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心底嫌そうな顔で言うアッシュだったが、グレイがとても嬉しそうに、楽しそうに読んでいるのを見て、それ以上の苦情は飲み込んだ。
白の王様はシスコンなので、基本的に彼の中での優先順位は自分よりもグレイが上なのである。
それから暫くはアッシュが書類を捲ったり、サインをしたりする音、グレイがタブレットを弄る音だけが響く。
全ての書類の確認とサインを終えたアッシュが、ふと妹の方にへと視線を落とした。
「なぁ?妹よ」
「なぁに~?」
「カマロかソリオの部隊って、どっちか残ってたっけか?」
「どっちも居るよ~?だって、あーちゃんが良く2人の部隊使うから、出向用のリストからは外してあるもん」
「マジか?」
「マジよ。知らなかったの?」
「いや?知っているが?」
「へ?」
思わずタブレットから顔を上げるグレイ。
アッシュはニヤリと意地悪な笑みを浮かべると、彼女の持つタブレットを横から掻っ攫った。
「ちょっ、あーちゃん⁈」
「油断したな?グレイ。悪いがタブレット、少し借りるぞ?」




