1-2
ただでさえ、普段からチェスの国の運営は黒の女王であるレオポルトと白の王様に任せきりなのに、彼が居なければならない会議にすら出席しない。
そんな自身の兄に、レオポルトは大きな溜息を吐いた。
そうして偶々傍を通りかかった文官を呼び止め、多分知らないだろうと分かって居つつも兄の所在を知っているか問うてみる。
「申し訳ありません。私は今日はまだ、ノルベルト様をお見かけしておりません」
「・・・そうか。では、カルロの方はどうだ?」
文官からの予想通りの回答に、レオポルトはソレならばと、兄の護衛騎士の場所を問うた。
「カルロ殿ですか?そう言えば、アルド殿に用があるとかでラトガルド様のお部屋に向かわれましたが・・・」
そう告げる文官に、レオポルトはやっぱりと大きな溜息を吐く。
あの兄の護衛騎士であるカルロは、剣の腕は確かなのだが主であるノルベルトと一緒になってサボる悪癖があるのだ。
まぁノルベルトの護衛なので、彼の傍を離れないと言う意味ではちゃんと仕事をしていると言えなくもないのだが、彼は何時も自分も一緒にサボって居ると潔く白状し、そして懲りずに再びノルベルトと一緒に繰り返すのである。
「それ、何時の事だったか覚えてるか?」