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レオポルトが黒の城で怒り狂っているころ、黒の王様である彼の兄、ノルベルト・シュヴァルツは護衛騎士のカルロとその弟、アルドを連れて、自身の妹であるラトガルド・シュヴァルツと共に城下の街に来ていた。
因みにアルドはラトガルドの護衛騎士である。
一般市民と同じ普通の服を着て、キャスケットを深く被って、偶々目についたお手頃値段の服を売っているお店で妹の服を着せ替えて遊んでいた。
護衛のカルロとアルドはそんな二人をノルベルトの後ろの少し離れた所で眺めている。
「お。良いじゃん。可愛い可愛い。ラト、次はこっち着て~?」
『 ! 』
ドレスやスカートを好まない妹の性格を熟知しているノルベルトのコーディネートは全て男装風だ。
普段からラトガルドが着ているような感じのモノを選んでいる。
『ノルにぃ、こんなことしてて大丈夫なの?』
次の服を渡そうと、ラトガルドの居る試着室に近寄るノルベルト。
服を受け取る前に彼女はそう手話で兄に問うた。
実は彼女、ノルベルトが戦場で拾ってきた元敵兵の少女である。
色々とあって、ノルベルトの庇護下に置くために手っ取り早く義兄妹になった。
彼女が義妹になる切っ掛けとなった戦場で負った怪我の後遺症でラトガルドは喋れないのである。




