表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
吃音症がVtuberで何が悪い!!!  作者: 木山碧人
第三章 大日本帝国

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/72

第5話 鬼の都、京都


 京都府内。775プロダクション事務所。


 出で立ちは純和風の旅館。広い敷地。庭園。長い廊下。


 時刻は昼。黒服にサングラスをかけたオールバックの男に案内されていた。


「長旅、ご苦労であった。付き人は別室で待機しておれ」


 座敷前。襖越しに聞こえるのはみやびの肉声。


 後ろには、ジェノと鏡のツバキも当然、同行している。


 服は袴のままだった。伊勢神宮を少しでもアピールするためだ。


『あやつ、わらわとキャラかぶっとらんか?』


「ん? どっから、声が……」


 ツバキの声が漏れ、勘づきかけた黒服に対し、


「気のせいですよ! それより、別室に案内してもらえますか」


 ジェノはあたふたとしながら、必死で話題を変え、去っていく。


 今はそんなの、どうだっていい。奥にいる人のことで頭はいっぱいだった。


「行ったようですね。ここからのことは他言無用でお願いします」


 すると、聞こえてきたのは、ものすごく低姿勢な言葉。


「……え?」


 思わず耳を疑った。というより、間違いなく聞き間違いだ。


 鬼龍院みやびが下手に出るなんて、天地がひっくり返ってもあり得ない。


「肯定と見ます。ささっ、早く入ってください。足も痺れてきちゃったので」


 天地がひっくり返っていた。


 間違いない。鬼龍院みやびが下手に出ている。


(……ふへっ。足痺れてきちゃったって。絶対言わんやん)


 ものすごいギャップに、笑ってしまいそうになる。


 まさか、天下の鬼龍院みやびが、裏ではこんなに性格が違うなんて。

 

「し、失礼します」


 とはいえ、まだ分からない。


 緩みかけた気を引き締め、襖を開いた。


「初めまして、私たち鬼の一族を救った主――千葉薊様」


 そこにいたのは、伊勢神宮ちゃんとそっくりの人物。


 金髪サイドテールに赤い瞳。紅白の袴に、額には黒い角が二本ある。


 加えて、語ってない名前と過去を知っている。これは長い話になりそうだった。


 ◇◇◇


 775プロダクション事務所、別室。


 六畳一間の茶の間には、ぽつんと一人の少年が座る。


『鬼という存在をお主は知っておるか?』


 人がいないことを良い事に、懐にいるツバキは唐突に語り出す。


「だから、喋っちゃ――」


『それどころではない。知らねば、最悪、ひねり殺されるぞ』


 その言葉に空気が一変する。なんだか、嫌な予感がした。


「それって、どういう意味ですか?」


『鬼は実在する。ここは、人の血を喰らって生きる鬼の巣窟じゃ』


「……ッ!?」


 血の気が引いていき、頭が冷えていくのを感じる。


 そのおかげか、すぐさま思考は戦闘モードに切り替わった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