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ラトガルドが懐から取り出したもの、ソレは黒の軍の身分証だ。
現代で言うところの警察手帳のようなモノである。
自身の顔写真と名前、それから黒の王家である事を示す紋章と、黒の軍の役職である僧正を示すマークが入った身分証の頁を見せ付けているのだ。
「黒の、」
「王族・・・?」
ポカンと身分証を眺める2人は完全に思考停止していた。
動きまでも止まった2人に、ラトガルドは首を傾げ乍らヒラヒラっと2人の目の前で自身の手を振ってみる。
「あ・・あぁあぁ・・・・」
「 ッ‼ 」
自身の前に居る相手が何者なのかを理解した瞬間、2人は一気に青ざめた。
完全に戦意が喪失した剣士と槍使いの2人は自ら武器を手放し、土下座して降伏する。
そんな2人の様子に、ラトガルドは身分証を仕舞いつつ彼らの目の前にしゃがみ込むとニッコリと微笑み、容赦なく土下座の姿勢のまま土魔法で拘束した。
『⦅さて、コレで5人ともお終い。ノルにぃの方はどうかなぁ~?⦆』




