↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で待ってた妹はモーニングスターで戦う魔法少女(物理)だった件  作者: 未知(いまだ・とも)
第1章 〜魂の帰る道〜

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
19/73

第19話「ヒヨっ子配信者、究極魔法を託される!?ついに明かされる、エリアスの正体とは……? 」

リヒトとの激闘を終え、つかの間の休息を得たまきぽんたち。

しかし今回は、物語を大きく動かす『秘密』が明らかになります。

彼が告げた衝撃の真実とは……!?

地底湖のほとりは、昨日の死闘などなかったかのように、静けさに包まれていた。


悠久の時を刻む鍾乳石、そこから滴り落ちる水音。

星の営みに比べれば、人の命も——

ましてや戦いの記憶など、ほんの一瞬の出来事に過ぎないのだろう。


エリアスから配信を切るようにと頼まれたので、私たちはスマホのライトではなく、松明の灯りを頼りに歩いていた。


「……こちらへ」


静寂の中、先を歩くエリアスの声が響く。

彼の背中を追いながら、私はぎゅっと松明を握りしめた。


足音だけが洞窟に反響して、妙に心臓の鼓動を強調する。

二人きり——そう思うと、少し緊張しちゃうな……。


「まきぽん」


ふと立ち止まったエリアスが、こちらを振り返る。

松明の光に照らされた横顔は、どこか切実な色を帯びていた。


「はっ、はい!」


「……あなたに、渡したいものがあります」


(な、何だろう、真剣な顔をして……?)


エリアスは近くの岩に松明を立てかけると、懐から何かを取り出した。


それは思わず『聖遺物』と呼びたくなるような……

触れることさえためらわせる、神々しい気配を放つ巻物だった。


「これは……《終焉の光(ルーグ・ラスター)》。

 ティルナノにおいて最上位に位置する魔法の一つです」


「ル、ルーグ・ラスター!?」


……聞いたことがある。


確か公式Wikiでは、「未実装の最上位魔法」として存在が仄めかされていた呪文だ。

過去に一度だけ、ベータテストでのみ使用された記録が残っているが……。


その一撃は対象のドラゴンどころか、ダンジョンそのものを光と共に消滅させたという。

——あまりに理不尽すぎる強さゆえ、正式実装が見送られた、『神話級』の奥義だ。


それが今、目の前にあるっていうの……!?


「これを……私に?」


エリアスは黙って頷いた。


「待って、私、ティルナノ始めたばっかの初心者だよ?  そんなの使えるわけないじゃん!?」


巻物を開き、エリアスがそこに書かれている古代文字を指でなぞると、それは淡く発光して浮かび上がった。


「その通り。普通なら途方もない経験値を積み重ね、

『星辰の導師(スターメイガス)』へと昇華した者でなければ、この最終奥義を扱うことはできません」


「上位職へのジョブチェンジが最低条件……ってことよね」


思わずゲーム用語を口にしてしまったが、彼は当然とでもいうように、小さく頷いた。


「ですが、あなたには『もう一つの力』がある」


「もう一つ……?」


「配信のコメントです。

 あなたを信じる者たちの群衆の思念は、あらゆる常識を越える力になりうる」


エリアスの眼鏡が呪文を反射し、白く煌めいた。


「通常であれば、莫大な魔力を必要とするルーグ・ラスターの詠唱も——あなたならば、唯一無二の固有ジョブ、『配信者(ストリーマー)』として、発動させることができるかもしれません」


「……えっ」


「簡潔に言えば、配信の力を魔力に変換すれば、無限のMPを得られ……

 擬似的にスターメイガスと同等か、それ以上の魔力を操れるかもしれない、ということです」


「……私、が……?」


頭の中で、言葉がぐるぐると回る。

……配信の力……唯一無二のジョブ?


「今のあなたの最大MPは158。

 対して、ルーグ・ラスターの必要MPは999です」


「いやカンストかい!? 」


そんなのぶっぱなしたら、MPすっからかんになるじゃん……!


……ああ、今コメントオフだから、誰もツッコんでくれないのつらっw


「今の私じゃ、全然足りてないよね、あはは……」


そりゃダンジョンまるごと一撃で吹き飛ばしたといわれる、最強魔法だもんね。

てか私、ヒヨっ子過ぎ……。


「ですがあなたには、『スマホ』があります」


私は、懐の中のスマホを握りしめた。


「コメントを魔力に変換する、無限のリソースの源です。

 それなら……この魔法を発動できる可能性がある」


「無限のMPで、最強魔法……」


ぞくりと背筋が震える。

私に、そんなチートみたいな力が……?


