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ノーザン初等学校長手記より

閑話投稿になります。


前話で物語の一つの区切りと思いましたので、今回は一転してこの世界の話を入れようと思いました。

以降も合間でこういった内容を挟もうと思ってます。

遥かな昔、主はこの世界【アドナルティア】を創造した。

主は次に世界を支え育む存在として、3柱の眷属を生み出したという。

3柱の眷属は、各々の力を束ね、アドナルティアに数多の命を産み落とした。

生み出された命の中でも各々に知性を持つ者たちは、自らと近しい者で集い、世界に散らばり、後にこれが国という体制を造りあげた。

古来から数多の命と共に在った各国は、時に争い、時に和解し、時の流れと共に、7つの国を形成する事となり、これが現在のアドナルティアの形となり、幾千年の歴史を刻んだ。


ここ、【ノザンリィ】は、アドナルティアでも最大の大陸において、比較的中央に位置する【エデルティア】王国の北方の領に位置する町だ。

エデルティアは古来より人種族を主とする王政によって統治されているが、国内の種族における扱いに差はなく、それは政治を執り行う官僚を見ても分かる。

国土全体としては食、資源ともに恵まれており、その風土と自由を国是とする成り立ちから外交や、一般民レベルで言えば冒険者などの活動支援なども手厚い。

その事からか、国名の通称【千年王国】と一般知識として付け足されている。

千年王国エデルティアの【王都エルディア】はノザンリィのある北方領を含め、それぞれに南方領、東方領、西方領と四方の中央に位置し、一般的には中央、中央都市といった総称で言われる事が多い。


改め、王国北方に位置するノザンリィでは、南方の【スナント】に比べれば生活の差はあれど困難極まるほどではない。

それはノザンリィという町の存在意義も大きく関わっている。

南方領スナントに比べれば住みにくいとされるこの町の総称【学術都市ノザンリィ】の名に恥じぬ形でのどかな風景の中においても、王国の学問や研究における要所となっているからだ。

町の中央には基礎教育を受ける学校が建ち、さらにそこから発展し、学術研究所なども併設されている。


ではなぜ、この決して環境的に他方より裕福と言えない土地での学問、学術が発展しているかという理由だが、それは世界の根源にも関わる魔術、魔法が関係している。

魔術、魔法など魔力を扱う上では、冷気、簡潔に言えば氷などのマイナス元素においては取り扱いが困難な部類となる。

所謂「魔導士」「魔術師」と呼ばれる職またはそれに殉ずる者でも氷を主に扱い、実用できるほどの使い手は王国でも数えるほどしか存在しない。

つまり、ある一方の研究の手間をその環境に委ねる形をとった結果、この北方地方が学術における要所となったわけである。


また、このノザンリィは学術に限らず、武においてもその総称の名に相応しく、学問以外でもその風土を上手く利用している。

中央で兵士の職を求める者は、まずノザンリィに派遣される形で初期訓練を行う形が慣例となっており、

町の入り口には防衛の要としての詰め所の傍ら、訓練所としての役割も大きい。

毎年行われている新兵による雪中行軍訓練は町の風物詩となっているくらいだ。

最近の話だと、某元冒険者による道場破りさながらの特別訓練があるとかないとか。


最後に、このノザンリィの主だった人物についてだが、

不思議な事に、代々この領を統べる指導者には共通点がある。

一つ目はこの都市としてはまぁ当たり前ではあるのだろうが学問や学術、育成や研究を慮る人物であること。

そして二つ目の共通点がいずれの領主も国是を体現しすぎているところだ。

「自由」の国是は、それぞれの領主での小さな差異はあれど、いい意味では言葉の通り、悪い意味では放置というものだ。

逆に中央からこの領を任される人物は、敢えてそういった者が選出されているのではないか?

代々の領主は決して血縁による引継ぎが行われているわけではないのだが、この共通点はあまりにも不自然だ。

今代の領主も同様ではあるが、代々領主は中央の研究所と兼任することも多く、また同時に代理として配置される人員においては苦労が絶えないと歴史は綴るのだ。



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さて、と一人の老人はペンを置いた。

学術都市ノザンリィ領主代行兼従者兼ノーザン初等学校長のセルヴァンである。

自分の書いた手記を改めて眺め、「ホホホ」と笑いながら、

「最後の一分はいささかヤンチャが過ぎますかな?」

書斎を後にしたセルヴァンは、廊下の窓から、とある少女が暮らす家の方に目を向けた。

「ご無事にお目覚めすればよいのですが…」

領館のいずこかで鳴った呼び鈴の音を耳に捉えた老人は、廊下を足早に歩いたのだった。


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