2-18
詰め寄ってくるレオポルトに、アッシュは彼の胸元を押し返して適度な物理的距離を取り戻す。
アッシュに怒られた(?)レオポルトはシュンとして大人しくなった。
「・・・お前ら兄弟は揃いも揃って妹溺愛過ぎだろう」
「むっ・・・そのセリフはグレイを溺愛しまくっているアッシュだけには言われたくないのだが?」
「俺は一度姿をくらませた相手を10年も追わねぇよ。そんな暇あんなら常にぐーに張り付いて警護する方が楽だろう?」
「・・・いや、ノルベルトとアッシュ、どっちもどっちだと思うのだが・・・」
「シレッと自分を外してんじゃねーよ・・・って、んなことより、これでノルにもらすなと言った理由は分かったな?」
「嗚呼。本人なら兎も角、これで人違いだった場合ノルベルトは絶対に今以上に出歩くことになるだろう・・・それこそ、白だけが派遣されているところにまで・・・」
「・・・知ってるか?レオ。アイツな?本物の白の騎士兵の軍服も持ってやがるんだよ。つまり、あの男は既に潜り込んでんだよ。白の方にもな・・・全く困った奴だぜ・・・」
呆れたように言うアッシュに、レオポルトはたった今理解した。
兄の例の男に対する執着心が異常である事に。
「・・・ノルは、本気であの男を・・・?」
「それ以外に10年も追っかけたい理由があると思うのか?」




