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異世界で待ってた妹はモーニングスターで戦う魔法少女(物理)だった件  作者: 未知(いまだ・とも)
第1章 〜魂の帰る道〜

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第2話「異世界初心者、いきなりラスボスと遭遇して完全に詰みました!?」

……


…………


「う、うーん……」


頬をなでる柔らかな風の感触に、私は目を覚ました。

どこからか見慣れない鳥の鳴き声が聞こえる。


おそるおそるまぶたを開けると、

そこには青く透き通った空が広がっていた。


「え……ここ、どこ……?」


ガバッと上体を起こして周りを見渡すと、

どこまでも続く背丈の低い緑の草原が見えた。


(……私、自分の部屋で配信してたよね?)


遠くには森や、山や、石造りの城壁が見える。

さっきまでいた自分の部屋も、スマホの画面も、もうどこにもない。


「ま、まさか……」


この景色には見覚えがある。

クエストをこなすために、

毎日のようにマイキャラクターで走り回ってた草原だ。


ハッとして自分の体を見てみる。


部屋着はいつの間にか、新人魔導士向けの薄手のローブと、

オグム文字が刻まれた紫水晶の指輪に変わっていた。


胸の奥がざわついた。

これは夢? それとも——『ティルナノ』の世界?


「ちょっと待って……これって、異世界転移ってやつ……?」


突然の展開に混乱して頭を抱えた、そのとき。


「すー……すー……」


小さな寝息が、すぐ横から聞こえてきた。

驚いて振り返ると——そこには。


薄紫の髪をツインテールに結んだ、小さな女の子が眠っていた。


水色のワンピースの裾が風に揺れて、

色白の頬がほんのり桜色に染まっている。

レースの付いた白い靴下に、

黒いエナメルのストラップシューズ。


まるでピアノの発表会に向かうお嬢さまみたいな出立ちだ。


3歳くらい……なのかな?

その寝顔はあまりにも可愛らしくて、お人形と見間違えるほどだった。


挿絵(By みてみん)


「……誰、この子……?」


ティルナノに、こんなNPCいたっけ?


そっと覗き込むと、女の子はむにゃむにゃと口を動かし、

ゆっくり瞼を開けた。


そして、ぱっちりとした紺色の大きな瞳がまっすぐに私を映す。


「……おねーたん……?」


「おね……おねーちゃん!?」


私は一人っ子だし、妹なんているはずがない。


それなのに——

その瞳は真っ直ぐで、

私を『お姉ちゃん』だと微塵も疑っていないようだった。


「え、ちょ、ちょっと待って……私、妹なんて——」


言葉にならない声が喉でつかえ、頭が真っ白になった。

けれど、小さな女の子はキラキラと喜びに満ちた瞳で私を見上げていた。


「おねーたん、おなまえは?」


「私? 私はまきぽんだけど……」


「やっぱりでち! まきぽんは、みきぽんの『おねーたん』でち!」


「へ!? みきぽん!?」


みきぽん——それがこの子の名前なんだろうか。

でも、急に妹って言われても——。


「おねーたん、みきぽん……ずっとここで、おねーたんをまってたでち」


みきぽんは私のローブを小さな手できゅっとつかむと、

にっこりと笑った。


(か……可愛い……!)


その屈託のない笑顔に、心が撃ち抜かれた。

私とは髪の色も違うし、顔も似ていない……はずなのに。


この子を見ていると、なぜかずっと一緒にいたような安心感が湧いてくる。


小さな手で必死にローブをつかむ姿は、頼りなげで——

それでいて、胸の奥に強く迫ってくる。


……ああ、そっか。

この子もきっと、この世界でひとりぼっちだったんだ。


だから私は、そっと小さな手を握り返そうとした。


その瞬間——。


「!!」


周囲の空気に緊張が走り、背後の森から、

バキバキと邪魔な枝を折り砕く音が聞こえてきた。


漆黒の鎧に身を包んだその姿は——


——バロール!!


うそ? あれはゲームの中の出来事じゃなかったの!?

やっぱりここはティルナノ?

てことは……私、今ピンチの真っ最中!?


「……ニガサヌ」


そう言って、バロールは巨躯を揺すりながら、

ゆっくりと距離を詰めてくる。


「やめて! こっちに来ないで!」


悔しいけど、今の私にはバロールを倒せる強さはない。

全身が震える。怖い。


でも、この子だけは絶対に守らなきゃ——!


禍々しい暗紅色の瞳が邪悪な光を宿した次の瞬間、

周囲の空気が震えた。


カッ———!!


バロールの邪眼から、強烈な光線が迸る——!


私は咄嗟にみきぽんを抱き寄せ、

その小さな体を腕の中に包み込んだ。


「おねーたん!?」


「いいから、目つぶって!」


迫り来る灼熱の閃光。

私は全身でみきぽんに覆い被さりながら、

地面に身を投げるように転がった。


ドォォォォンッ!!


背後で大地が爆ぜ、石と土が吹き飛ぶ衝撃が背中を叩きつける。

熱と轟音に耳がキーンと鳴った。


「くっ……はぁ、はぁっ……!」


腕の中のみきぽんは小刻みに震えていた。

けれど——

その小さな鼓動は確かに生きづいて、

大切なものを守れたことを実感させてくれた。


「だい、じょうぶ……おねーたんがいるから……」


私はみきぽんに無理矢理笑顔を作って見せ、

そして迫り来る邪眼を睨み返した。


バロールの瞳に、再び凶悪な光が宿り始めた。

二回目が来る!?


——ダメだ、次はもう避けきれない……!


私は震えながら、ギュッとみきぽんを抱きしめた。


「おねーたん……」


怯えた声。

——だけど、その瞳の奥には怒りの炎が宿り始めていた。


「……おねーたんを、いじめるなぁぁぁぁぁッ!!」


みきぽんの胸のブローチが、まばゆく煌めいた。

そこから、ぷるんと——


大きなプリンが飛び出す。


「ぷ、プリン!?」


あまりに唐突な現代スイーツの登場と共に、

世界がキラキラと色を変え始めた——

「異世界転移&妹爆誕」というだけでも頭が追いつかないのに、いきなりバロールに遭遇してしまったまきぽん。

普通なら即ゲームオーバーだけど、隣には小さな『妹・みきぽん』が……

ここからどうやって切り抜けるのか——

今回は特別一挙3話公開! いますぐ続きをどうぞ♪

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― 新着の感想 ―
読みやすくて良いわ(*´・ω・)(・ω・`*)ネー 万城目学さん思い出すわ╭( ・ㅂ・)و グッ !
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