ!】

【姉妹の絆、マジでバケモン級……】


攻撃を感知した瞬間、女神のティアラに埋め込まれた紅い魔石は脈動し、抗うように黒い瘴気を撒き散らした。

だが、白と金の光芒が怒涛のようにそれを押し返す。

光と闇がぶつかり合い、互いを削り合い、空間が引き裂かれるほどの衝撃が走る。


(負けない……! 絶対に!)


腕がちぎれそうな反動が襲いかかり、全身が焼けるように熱い。

でも隣にいる妹は、笑みをうかべていた。


「おねーたんといっしょなら……ぜったいかてるでち!」


凄まじい破壊音と共に、渾身の一撃が炸裂する。

閃光が紅い魔石を貫き、甲高い破砕音とともに、ティアラが粉々に砕け散った。


ギィァァァァァァ……ッ!


その瞬間——。

呪縛は弾け飛び、モリガンの叫びは眩い光の中に消えていった。


【砕けたあああああ!!】

【勝った!勝ったぞおおお!】

【涙で画面見えねえ……】

【みきまき姉妹ありがとう……すげーいいもん見せてもらった……】


——そして。


轟音も、光も、叫びも……すべてが嘘みたいに消え去った。

残されたのは、ただ耳を打つ鼓動の音と、眩しい残光だけ。

誰もが息を呑み、言葉を失っていた。


「…………」


永遠に続くかと思われた沈黙の後。

恐る恐る開いた私の目に映ったものは——。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます!


怒涛のクライマックス回でした。

リゼ、バルガン、ノエル、そしてエリアスと三精霊——

みんながひとつになって放たれた《完全同時攻撃》は、

まきみき姉妹にとって、そしてみんなの、真の意味での初めての共闘でした。


コメント欄の応援が魔力になる。

そんな『配信×異世界』のコンセプトが、この第23話ではことさら強く輝いていると思います。


次回、第24話では、この戦いの『その後』が描かれます。

感動の最後を、どうぞ見届けてください!

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