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11話 小さな芽吹き

11話目投稿です。


最近、私の住むところでもやっと?寒さを感じるようになってきました。

皆様、どうか体調にはお気をつけくださいね。

(前書きがいまいち安定しない。何かいい方法ないかな…

呼び鈴に応対してくれたメアリの後について案内された部屋は応接室。

調度品は一般的なものに比べれば良質なものではあるが、王族貴族の絵画などに描かれるような綺羅びやかさはない。

だが、絵になるとは正にこういうものか、と納得できる。

領主夫人、レオネシア=スタットロードは部屋に入った私達に長椅子にかけたまま女神のような笑みを向けるのだった。

『ご、ご機嫌麗しゅうございます、レオネシア叔母様。』

こんなの流石の私も緊張するし、横に立つカイルなんて鉄の塊みたいにカチコチに固まってる。

フフっと笑い「そんなに畏まらないで?フィル。さぁ二人共こちらにいらっしゃいな。」

何と言えばいいのか、神様はこの人に何物を与えたのか?

「……」

魚みたいに口をパクパクさせてるカイルを肘で小突いてレオネシアの向かい側の椅子に座らせる。

ふと椅子の陰でモゾモゾと動くモノを視界に捉えた、と思った瞬間、ソレはカイルに向かって飛びかかった。

色々と頭がいっぱいなカイルの叫び声は屋敷の外まで響き渡ったのだった。


「改めて二人にお礼をさせてほしいの。」

と美味しいお茶を飲みながら叔母は言う。

先ほどまでカイルとじゃれあっていた領主の息子、オーレン=スタットロードを助け、あまつその結果私が意識不明の重体という事であれば尚の事なのだろう。

『叔母サマ、あまり気になさらないで?。私もカイルもあの時は必死で探したけれど、父や母、セルヴァン爺もメアリ婆も、町の皆だって同じ。』

「そうさ、レオネシア様。全部俺たちも含め、好きでやったことさ。」

オーレンの頭をぽんぽんと撫でながら、カイルが付け加える。

「皆、領主サマやレオネシア様に大事にしてもらってるのわかってるから役に立ちたいって思ってるんだぜ?、っと、思っているのデス!。」

とは言ってもねぇ?とレオネシア様は困り顔で首を傾げる。


遠縁とは言え、王家と繋がりのあるレオネシアと、これまた遠縁ではあるが王家直属の貴族のアイン。

この二人の息子の命を助けたという事は、二人の心情としては勿論の事、世間的に見ても恩賞があって然るべきという事らしい。

『あぁ…確かそういうのって…』

「えぇ…」

とレオネシアはため息を付く。

「え?何?」

と良く分かってないカイルが私と叔母の顔を交互に見る。

『えっとね。まぁ簡単に言うと偉い人からのお礼ってのは断りすぎると怒られるってことよ。』

え?え?と未だ理解の及ばぬカイルを他所に、私と叔母はその面倒臭い世間体というモノに対して深いため息をつくのだった。

けれど私は思い出す。

(そういえば、レオネシア叔母様もそういうとこ苦手なんだっけ。)

昔、父と母に「レオネシアは喋らなきゃ完璧美人、喋ったら残念美人だ。」と聞いた事あったのを思い出した。


一先ずは目先の欲しいものも思い浮かばない私達は、叔母と相談の結果、恩賞は一旦保留ということで話を纏めた。

その後、オーレンも交え小さな茶会を楽しんでいたところに領主アインが姿を見せる。

叔母同様に私達に感謝の意を伝えたのも束の間、私は領主に書斎へと案内された。


「…さて、フィル。」

『はい。』

私と領主にとっての「本題」の件だ。

『叔父様、単刀直入お聞きしますが…』

目を見ると、私の意図は通じている、と目で返事をする叔父の顔が伺える。

『叔父様は「影」を知っていますか?』

叔父は肩を落とし、

「…やはり、か。」と呟いた。

苦虫を噛むように叔父は語る。


カイルがオーレンを連れて戻ったときはそれはもう喜んだのだが、それ以上にカイルの言葉に耳を疑うと同時に恐怖したという。

一緒に捜索に出ると言ったものの、その立場から周囲の者たちに止められ私の捜索への同行を断念した叔父は落ち着かない気持ちのまま捜索隊の帰りを待った。

その後、一応は無事と言うことで担ぎ込まれた私の腹部を見た叔父は、恐怖は戦慄に変わったと言う。

「カイル君の話を聞いたとき、フィル程確信的ではないものの嫌な予感がしたのだよ。」

『…アレは何なのです?』

「流石のフィルも、アレが何かは判らなかったか…」

と挟み、一言。

「あれは正しく「影」だよ。」

と答えた。


長い沈黙が流れ、いつの間にか日は落ち、書斎は薄闇に包まれる。

立ち上がった叔父は書斎の入り口付近のテーブルに置かれたランプに火を灯し、ランプを手に戻り重い口を開いた。

「フィル。今となっては意味合いも少し違いはするのだが…今一度聞こう。」


「その正体とキミの力、その探求に興味はあるかい?」

先日私に同じ問いかけをした時の顔は、まさに研究者、学者といった笑みを感じさせる表情だった。

けれど今は、祈るような、願うような悲痛な面持ちだ。

(…きっと、ううん。多分戻れないんだろうな…)

この先にある未来と、私が望む未来の(しるべ)はきっとここで別れる事になるだろう。


『はい。』

感想、要望、質問なんでも感謝します!


ついに決意を固めたフィル。そして旅立ちへ

(やっとOP入りそうですね)

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