目覚め
主人公: 更科 正 (さらしな まさ)
「あ゛あ゛あ゛ぁ゛……うるさいぃ…………」
かなり大きな音と軽い振動で夢の世界にいる俺の思考は現実に引き戻されつつある。
自分はまだ夢の中に居たいとばかりにまだまともに物事を考える事が出来ない。
そろそろ起きるかどうか考えようと目覚ましの方に目を向け瞼を開こうとするが、重くて完全には開かない。重い瞼の隙間からどうにかして時間を確認しようとすると、昨日の夜アラームをセットしそこに置いたはずの目覚ましがない事に気がついた。
……壁がない。というか、俺が寝ていたベットから左側がない。徐々に現実に戻ってきていた俺の思考は何かがおかしいと告げる。とりあえず上半身を起こし、目を擦ってようやく完全に開きそうになった瞼を押し上げる「……は……?」目を開けたそこに待っていたのは絶望的な光景だった。
向かいの家は完全に原型がなくなっている。目覚めたばかりで視界がぼやけていたが、奥の多くの建物も同様になってしまった様だった。
俺が住んでいる家も、俺からみて左側が全てなくなってしまっていた。でかい窓もない家の中にいるのに町中が見渡せる訳がない。そりゃそうだよね。
左の遠くの方で大きな音が聞こえたと同時に軽い振動が伝わってきた。反射的にそっちの方を向くと、何か黒い大きな生き物がいるのが見えた。その高さは大体7〜10mぐらいか…?遠くに見えるので正確な高さはわからないが、とても大きい事だけはわかる。
「あいつが、やった、のか……?」呆然と眺めている間にも育ってきた町をどんどん“それ”が壊していく。
「…あ、あ、……」
どうする事もできない。俺には特別な力も何もない。勇気も、何もない。ただただどうしようもない無力感が自分を襲う。
その時、視界の端に両親の写真が映った。両親は俺を置いて旅に出たきり帰ってきていない。まだ小さい頃だったけど、すごく優しかったのを覚えている。
ここで逃げなかったらもう一生、二度と会えないかもしれない。そうだ。どうせここで諦めて死ぬくらいなら。生きよう、逃げるんだ。生きて、両親に会うんだ!
決心してすぐにリュックに最低限の荷物を詰めて“それ”に見つからないように町の外に走りはじめた。
初めての投稿です!とりあえず継続して投稿できるように頑張ります! ポイント?ブックマーク?という物があるらしいのですがよければやってくださると嬉しいです!感想も書いて頂けるとありがたいです!!おかしなところがあったら修正しますので!!