座敷童子
夏祭りも終わり、後ろ髪を引かれるような寂寥感を覚えながら、家路に着く途中、道路の隅にポツンと灯った灯りに目が止まった。
いつもこの道を通っているのに全く気が付かなかったが、まるでずっと前からそこにあったかのような、古びたお店だった。
【分岐屋】
でかでかと看板に書かれたその文字に見覚えなどないはずなのだが、何故かひどく懐かしく感じられ、気付けば、虫が誘蛾灯に惹き寄せられるかの様に、私の足は店の方へと向かっていた。
店の前まで来て、じっくりと観察してみるが、やはりこんな店は記憶にない。
そっとドアに手をかけ、ゆっくりと力を入れ開き、中へと入り、その光景に言葉を失った。
ここは、私の部屋だ。
見間違えるはずもない。
箪笥やベットの位置、机に貼ったお菓子の付属のシールの位置までも、何もかもが同じだった。
絶句する私に、いつからいたのだろうか?
和服姿の店の女将らしき人が深くお辞儀をした。
「いらっしゃいませ。『野崎真』様。
お待ちしておりました。」
顔を上げた彼女は紅い唇を歪めてそう、言ったのだ。
まるでその先が見えそうなほど、白く透き通った肌に、夜を思わせる様な黒い髪。
まるで...
「座敷童子..」
「?」
女将さんの容姿は、某、鬼を滅する漫画に出てきてた双子の黒髪の子の方が大きくなった感じをイメージしてます。
みんなも机とかタンスにシール貼ってるよね...?