酒と話と縁
木天蓼ららこの配信によって生まれたメモをもとにこんな話があったらいいなぁ。の精神で作ったifの話です。大目に見てください
「おーいマスター!こっちに同じのもう一杯頼む!」
今日もこの酒場は大きな声が飛び交う。俺の名はクライム。この酒場でマスターをしている。
「ほらよ。あんたらこれで何杯目だ。ちゃんと払うもんは払えよ。」
「任せろってマスター。しっかしよ、こんな旨いもんが前までなかったなんて信じられないぜ」
正直みてて気持ちがいいほどの飲みっぷりだ。さっきからこのモンクたちが飲んでいるのは他国で『ビール』と呼ばれるものを模倣して俺が一から作ったもんだ。製作するのに五年以上かかったが正直早いほうだ。なんで同じの売らないのかって?そりゃあれは植物を発行させた代物だ。我が国で根強い信仰を得ている宗教の決まりで「神の恵みで作られし作物の食用は禁忌」とされてるから俺らは肉と魚しか食えない。つまり俺らはビールを飲めないん。
だから俺はこれを作った。昔商売で訪れた国でふるまってもらった飲み物が忘れられないあまりに。肉と魚しか食えないならそれから酒を造ればいい。肉の発酵に関しては食肉加工を長年やってきた先人のおかげですんなりいけた。ただ、炭酸化や味の安定が大きな壁となった。
正直楽しかった。新しいことを知ること。研究、研鑽の日々。こいつらの幸せそうな顔。俺は幸せだ。
でも、朝起きるとここ地獄だ。昨日の酔っ払いどもが散らかした酒場の掃除、食材の調達。酒場の売り上げだけじゃ老後に楽できないから昼間は何でも屋を営む。たっく、新しい酒の研究もできない...
ある夜。今日もいつも通り沢山のモンク、魔術師、政治家でこの酒場はごったがえす。ここでは昼間の職という装備は脱いでみんな平等という決まりだ。
「マスターよ。こんな噂知ってるか?隣国でいい年した青年がまだ大人でもない生娘連れて旅してるんだとよ。親子や兄妹には見えないらしいがどうも不思議だと思わねえか。」
「不思議でいえばその少女がどうも年相応に見えないって話も聞くぜ。人だけど人じゃない見たいな。世の中不思議であふれてんな。ガハハハハハ!」
酒飲みたちはよく騒ぐ。どうせ腹違いの兄妹が仕事探しの旅をしいてるに話に尾ひれがついただけだろ。
「おいおい、あんたら。そろそろ閉める時間になるから帰る準備をしな」
翌朝。俺はいつも通り酒場の掃除をしていた。いつもより比較的きれいで作業も楽だったのか考え事をしていた。あのモンクたちの会話だ。妙にひっかる。カランコロン。入り口の扉があいた音がした。
「わるな。今日は何でも屋と酒場は休みなんだ。定休日でな...」
俺はそう言いながら二人を見て思った。「噂の人だ」。確信はなかった。特徴も何も聞いてない。ただ年が離れた男女ってだけかもしれない。それでも俺の直感がそう言っていた。
「困りごとだね。まかせな。俺はこの国1の情報屋さ。その前に二人とも名前と要件を言ってくれ。」
「俺の名はテセウス。こっちはクオリア。深いことは言えないけど探す旅をしてるんだ。この国でも探すものがあるだからこの国での生き方を教えてほしい。」
この宗教と筋肉がはびこるこの国での生き方か。変わったやつもいるもんだ。久々に楽しい日々が訪れるそんな予感がした。俺は二人を店の奥に連れていき一通り説明した。宿、飯、仕事もあっせんしてやった。
ただ、この二人が世界を変えちまうなんてこの時の俺には想像もつかなかった
正直肉で酒が造れるかわかんないけど、この地球と環境違うしワンチャンあるよね。
ってことで読んでくれてありがとうございました。