てか、それって——


「ねえ、MPとかジョブとかさ……やっぱここはゲームの世界なの?」


エリアスの反応が止まった。


「それに……エリアス詳しすぎ? あとなんで未実装のアイテムなんて持ってるの!?」


今までの疑問が堰を切ったように噴出してしまった。

やば、困らせちゃったかも……。


でもエリアスは私の動揺を受け止めるように、ほんの少し微笑むと、ゆっくりと眼鏡に手をかけた。


「ようやく、言える時が来たのかな……」


「エリアス……?」


「本来、ケルトの世界に眼鏡なんて物はないんだよ」


そっと眼鏡を外すと、いつもの威厳あるドルイドの姿は影を潜め、柔らかな表情の平凡な青年へと変化した。


挿絵(By みてみん)


あれ……眼鏡外すと、意外とイケメン……?

いやいやいや、今はそういう場合じゃないでしょ私!


「ずっと、君に言いたくてたまらなかった。

私……いや、僕も、この世界に取り込まれた『転移者』なんだ」


……私はハッとした。


そうだ、私のスマホや、リヒトのノートPC。

その世界にありえないアイテムこそ、転移者の証——。


「僕のリアルでの名前は、榊原瑛士(さかきばらえいじ)。

 ——『ロード・トゥ・ティル・ナ・ノーグ』の、開発者の一人でした」


湖面に反射した光が、彼の素顔を淡く照らす。


「……えっ?

 エリアスが……このゲームを作ったの!?」


眼鏡を外したその瞳には、悲しみの色と、どこか後悔の影が浮かんでいた。

けれど同時に——それは誰よりもこの世界(ティルナノ)を愛する人間の眼差しでもあった。


「ティルナノは……僕にとって夢だった。

 ただの仮想世界じゃない。

 人が孤独から救われる場所を、本気で作りたかった。

 この世界があれば、もう誰も一人きりで泣かなくて済むって……そう信じてたんだ」


その声は震えていた。

まるで、誰にも理解されなかった苦悩を初めて吐き出しているかのように。


「でも、気づけば僕自身が……この世界に取り込まれていた。

 『榊原瑛士』は消えて、自分の分身(エイリアス)として作ったキャラになって、この地に呼ばれていたんだ」


私はきゅっと胸が痛んだ。

エリアス——いや、瑛士さんも……私と同じ、自分の居場所を探し求めていたんだ。


「だからね、君が現れたとき……奇跡が起きたと思ったよ。

 君の配信は、確かに人の心を繋いで、力へと変えているからね」


「瑛士さん……」


「僕が夢見て、でも掴めなかったものを、君は実現している」


静かにそう告げる横顔には、宮廷ドルイドとしての威厳はなく——

ひとりの人間としての、脆さが秘められていた。


「まきぽん……

 だからこそ、この究極魔法(ルーグ・ラスター)を託したい。

 この力は、僕の夢そのものだ。

 君なら……きっと使いこなせる」


彼の手から渡された巻物は、不思議な温かさを帯びていた。

あたかも、ティルナノという世界そのものの命運を託されているかのようで、私は胸が震えた。


「……私、そんなことできるのかな……」


「大丈夫、君にはリスナーや、沢山の仲間たちがいるよ」


脳裏にはリスナーのコメント、角笛団や黒翼団のみんな。

そして、みきぽんの笑顔が浮かんだ。


「……そうだよね、これはきっと私にしかできないこと……」


握りしめた手に、少しずつ力が入る。

胸の奥にあった迷いが、静かに決意へと変わっていく。


「わかった、私、やってみる!」


「ありがとう……」


エリアス——いや、瑛士さんが託してくれた巻物をしっかりと胸に抱きしめた……

その時だった。


……ズゥゥゥゥゥゥン……!


洞窟の奥深くから、不気味な震動が伝わってきた。


ここまで読んでくださりありがとうございます!

ついにエリアスの正体が明かされました。

ティルナノの「開発者」であり、同じ「転移者」だった彼。

そして彼が託した最強魔法《ルーグ・ラスター》で、まきぽんは一気にチート魔道士に!?


けれど喜んでばかりはいられません。

次回、圧倒的な恐怖が一行の帰還を阻みます。


まきぽんとみきぽんは、この絶望をどう乗り越えるのか……。

ぜひ見届けてください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
    /⌒ヽ    / ^ω^ 丨   簡潔に表現すると  _ノ ヽ ノ \_ 野菜の力を筋肉に変換すれば `/ `/ ⌒Y⌒ Y ヽ無限の筋肉を得られ (  (三ヽ人  /  |擬似的にレジェンド…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。